・お知らせ

・編集後記

・「ProCameraman.jp」創刊にあたって







●2015年1月5日(月)

■謹賀新年! 2015

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

さて、カメラに限った話ではないですが、進化の基本はダウンサイジングだと思います。開発費をかけて生まれた最先端の技術は、まずプロ用途に投下され、それが(コスト的にも)こなれた頃に、コンシューマ用途に反映されます。もちろんコンシューマ用途には、例えばスマートフォンやコンパクトデジカメ用の小さなセンサー、レンズの開発など独自の技術も多々ありますが、ざっくり写真の世界においても、進化は上から降りてくる、といってよいと思います。

現在のスマホやコンデジはかなりの高画質で、例えばスマホで撮った写真を印刷に用いても、おそらく違和感がないレベルまで到達していると思います。

現在のカメラに、例えば一昔前のブローニーカメラと写ルンですほどの差がないとすれば、プロとアマチュアの差は「腕」のみとなります。審美眼、技術、メッセージ性といった表現能力はプロだけのものです。逆にそこを超えたものだけがプロになれるのでしょう。

PCJがお届けするコンテンツが、製品動向よりインタビューを中心とした人間寄りになるのは、フォトグラファーそれぞれの「プロ」のなんたるかを、読者であるフォトグラファー、プロ予備軍、ハイアマチュアの方々に伝えたいからです。

今年もプロフォトグラファーによる注目製品のレビューと国内外のインタビューといったPCJ独自のコンテンツを発信していきますので、よろしくお願いいたします。

ProCameraman.jp編集長
森屋義男



●2012年12月25日(火)

■2013年に向けて~さらなるオリジナルコンテンツの充実を

最近は、何か新しいコトやニュースを、Twitterやfacebookなどの書き込みから知ることが増えてきました。身近なこと、社会的な出来事はもちろん、業界ネタにしてもそうです。

当Webマガジン編集部に関係のあるデザイン関連、写真関連の最新動向なども、例えば新製品の発表会場やイベント会場にいる来場者によって、その場からスマホなどで書き込まれるので、実にスピーディーに情報を得ることができます。また、メーカー各社がメール配信しているプレスリリースなども、受信してから、その要点をSNSに書き込むまでは一瞬です。

当社のPCJ、pdwebに、ニュースメディアとして期待されている読者は多くはないと思いますが、ニュースの速報性を売りにしているWebサイトなどでは、SNSによる情報伝達はあまり歓迎したくないところかもしれません。ただ、Twitterなどで個人が発信した情報には「5W1H」が不足していたり、またアップされるかどうかは気まぐれなので、コトの真偽や詳細、網羅性の観点から、ニュースサイトへのアクセスが減ることはないでしょう。ただ、この「C to C」ともいえる情報の伝達経路の変化は、Webサイトのビジネスモデルのあり方にすでに影響を及ぼし始めていることは間違いないでしょう。

さて、そのような時代背景を鑑み、当編集部は「コンテンツメーカー」の側面をより意識しようと思っています。

と、改めて宣言するまでもなく、実はPCJもpdwebも、創刊当初よりオリジナルコンテンツの充実を意識していました。限りあるリソースで読者の皆様に価値のあるサイトとして利用していただくには、なにより「他では読めないコンテンツ」の必要性を強く感じていたからです。

具体的には、連載記事とインタビュー記事のより一層の充実です。もちろん新製品などもプロ目線で選んだニュースやレビュー記事で、じっくりお伝えしていきたいと考えています。今後も「面白くてためになる」をモットーに、斬新なコンテンツを提案していきます。

そんなわけで、2013年も、Webだけではなく紙媒体も含めて、「他では読めないコンテンツ」が看板のサイトとして、皆様にご利用いただけるように頑張っていきたいと思います。

では、良いお年をお迎えください。

ProCameraman.jp/pdweb.jp編集長
森屋義男



●2012年5月24日(木)

