・カメラマンにとっての3D CG基礎知識

・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える

・プロカメラマンのための撮影データ管理術

・3ds Maxを用いた新時代写真術

・Capture One 徹底使いこなし術

・PCJライティング講座





「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.18


撮影データの簡単バックアップ





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




本連載の第16回「グローバルフィルターとバックアップについて」で、バックアップについて書いたが、MacのTimeMachineを使ったバックアップではいくつかのデメリットがある。まず、TimeMachine起動中はそのマシンパワーを大なり小なり食ってしまう点。さらに、TimeMachineでのバックアップは特定フォルダだけをバックアップするわけではなく、そのハードディスク全部のファイルをバックアップするので、時間が掛かる点。この2点が僕は以前から気になっていた。

もちろん、良い点もある。ユーザーがパソコンに詳しくなくても設定が簡単で、そのパソコン自体をすべてバックアップしてくれるのは、さすがアップルらしいやり方だと思う。

そもそも、プロユーザーをターゲットとしていないので、プロのフォトグラファーのような特殊な事情を抱える人には別の方法論があるべきではないか? と、それを今回のテーマにした。

まず、バックアップはなんのためか? 切り分けよう。使っているMacをその環境のままバックアップしておきたい、と言うニーズならTimeMachineでのバックアップがよいと思う。フォトグラファーが撮影されたデータを確実にバックアップしたい、というニーズなら、その写真だけを指定して保存する方が効率的だ。

今回は撮影されたデータだけを確実に簡単にバックアップすることを考えた。




◀C1で撮影をする時、インストールされた時のデフォルトセッションではユーザ>ピクチャ>CaptureOne6>Captureフォルダになっているはずだ。

まず、大事な撮影されたデータが入るフォルダを特定の場所にしてしまうことが第一歩だ。このデフォルト状態でもかまわないが、階層が奥深いので僕はハードディスク直下に新たに「スタジオ撮影フォルダ」というフォルダを作り、その中に「撮影フォルダ」「セレクトフォルダ」「変換フォルダ」の3つを作り、撮影データは一貫してそこに入るようにしている。

もちろん、ピクチャフォルダの中でもよいが、階層が浅い方が何かと便利だと思う。

フォルダを作成したら、C1のライブラリから「スタジオ撮影フォルダ」>「撮影フォルダ」を表示させる。

ライブラリのの文字の上で右クリックすると左のようなメニューが出る。

ここで「キャプチャフォルダに設定」を選択する。これでデフォルト状態から「撮影フォルダ」に撮影される写真は入ることになる。


◀同じように「セレクトフォルダ」もC1のセレクトフォルダに設定する。


◀同じように「変換フォルダ」もC1の現像フォルダに設定する。


◀これでこのデフォルトセッションで画像取り込み、セレクト、現像をした時はすべてこの「スタジオ撮影フォルダ」の中に入ることになった。

ライブラリの右にアイコンが出てくるが、これがそれぞれ指定のフォルダになったというマークだ


ファイルのバックアップにはバックアップ専用のアプリケーションを使う。

今回は「Carbon Copy Cloner」(略してCCC)というフリーソフトを使った。フリーだから何となく不安、という気持ちは僕にもあったが、ここ1ヶ月ほど使った印象ではまったく問題なく、むしろ有償の専用ソフトよりも使いやすいと思った。ただ、英語なのでよく分からないから、、という人もいるだろう。今回は撮影データのバックアップに絞って順を追って説明していくので、英語のまったく分からない人でも大丈夫だと思う。

「Carbon Copy Cloner」のサイトに行ったら、ダウンロードをクリックする。インストールはC1と同じように、解凍後、アプリケーションフォルダにドロップするやり方だ。


◀起動後の画面から設定する。

左側に設定したフォルダを右側の設定したフォルダにコピーするという、簡単な設定だ。

赤丸で囲んだところをクリックして、それぞれのフォルダを指定する。


◀まずは先にC1のキャプチャフォルダを変更したが、その「撮影フォルダ」を指定する。


◀次にバックアップのコピーをするフォルダを指定する。

今回は外付けのハードディスクの中に「バックアップ」フォルダを作り、そこを指定した。



◀バックアップのハードディスクはできるだけ転送速度の速いものがよい。僕が使っているのはFW800接続の2.5インチハードディスク。USB端子もあるのでノートで使う時も困らない。


