・カメラマンにとっての3D CG基礎知識

・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える

・プロカメラマンのための撮影データ管理術

・3ds Maxを用いた新時代写真術

・Capture One 徹底使いこなし術

・PCJライティング講座





「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.20


Webコンタクトシート





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




早いもので、この連載も20回目を迎えることになった。プロカメラマンではあるが、プロの文章書きではない僕のつたない文を応援していただいている皆様に、ここをお借りして感謝いたします。CaptureOneも以前よりははるかに多くのユーザーに使われるアプリケーションになったが、使いこなしに不自由しているユーザーも多く、この連載が少しでもプラスになればうれしいです。

さて、今回は「Webコンタクトシート」について、解説していこう。

このWebコンタクトシートはかなり前のバージョンからC1に入っている機能だが、使ったことのない人も多いと思う。かくいう僕も、以前はよく使っていたが、今はまったく使っていない。理由は、以前はこのWebコンタクトシートを使って、クライアントへの見本を出していたのだが、今はJPEGQuickProofを使っているので、使わなくなってしまったのだ。クライアントへの見本出しは、撮影後に要求されることが多く、それに手間取りたくはない。そういう意味で、JPEGQuickProofは、C1を使う上で、その目的に最も適している方法だと思う。JPEGQuickProofの作り方は「第13回 出力:現像レシピからバッチ処理まで」を参照してほしい。

ということで、今回のテーマであるWebコンタクトシートは必要ない機能なのか? と言われるとそうでもない。

1つはクライアントへの見本出しにしても、そのクライアントがPCのスキルが低い場合、もしくは会社などから支給されているPCが古く、2、3世代も前のマシンを使っているとかで、大量の画像を閲覧することが難しい場合がある。そんな時に、このWebコンタクトシートで見本を作って渡せば、ほとんどどんなPCでも、セレクト作業が行える。つまりWebを見るように画像が見られるのだ。

2つめは、フォトグラファーが自分の作品を簡単にWeb化できる点だ。このWebコンタクトシートと、あとはFTPソフトがあれば、自分の契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)にアップロードするだけでWeb公開できる。フォトグラファーたるもの、自分の作品サイトの1つも持っていないと今やお話にならない時代だ。専用のWeb作成ソフトを買わなくても、C1でWeb作成ができることは知っておいても損はないだろう。

それでは順を追って解説する。



◀まず、Webコンタクトシートにしたい画像を選ぶ。

ここでは以前解説したようにRedタグを打ち込んだ画像をソートさせて、その20点を選択した。


◀「編集するバリアントの選択」ボタンを押しておくことを確認して、


◀ファイル>Webコンタクトシートの作成... を選択する。


◀Webコンタクトシートのウィンドウが開く。

その際に、画像をレンダリングするので、RAWデータからだと若干の時間が掛かる。進行状況は左下のバーで表示される。

また、何かの設定を変えても、再レンダリングされるので、このバーが出る。



◀レンダリングが終わりWebの画面をシミレーションしたウィンドウになる。


◀ウィンドウの左側がWebコンタクトシートの設定になる。

まず上からレイアウトのテーマだが、Webの表現方法で2種類、それとバックグラウンドの色でそれぞれ2種類の4通りある。

好みで選べばよいが、クライアントへの見本ならClassicになるだろう。


▲Classic(Dark)

▲Classic(Light)

▲FullScreen(Dark)

▲FullScreen(Light)


◀次にタイトルと説明だが、ここは適宜。作ってみれば分かるが、テキストの大きさ、色、レイアウトなどは変更できない。

コピーライトは著作権者の名前を入れておく。撮影したフォトグラファーの名前になるだろう。

Webリンクはメールアドレス、または自分のサイトを入れておこう。


◀次にイメージの設定。

キャプションは画像の下に入る文字のことだ。画像のファイルネームを入れる場合は、バリアント名、または姓になる。ちょっと日本語訳がおかしいが、その内直るだろう。


◀サムネールはClassicの画面でのサムネイル画像の大きさだ


◀プレビューはサムネイルをクリックした後に開く拡大画像のことだ。

サムネールもプレビューもどちらも、このサイズは長辺のピクセル数を表している。縦位置の写真が多いときは1,000ピクセル以上にしてしまうと全画像をスクロールなしで見られる環境も限られるので、注意したい。


◀クオリテイはプレビューデータの圧縮率を表示している。当然、クオリテイを低くした方が、画面表示は速くなるが、細部描写には厳しくなる。クオリテイを上げればきれいな画像になるが、速度が遅くなる。また、この画像を不正使用しようとするときに、クオリテイが高い方が有利になるため、その兼ね合いは個人で判断することになる。


◀不正使用という面で、1つTipsを。

このWebコンタクトシートを作成する際に、透かしを入れた画像にすることも可能だ。

レシピで透かしを入れるという設定のものを作っておく。

このレシピを選択してからWebコンタクトシートの作成をすると、プレビューデータに指定した透かしがすべて入る。


◀透かしだけで、不正使用防止にはならないと思うが、ないよりはましだろう。

ついでながら、このプレビューデータにはEXIF情報などは記録されたままなので、気にする人は注意されたい。


◀上から設定を終えたら一番下は出力になる。

「パス」の右端のボタンを押すと、PC上のどこに書き出すか?を指定する。

名前はWebのファイル全体が入るフォルダ名になるが、後々のことを考えると半角英数字、Web上で使えるものにしておく方がよいだろう。

すべて設定できたらウィンドウの右下の「エクスポート」ボタンを押す。


◀エクスポートは一瞬で終わる。なぜならWebコンタクトシートの設定ウィンドウですでに画像はレンダリングされているので。

左が書き出した後のWebコンタクトシートだ。指定した場所に書き出されている。

このフォルダごと、クライアントに渡せば撮影画像の見本として使える。その際は「フォルダ直下のindex.htmlをダブルクリックするとWebブラウザで画像が見られ ます」と、先方に伝える必要がある。


なお、見本画像は「preview」フォルダに入っている。


◀エクスポート後、Webとして見られるので、確認しておこう


◀さて、フォトグラファーの作品としてWebに公開したいときはどうするか?

先ほど作ったフォルダをそのまま、自分の契約しているサイトにアップロードするだけでWebになる。

左の画面はマック用のFTPソフト「Transmit」だが、ドラッグアンドドロップでファイルを転送できる。

こうやってWeb公開したサイトが以下だ。

http://homepage3.nifty.com/y2/flower/index.html

flower



今回はC1のWebコンタクトシートをテーマに解説した。

使い方によってはいろいろなことができるのだが、そのための慣れも必要な機能だろう。

興味のある人は一度試してほしい。うまくピタリとはまるフォトグラファーも多いと思う。


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