まずコンテンツの更新予定です。「シリーズ海外写真家たちに聞く」は、コマーシャルを中心に活躍している、カナダのTodd McLellan氏をアップします。その次はマイケル・ケンナ氏の登場です。個展で来日中だったケンナ氏に直接インタビューすることができました。レビュー等の連載記事も順次アップしていきます。

さて、現在制作中の書籍「プロカメラマンFILE 2013」ですが、おかげさまで、フォトグラファーの皆様のご参加も徐々に増え、見ごたえのある書籍にできそうです。ご参加いただいた方、ご検討いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。

本書はもちろん「カメラマンを探す」という実用的な目的を持つガイドブックではありますが、より本質的なテーマとして「日本写真の現在」をまとめることを意識しています。

広告、雑誌、報道、作家など、さまざまなフィールドでご活躍のフォトグラファーの皆様の最新の作品を「これが日本写真のカッティング・エッジだ!」というコンセプトでまとめたいと思っています。

「プロカメラマンFILE 2013」は2012年9月発売予定。版元はクリエイティブ系の雑誌、出版物を刊行しているワークスコーポレーションとなります。定価、発売日など詳細が決定した段階で随時お知らせいたします。ご期待ください。

なお5月31日(木)を応募締め切りとさせていただいておりますが、もしこれから参加をご希望される方がいらっしゃいましたら、「女性モデル編」、「風景自然編」いずれかを明記の上、以下の編集部のメールアドレスまでご連絡願います。

・ご応募/お問い合わせ用メールアドレス
pcf2013@procameraman.jp
・本書の概要、応募詳細は以下までアクセス願います。
http://procameraman.jp/FromEditor/pcj_info.html#pcf2013



●2012年3月12日(月)

3月5日よりトップページに「プロカメラマンFILE2013」のご案内を告知いたしました。

本書は商業フォトグラファー、写真家の皆様の最新の作品をまとめた、2013年における日本の最新写真集というコンセプトで「現代日本写真」が浮かび上がってくるような本にできればと考えています。今回は「女性モデル編」をテーマに、商用写真、作品を問わず募集します。

本書は、制作・印刷費用の原資となる掲載料をお預かりし、献本でお返しするというビジネスモデルとなっています。日本全国の素晴らしい作品を撮っている皆様にお集まりいただければと考えています。

応募資格はプロカメラマンであることです。応募作品は、ポートレート、ファッション、ビューティー、ヌードなど、被写体が女性であれば、内容は問いません。最新の作品を中心にお寄せください。

●応募要綱ページ
http://procameraman.jp/FromEditor/pcj_info.html#pcf2013
●応募用メールアドレス
pcf2013@procameraman.jp

掲載お申し込みの締め切りは3月31日(土)となります。ご検討よろしくお願い申し上げます。

ProCameraman.jp編集長
森屋義男



●2012年1月1日(日)

2012年がはじまりました。

2回目の正月を迎えるPCJですが、「Pro to Pro」というPCJのコンセプトの元、今年も少しでも多くの国内外のフォトグラファー、そして業界関係者のみなさまの声を載せていければと考えています。PCJから発信された情報が、少しでもプロカメラマンのみなさまのお役に立てるように、メディアとして機能していく所存です。

そして今年はPCJ発の書籍企画も検討しています。詳細は改めてお伝えいたします。本年もよろしくお願い申し上げます!



