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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.13


出力:現像レシピからバッチ処理まで





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




すでにお使いのフォトグラファーもいるかと思うが、Capture One Pro 6がバージョンアップされた。バージョンナンバーは6.2になる。お使いの方はC1を起動して「バージョンアップのチェック」をすると新しいバージョンの案内Webサイトにいく。

毎度のことだが、新しいバージョンをインストールする際には注意が必要だ。C1はアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップするというインストール方法なので古いバージョンを上書きして消してしまう。ここでも何度か紹介したように、アプリケーションフォルダの中に別のフォルダを作り、その中に古いバージョンのC1を退避させ、新しいバージョンをインストールするという方法をお薦めする。

僕もすでに新しいバージョンを使い始めているが、状況によっては強制終了することもある。仕事で使うメインPCにインストールする際には上記のような注意を怠りなく。

さて、新しいバージョンだが、正式に日本語での案内も出るかと思う。変更点はいくつかあるが、僕にとってうれしかったものが以下の点だ。

1:マミヤ(Phase One)645DF以外でもカメラコントロールが効くようになった。連結撮影したニコン、キヤノンのカメラのシャッタースピード、絞り、ファイル形式などがC1から変更できる。

2:新しいカメラへの対応。キヤノンEOS Kiss X5や、ニコンD5100など。

3:部分調整ツールでのマスクを他の画像へコピーペーストしたり、反転ができるようになった。

これ以外でも細かな部分でのブラッシュアップがされている。まだ試している最中なので、追々ここでもご紹介していきたい。

さて、このシリーズも今回で2年目に入ったが、まだ紹介していないツール、機能が多い。今回はその中でも「出力」について解説しよう。出力は現像、または書き出しのことで、C1では出力と言っている。



◀CaptureOneは多様なフォーマットで出力できる。ファイル形式はもちろん、色空間、圧縮率、サイズを使用用途に応じて出力できる。 出力の設定は出力ツールタブから行う。


◀他のツールと同様、上から順番に設定をしていくと完成する。

現像レシピは出力するための手順セットという意味合いだ。ファイル形式などのセットを作ってレシピとして保存しておける。現像レシピはいくつでも作ることが出来、使う時だけチェックを入れれば、その現像レシピで現像される。

◀まず1つ作ってみよう。

新しくレシピを作るには現像レシピツールのメニューバー、右側の下三角をクリックして「レシピの追加」を選択する。もしくはツールウィンドウの右下にある+ボタンをクリックする。

なお、不要になったレシピはここから削除もできる。


◀レシピに名前を付ける。

商業印刷用のTIFFファイルを作る例にしよう。


◀現像設定で形式などを設定する。

基本のタブでは基本的な設定を行う。

形式はファイルフォーマットを指定する。今回はTIFFで。ビット数は8ビット。

圧縮は必要に応じて選ぶ。(LZWとZIPが選べる)

解像度は商業用印刷なので350DPIとした。

スケールは出力時のサイズを指定する。ここでは100%にする。

シャープは無効にするチェックもある。ここは必要に応じて。

開く方法では、現像後、そのファイルを他のアプリケーションで開くことが出来る。出力後、合成などが必要な場合はここでフォトショップを指定する。大量のカットを一気に現像する時はここは「なし」としておいた方が良い。

◀以上で現像設定は十分だが、さらに一工夫できる。

詳細設定タブでは出力先にサブフォルダを作り、その中に現像後データが入るようにできる。

サブフォルダ名で「TIFF」とした。

下の著作権情報などはIPTC情報を現像後のデータに入れるかどうかを指定できる。

◀現像ファイル名の設定では現像後のファイル名を指定する。

形式の右にある「…」ボタンを押して、ネーミングフォーマット画面で設定が出来る。

ここでは撮影時のファイル名を使うことにする。サンプルでファイル名が確認できる。

◀設定が済んだら、ツールの一番下にある現像ボタンを押すと現像が始まる。現像の進捗状況はその左のバーで表示される。


◀現像後、指定されたようにPhotoshopでTIFFファイルが開かれる。


◀JPEGのクィックプルーフ出力

プロフォトグラファーの仕事において、撮影後、すぐに見本の画像データを要求されることが多い。現像でクライアントを待たせず、スマートに撮影画像を渡したいものだ。

そんな時に有効な出力がクィックプルーフ出力だ。

形式で「JPEG QuickProof」を選択する。これはJPEGでも、オリジナルRAWファイルから現像したJPEGファイルではない。CaptureOneではインポートされたファイルを表示するためにサムネイル画像を作成するが、そのサムネイル画像を書き出して使うのが「JPEG QuickProof」ファイルだ。これだと現像しないでJPEGファイルを抽出できるので



◀この「JPEG QuickProof」ファイルのサイズはデフォルトでは長辺1000ピクセルだが、このサイズは環境設定で変更できる。

環境設定>イメージ、のプレビューサイズが「JPEG QuickProof」ファイルの長辺サイズになる。

この数字を大きくすれば解像度の高いデータが瞬時に得られる。

ただし、基本的には画面表示用のプレビュー画像なので細部の描写はされていない。たとえばここを2000ピクセルと変更しても酷解像度のデータにはならない。あくまでも簡単なチェック用としよう。