◀次にバックアップをどう処理するか? を選ぶ。

CCCは非常に高機能のコピーソフトなので、いろいろな設定ができるが、ここではあくまでもフォトグラファーが使う前提で設定する。

ここではメニュー一番上を選ぶのがよいと思う。これはバックアップするフォルダの中に何らかの変更があったとしても、そのバックアップ先の同じファイルを上書きしてしまわないで、アーカイブとして古いファイルも取っておくというものだ。フォトグラファーのための、とにかく安全にファイル保存するという大原則から、自分が間違って捨ててしまっても、バックアップフォルダには残っている設定がベストだと思う。

次にスケジュールを作る。ウィンドウの下の方に「schedule...」というボタンがあるので、それをクリックする。

これはフォトグラファーが自分でバックアップの起動させなくても、定期的に自動でバックアップを取るようにするものだ。

CCCでは、最短1時間ごとに自動起動してバックアップを取る。左のメニューは一番上が1時間ごと、1日ごと、1週間ごと、、、というように選べる。


◀バックアップの時間を指定する。左では10時30分になっている。これで毎時30分に定期的なバックアップをするという意味だ。

ここでバックアップが1時間ごとにしか取れないのは不安だ、と言う人もいるだろう。その時は上記の設定を同じものを2個作り、それぞれのタイムスケジュールを30分ずらしておけば、1時間に2回のバックアップが取れることになる。

これで「撮影データバックアップ」とスケジュールタスクに名前を付けて「Save」をクリックする。

◀元の画面に戻って、すべての設定が終わったら、「Clone」ボタンをクリックする。これで初回のバックアップが起動する


◀バックアップ中の画面はこういうウィンドウが出る。

下半分に出てくるのは広告だ。フリーソフトなので広告が付いているという次第だ。英語なのでそれほど気にならないだろう。


◀初回のバックアップが成功すると、このようなアラートが出る。これはバックアップ後に必ず出るので、これがうっとうしいと言う時は丸印で囲んであるところをチェックすることでアラート自体が出なくなる。

なお、Donateは寄付と言うことだが、このソフトが気に入って応援したいと言うことなら、寄付をしてあげよう。

◀さて、バックアップ先はどうなるだろうか? 元の撮影フォルダから撮影後、画像を削除して、次の撮影に備える、と言うことは毎日のようにある。C1でキャプチャフォルダを変更したのは、このように毎日のように撮影したデータを保存、削除した時でも、同じセッション、同じフォルダのままで使うためだ。

なお、撮影ごとにセッションを作っているフォトグラファーは、このバックアップ元となる「撮影フォルダ」の中にセッションを作ればいい。そうすれば、バックアップの設定を変えることなく、撮影データのバックアップが出来る。

CCCをバックアップに使えば、削除したとしても、バックアップフォルダにはこのようにアーカイブとしてその日付とともに保存されている。

◀ロケ先はノートを使うシーンも多いだろう。

ノートPCでは内蔵ハードディスクが1個だけなので、撮影データのバックアップという面では非常に心細いものだ。足場の悪いロケではPC自体の落下、損傷ということもあり得る。

そんな時でも外付けハードディスクをつないでCCCを設定しておけば、1時間ごとに自動的に外付けハードディスクにコピーしてくれてるので、予期せぬ損傷にも最悪1時間前までのデータは別のハードディスクに保存されているというだけで、気分は相当落ち着くはずだ。


◀このバックアップソフトは便利なのだが、急に使うというものではない。日頃から常にバックアップを心がけて、その設定をしておくというものだ。まさに転ばぬ先の杖。

僕の場合は、撮影用のMacだけでなく、画像処理用のMacにもCCCを入れてバックアップさせている。納品前のデータと、請求書や住所録、メールなどの普段の業務に使う書類のバックアップだ。CCCはいくつものスケジュールを同時並行で流せるので、いったん設定さえしてしまえば、何も考えなくてよい。

C1で連結撮影する時、多くのフォトグラファーを悩ましているのが、この撮影データのバックアップだろう。35タイプのデジタル一眼では、内蔵のメモリーカードに同時記録が出来るという設定も有り、それを活用しているフォトグラファーも多い。たぶん、その方法が最も確実な方法だろう。
ただ、カメラ内に同時記録は、転送スピードが若干遅かったり、メモリーカードが一杯になるタイミングを忘れてしまってイライラしたりと、デメリットもある。
そもそも、Phase Oneのようなバックタイプでは内蔵のメモリーカードに同時記録とい うオプションはないので、撮影現場でのバックアップ作業は必須になる。

ただでさえバタバタしているロケ現場で、余計な仕事はトラブルの元になる。バックアップのような単純作業は機械に任せておけば良い。

今回ご紹介した方法で多少なりとも、フォトグラファーの負担が減れば良いと思う。





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