●2011年10月28日(金)

秋も深まり、今年もあと2ヶ月少し。そろそろ来年のことを考えはじめている方も少なくないと思います。

さて、今後の掲載コンテンツの予定をお知らせします。海外作家インタビューは女性フォトグラファーが続きます。まずMona Kuhnさんに登場していただく予定です。アドビインタビューは太田拓実さん、そして企業インタビューは前回のジナーに続き、ホースマンブランドの駒村商会さんを予定しています。

さらに、レビュー記事の連載を準備中です。年末から来春にかけて、シュナイダーの全レンズの評価を1本ずつ行います。また「NIKON V1」など話題の新製品のレビューも毎月お届けしていく予定です。PCJは「プロ to プロ」がコンセプトですので、その視点によるディープなレビューをお届けしていきます。お楽しみに。(M)


●2011年8月29日(月)

節電の真夏もどうにか乗り切り、吹く風にも秋の気配を感じる季節となりました。

さて、今後の掲載コンテンツの予定をお知らせします。海外作家インタビューはアルバート・ワトソン氏、アドビインタビューは鈴木心氏、そして企業インタビューはハッセルブラッドのシュリロトレーディングさんを予定しています。いずれも取材は終わっていますので、9月以降、随時アップしていきます。お楽しみに! (M)



●2011年7月22日(金)

写真集、作ります。


真夏ですね。今年に限らず、当編集部は真夏でも極力エアコンは使用していません。例年、窓とドアを開け風を通し、あとは扇風機で過ごしています。エアコンがあまり普及していなかった昭和な時代はどこもこうだったと思えば、けっこう耐えられるものです。あ、お客様には申し訳ないのでエアコンでお迎えしています。

さて、トップページのバナーにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、当編集部では、新規事業として「写真集の制作サービス」を立ち上げました。

日頃いろいろなカメラマンさんと話をしていると、いつか自分の写真集を作りたいと考えている方が多いようです。ただ、予算や編集がネックとなり、みなさん”いずれ”と先送りされているようです。そこで当編集部がお手伝いできればと考え、印刷所に小ロットの見積もりを依頼し、今回のご案内となりました。

ちなみにPCJはWeb媒体ですが、当社は書籍や雑誌の編集・制作をメインの事業としていますので、写真集の制作はむしろ本業です。

こんな時代ですから、特に個人のフォトグラファーには写真集の制作は敷居が高いと思いますが、いままでの活動の集大成として、あるテーマのまとめとして、あるいは営業用として、一度ご検討いただければ幸いです。

ご質問・ご要望などは、まずメールにてお気軽にお問い合わせください。
photobook@procameraman.jp (担当 森屋)


●2011年5月13日(金)

祝1周年!

おかげさまでProCameraman.jpは1周年を迎えることができました。
読者の皆様、そして協賛企業各社様に厚くお礼申し上げます。

大自然の脈動によって、日本は3月11日を境にリスタートを強いられました。被災地に向かわれたカメラマンも少なくないことと思います。被災地の復興はもちろん、原発問題も含めた、日本全体の新しいグランドデザインが今必要なのかしれません。それは政治の仕事だけではなく、1人ひとりがこれからの新しい日本のイメージを持たなければいけない気がします。仕事面でも個人としても、次世代のために、いつまでも後ろ向きではいられません。

PCJはメディアとして何ができるのか、明確な答えはまだ見いだせませんが、できることを続けていきたいと思います。

さて、主なコンテンツの掲載
予定をお知らせしておきます。海外写真家インタビューは間もなくイギリスの作家、Rankin氏をアップできる予定です。日本の写真家インタビューは「SCHOOLGIRL COMPLEX」がベストセラーになった青山裕企氏を予定しています。新規の連載としては「カメラマンにとっての3D CG基礎知識」を近々にアップいたします。

今後ともご愛読よろしくお願い申し上げます。(M)


●2011年3月4日(金)

1月に行ったアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。プロカメラマン約7割、アマチュアカメラマン(一般会社員など含む)約3割の皆様からご回答をいただきました。

今回は統計的に特徴や方向性が読み取れるまでのサンプル数が集まりませんでしたが、PCJ編集部が想定していた読者の皆様にちゃんと届いていたことが実感でき、手応えを感じることができました。