◀ウォーターマークの追加

本番用データではなく、確認用データという意味で他人に手渡す際に、誤使用を防ぐために透かしを入れたいというニーズがある。CaptureOneではそれも可能だ。

現像設定ツールの中、「ウォーターマーク」タブから設定が行える。

ここでは画像に「SAMPLE」の文字を入れることにする。

タイプではテキストかイメージを選択できる。イメージにすれば会社ロゴなどを入れられる。

テキストは「SAMPLE」という文字にした。

不透明度を下げることにより写真全体のイメージを壊さず、その上、誤使用を防ぐような透かしにする。


◀以上の設定で現像するとこのようになる。

◀Web用のJPEGファイル

プロフォトグラファーの仕事では印刷用画像と同時にウェブ用画像も求められることが良くある。その時の設定をしてみよう。

形式はJPEG。
画質はケースバイケースで。今回は80にした。
プロファイルはWeb使用ではsRGBがスタンダードだろう。
解像度は72PPI。
スケールは画像サイズになるが、ウェブの場合、モニターサイズが最大になるので、想定されるサイズはおおむね決まってくるだろう。ロングエッジは長辺サイズをしてするという意味だ。ショートエッジは短編サイズという意味。

◀今回はスケールをロングエッジとし、長辺が640ピクセルと設定した。


◀詳細設定タブではファイル名で「サブ名」に「web」と入れた。出力される名前でサブ名を付ける指定をすればファイル名に「web」と入るようになる。

メタデータのチェックは著作権情報のみにした。ウェブ用画像はダウンロードされることを想定して不要な情報を入れないためだ。

◀同時出力

以上のように3つのレシピが作成された。

レシピの左にあるチェックボックスをチェックするとそのレシピで現像される。1つもチェックされていないと現像されないので注意しよう。

このように複数のレシピをチェックすることもできる。これで現像すると、3つのレシピが同時進行する。1つのRAWファイルから3つの画像データが出力されるわけだ。

◀一回、現像ボタンを押すだけで、出力フォルダにはこのようにフォルダ分けされた画像ができる。

レシピにチェックを入れた現像だけ行う点に注意しよう。


◀バッチ処理

出力レシピが作られ、RAW現像が出来るようになったが、大量のカットを一気に現像してみよう。これを「バッチ処理」と言う。CaptureOneでのバッチ処理は簡単だ。

現像ツールタブで現像レシピをチェックした後、現像したい画像を選択する。選択はサムネイルウィンドウから様々な方法でマークされた画像を一覧表示させ、シフトキーを押しながらマウスクリックで必要な画像を一括選択する。選択ができたらビューアをマルチビューにすると、選択されたカットが表示される。確認後、現像ボタンを押す。現像ボタンは現像ツールタブの下と、メニューバーの右にある。

◀現像ボタンを押した時に、このようなアラートが出ることがある。

これは「一時バリアントと選択バリアントを切り換える」ボタンがオンになっていない時に出る。このままブルーになっていない方の「選択された全てを処理」をクリックすればバッチ処理は始まる。

◀なお、「一時バリアントと選択バリアントを切り換える」ボタンはメニューバーにあるのでチェックしておくと良いだろう。色が変わっているとオンになっている状態という意味。

◀バッチ処理が進行中はバッチツールタブで確認できる。



◀キューはこれから現像する画像を表示している。上から順番に現像されるので、順番を変えたい時はここでアイコンを移動すれば順番が変更できる。現像したくないカットがあればここで削除も出来る。このキューはあくまでも現像までの順番を表示しているだけなので、削除しても画像本体は削除されない。

バッチ処理を途中で止めたい時は一番下の「停止」ボタンを押せば一時停止が出来る。

◀以上がバッチ処理のやり方だ。

CaptureOneでは今まで現像してきた画像ファイルを記憶している。

その記憶は履歴タブで一覧になる。

◀ここから過去の写真を同様に現像もできる。その時は一番下の「再現像を選択済み」ボタンを押すと現像キューに入る。

また、この履歴は溜まる一方なので定期的に必要でなくなった履歴を消去した方がCaptureOneの起動が速くなる。起動時にこの履歴を読み込むため、履歴が膨大にあるほど時間が掛かるからだ。履歴の消去ボタンを押せば、すべて消去される。

◀Tipsとしては、さらに履歴を消すやり方をご紹介しよう。

上のようにC1上で履歴を消しても実は残っている。それも消去してしまおう。

履歴のある場所は以下だ。

ユーザ>ライブラリ>ApplicationSupport>CaptureOne>BatchQueue5.1

このフォルダが履歴をためている場所だ。フォルダを手で開けて、中のファイルを全選択してゴミ箱に入れると、履歴はなくなる。

C1の起動が遅いという人は試してみる価値はあると思う。


今回は出力について解説した。

次回以降、何を書くかは決めていないが、お楽しみに。

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