アンケートに寄せられたご意見を少し紹介させていただきます。

(1)「インタビューやコラムなど人に絡む記事をいつも楽しくよませてもらっているので、そういったものがもっと増えると嬉しいです」(29歳プロカメラマン)。

(2)「有益な情報の更新が滅多にないですね。たまに更新されたとおもったら、どうでもいい内容。期待をこめて、たまに覗いているのですが、あまり力を入れている様子が見えなくて残念です」(40歳プロカメラマン)。

ここで紹介できなかった方もご意見ありがとうございました。

記事更新の頻度、コンテンツ数に関して、皆様のご期待に十分応え切れていない点は認識しています。(2)の方をはじめとする読者の皆様のご期待に少しでもお応えできるよう頑張りたいと思っています。

ただ、製品情報の量とスピードに関しては、PCJが既存のメディアに太刀打ちできるとは考えておりませんし、またそこで競うつもりもありません。(1)の方のご意見のように、PCJは「人」を軸にした記事で他メディアにない独自性をもっと出していきたいと考えています。

アンケートや皆様の声を参考にさせていただきながら、PCJでしか読めないオリジナルコンテンツをアップしていきますので、今後もお付き合いいただければ幸いです。ちなみにアクセス数は、緩やかではありますが順調に右肩上がりを続けています。

なお、新企画の海外作家インタビューも仕込み中です。第1彈はRon van Dongen氏です。ご期待ください。(M)


●2010年12月28日(火)

いまさらですが、ここ10年、21世紀のはじめのディケイドで、カメラの世界はかなりドラスティックに変貌しました。ようするにデジタル化ですね。インターネットの普及で、キャパの時代のような報道写真の必然性が弱まり、3D CGの発達でコマーシャルにおけるブツ撮りのニーズも減少傾向です。2011年はプロカメラマンの世界はどうなるのでしょう?

一言で言えば、メディアの流れに沿っていくということかもしれません。これまで通り紙媒体を軸に、Webやデジタルサイネージ、電子ブックと広がり、必然的に動画のニーズも増えてくるでしょう。

ただ、個人的には”スーパーデジタル”な写真表現に期待したいと思っています。写真には、どこかもどかしさを感じています。それはたぶん、写真は写真であって現実ではない、という本質的な特性から来ているのかもしれません。でも、今のテクノロジーであれば、もう1歩か2歩、現実、現場に近づける気がしています。

進化した道具による新しい表現を素直に楽しみたいと思います。

PCJは2011年に向けて、いろいろ仕込み中です。前回も書きましたが、インタビューの充実を進めています。海外作家にもアプローチを始めました。CP+後にはイベントも開催予定です。

さて、今年もあとわずかです。読者の皆様、クライアント企業の皆様には改めてお礼申し上げます。2011年のPCJは、「なければ困る」そんなふうに言っていただけるメディアに成長していければと考えています。(M)


●2010年12月6日(月)

週末、難しい顔をしてアイスクリームを食べている、小さな女の子の表紙の写真に誘われて、BRUTUS 12/15号を買った。写真家は川島小鳥氏。友人の3歳になる子供、未来ちゃんを1年間撮り続けたという、中ページ掲載の写真も素晴らしい。奈良美智のキャラクターが現実に飛び出してきたような、未来ちゃんの溢れる感情を川島氏は見事に伝えてくれる。写真は面白いですねぇ。

さて、2011年の計画を考えています。この広大な写真世界の片隅で、PCJというお店は何を並べていけばいいのか。少し見えてきた気がします。それは「人」です。

平たく言えば、2011年のPCJはインタビューをより充実させていきます。第一線のカメラマンはもちろん、若手、海外作家、アートディレクター、レタッチャー、CGクリエイター、そして道具を提供する側の写真関連メーカー、、、いろいろな人の言葉から、写真世界の今を伝えていけるメディアにしていきたいと思います。(M)


●2010年11月2日(火)

久々にロバート・メイプルソープ(米1946年-1989年)の写真集を引っ張り出してきた。1970年代前半の初期の作品からエイズで亡くなる80年代後半まで、約20年間の作品を改めて眺めた。特に後期の作品の完成度は高い。100点満点で100点、パーフェクトといっていいと思う。ただ、メイプルソープが辿り着いた最後の世界には、今見ると若さも感じる。自分がエイズと知り亡くなるまでの数年間、メイプルソープは枯れないまま40代前半でゴールへ向かわざるを得なかった。その無念さのようなものを写真から感じる。

写真に限らず、音楽も文字も、すべての表現は粗削りから洗練に向かう傾向がある。スポーツに例えると、フレッシュなプレイ、中堅の安定感、ベテランの味わいといったところか。そんな視点で作家の足跡をたどるのも興味深い。

ちなみにPCJの場合は、ベテラン? が作っているWebメディアということで、フレッシュさに乏しいかもしれませんが、一方で完成度にもほど遠く、課題に埋もれながらも、気負うことなく淡々と運営しています。そこが特徴的なのか、お陰さまで、アクセス数は創刊以来ずっと右肩上がりで、作り手としては手応えを感じています。いつもご愛読いただきありがとうございます。

さて、創刊から半年が過ぎ、何かお祭りもしたいということで、「プロカメラマンによる美女撮影大会」を企画しようかと思っています。プロが美女を撮るなんてのは当たり前すぎるかもしれませんが、女性は古今東西、永遠の被写体です。

PCJならではの仕掛けも用意して、2011年春には開催できればと思っています。具体化してきたら、また詳細をお知らせします。(M)


●2010年9月2日(木)

「記録と言う表現」。

本日午後、東京・新宿御苑近くのフォトギャラリー、PLACE Mにて、川口和之写真展「DISTANCE 2007-2010」を見てきた。川口氏はPCJともお付き合いいただいている企業の関係者であり、知り合いの作品を見に行くような気軽な気持ちで訪ねたのだが、帰り道、会場で得た感想を書き留めておきたくなって、ひとまず新宿のカフェにて綴った。

帽子店、金物屋、洋品店、スーパーマーケット、赤提灯といった、昔ながらの店舗の店先や、どこにでもある街角、自動販売機などが作家の被写体だ。

これは記録なのか表現なのか、あえていえば「記録と言う表現」ではないかと思う。

おそらくは今後もう、次世代に引き継がれることはないであろう、「昭和」のまま頑張ってきた店先の商品と店主と思われる老人たち。

作家のカメラはそこにあるすべてを記録する。一般的な「主題となる被写体とその背景」といった写真のアプローチではなく、文字通り、そこにあるすべてを、朽ちてきた天井のディテールから無数に並ぶ帽子に括り付けられた値札1枚1枚の手書きの数字にいたるまで、作家はそこにあるすべてを広角レンズによってスキャンする。そこにあるものはすべて等価であるかのように、写真の中央から四隅にいたるまで、作家はいとおしく記録する。

この作品群は、中判デジタルカメラでなければ、フェーズワンという装置でなければなし得なかった写真であることは間違いない。フイルム時代は粒子に隠れてしまっていた現実が、今ここに残された。(M)

●川口和之写真展「DISTANCE 2007-2010」は9月5日(日)まで。
http://www.placem.com/schedule/2010/20100830/100830.html


●2010年8月16日(月)

「最近、仕事が減った」。知り合いのカメラマンのほとんどがそうぼやいています。出版の世界も同様なので、実際そうなのだと思います。ここ数年で写真の仕事が減少した要因は、いくつか考えられます。

雑誌系の場合、ちょっとしたカットは編集者がデジカメで自分で撮るようになって、カメラマンには特集など要所要所の撮影しかお願いできなくなった。広告系の場合、大規模なロケやスタジオ撮影が少なくなり、物撮りなどは、CGのモデリングデータを使うことが増えてきた。

これらの根底にあるのは「不況」と「メディアの構造的変化」だと思います。

雑誌・新聞はWebにその役割を侵食されつつあり、部数、広告収入ともに減少傾向にあります。紙メディアは生き延びるためにコスト削減を余儀なくされ、良いビジュアルへのこだわりが薄れてきているように感じます。一方の広告も、制作費が削減傾向にあり、クライアントはクオリティの高い写真を「買えなくなってきた」のかもしれません。

メディアのシフトも見逃せません。ポスターや雑誌広告の時代から、デジタルサイネージや電子出版への移行が始まりつつあります。デジタルサイネージは大型ディスプレイから店頭用ディスプレイ、電車の中、そのうちに携帯電話にも入ってくるでしょう。そして電子出版が日本でどの程度普及するかはよく分かりませんが、iPadやAndroid系タブレットPCがより薄く・軽く、洗練されてくれば、紙メディアの相当部分はその役割を終えるかもしれません。そしてWebと電子出版はより親密な関係になってくるでしょう。

時代は「マス」から「個」へ向かってシフトしているようです。そこで求められるのは多様化への対応です。

例えばAmazonに買い物に行くと、「お勧め製品」を提示してくれます。これがおそろしく的確でイヤになりますが、Amazonは過去に自分が買った製品の履歴による個人データベースから、類似製品を導き出して提案してくるだけなので、的確なのは当たり前です。

これがWebの世界だけではなく、現実世界にも広がってくるかもしれません。なじみのショップに行けば、まずディスプレイにお勧めが一覧表示される、といったような。

ちょうどJR東日本が、年齢、性別を判断する顧客属性判定用センサーによって、お勧め商品を表示する「次世代自動販売機」を発表したというニュースを目にしたばかりです。

さて、話が妄想めいてきましたが、ではカメラマンは今後どうすればよいでしょうか。

もちろん、写真表現の追求は言うまでもありませんが、「商業写真」の視点では、メディア自体がマスから個のニーズを満たすような構造になってくると、以下のような、より割り切った対応が求められるような気がします。

・Webや電子出版、デジタルサイネージを意識した、小さな画面に最適化した写真
・同じく、ちょっとしたムービー撮影への対応
・3D CGで物撮りを行う際のライティングスキル、、、などなど。

これらはこれまでカメラマンの仕事の範疇にはありませんでした。ただカメラマンでなければできない仕事でもあります。

取り留めのない話になってしまいましたが、妄想の続きは、また書きたいと思います。(M)



●2010年6月
21日(月)

ウン十年も編集者をやっているので、いろいろなカメラマンさんと仕事をしてきました。ポラばっかり切ってなかなかフィルムを入れない人、逆にあっと言う間にパチパチ撮っちゃう早押しの人、駆け出しの編集者だった私にブローニーの残り枚数をカウントさせた人(笑)、意気投合して取材の同行をいつもお願いしていた人・・・。このサイトは今まで出会ったカメラマンさん1人ひとりを思い描きながら作っています。あの人ならこの記事に興味を持ってくれるだろうか・・・と。

それでも圧倒的に読者のサンプルが足りない。また、典型的な読者モデルを想定するのが非常に難しい。というか、できません。長玉でオートスポーツを流し撮りしている人と、場末のラブホテルで妖しい写真を撮るカメラマン。あるいは美瑛の四季を撮る人とラーメンやスイーツを撮る人。ビューティ専門のカメラマンとブツ撮りを極める人。はたして皆さんに共通項はあるのでしょうか? あるとすれば審美眼、この1点だけのような気がします。編集者であれば、素材と編集スキルを分けて考えることも可能ですが、カメラマンの場合はもっと被写体と撮る側が密接な関係のように感じます。ディレクター的な編集の仕事に比べ、カメラマンは作家性を求められるクリエイターだからかもしれません。

そんなわけで、プロカメラマンという小宇宙の中に共通項を探すことはしません。マインド、テクニック、ツールといったテーマにおいて、それぞれ「面白くて役に立つ」記事を模索していければよいのかなと思っています。(M)




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