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・カメラマンにとっての3D CG基礎知識

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・PCJライティング講座





「Capture One 5 Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.06


Capture One 5.2リリース!
さらに便利になったLCCの使いこなし




文:湯浅立志
1961 年生まれ。主に広告、出版、Web サイトなどの商品撮影に携わる。企業と消費者、出版社と読者をつなぐ仲介者と位置づけ、浸透力のあるビジュアルコミュニケーションを目指す。


「Capture One 5 Pro」 49,800円
「Capture One 5」   12,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/captureone/index.html
Phase One
http://www.phaseone.com/








第6回目を迎え、現像ワークフローを前回に続き書くつもりだったが、去る9月14日にCapture One 5.2がリリースされたので、急遽、今回はそのアップデートされた解説も含めて書いていきたい。

アップデートされてまだ日も浅いので、まだダウンロードしていないというフォトグラファーも多いと思うが、僕が使った限りでは完成度はさらに高くなっていると感じたので、ぜひ使ってみてほしいと思う。ダウンロードと変更点は以下から。
Download Capture One

Capture One 5.2 Release Notesを読んでいただければ分かるが、大きな変更点はleaf、マミヤとの使い勝手が良くなったことだ。さらに実際に使ってみると、安定感が数段増した印象を受けた。特にPhase Oneデジタルバックでライブプレビュー画面を出した時、今までだと全体表示がままならなかったが、このバージョンでは改善されている。新バージョンに二の足を踏んでいる旧バージョンユーザーにも自信を持って薦められる、そんなバージョンアップだと思う。
そして、今回のバージョンアップで最大の変更点はLCC(レンズキャストキャリブレーション)の適用範囲が大幅に拡大した点だろう。LCCは過去に一度、ここでも取り上げている。
Capture One 5 で連結撮影 その 3: Phase One編

今まではPhase Oneのデジタルバックで撮影された画像でないとこのLCCは使えなかった。もともと中判デジタルバックで広角レンズを使った時に、CCDに対して斜めに入る光により、撮影画像に色むらが出るという現象を、現像ソフト上で打ち消すという方法論から開発されたLCCだが、C1はその機能を拡大してきている。バージョン5から色むらを取るだけではなく、明るさの差までも吸収、解消できるようになった。今回そのLCCがPhase Oneのデジタルバック以外のカメラ、たとえばキヤノン、ニコンなどで撮影されたRAWデータにもLCCが掛けられるようになったのだ。これはかなり大きい変革だ。使いようによっては日頃の撮影を一変させるくらいのエポックメイキングなことだと、僕個人は思っている。

今回は良い機会なのでこのLCCの使いこなしを書いてみたい。




◀インストール後、C1を起動させるとこのようなアラートが出る人も多いだろう。

ワークスペース(画面インターフェース)をいじっていると、デフォルト状態に戻される。今までのワークスペースは保存されているので、確認後、戻しても大丈夫。



◀まず、小手調べ。

周辺光量落ちの激しいレンズでどのくらい改善されるかを見ていこう。

僕の持っているレンズでなんと言っても周辺光量落ちが大きいレンズと言えば、シグマ12-24mmだ。最広角12ミリという画角が必要な時はこれしかないので、周辺が落ちようがなんだろうが、使うしかないという人は多いだろう。これとフルサイズのカメラでインテリア撮影をしているフォトグラファーも多いはずだ。

LCCを使うためには、まず、LCCの元となる画像が必要になる。これはCapture One 5 で連結撮影 その 3: Phase One編でも触れたが、僕はライトビューワーを使って撮影している。左の写真のように手持ちで全画面に白が写っていればいい。露出はヒストグラムの山が真ん中に来るくらいで。ホワイトバランスは適当で良い。



◀上のやり方で撮影されたLCC画像。

使用カメラはキヤノン1Ds-mk3で12ミリなので、このくらいは落ちるのは仕方ない。

左のツールバーの「レンズ補正」の中にLCCがあるので、そこから「分析....」を選択。



◀名前を聞いてくるので、適当な名前を付ける。ファイルネームのままでもよい。自分で分かればよいものだ。建築写真が多くて、後々、このLCCデータを再利用したい時は後でも分かるようにネーミングしておく。今回は「シグマ12mm」とした。


◀ 「保存」をクリックするとこの撮影画像を元にして解析が始まる。


◀解析後、LCCを掛けたところ。

上のムラムラの写真も見事に均一なトーンになる。

もうこれで理屈はお分かりになるだろう。つまり、この解析データを他の撮影された画像データにも掛けるというのがLCCなのだ。




◀風景写真に掛けて見よう。

左のツールバーの「レンズ補正」の中、LCCから先ほど保存した「シグマ12mm」を選択。



◀と、あっさりと周辺光量落ちは解消してしまう。



◀同じように周辺光量落ちの激しいレンズ、キヤノンEF50mm/F1.2Lでも試してみた。

左がLCCを掛けたところだ。



◀他の写真にも掛けて見た。左がLCC。一度LCCを作れば同じレンズを使っていればその解析データは使い回せる。

だが、ここでいくつか注意点。使い回せると書いたが、厳密には撮影画像と同じ絞り、距離の解析元データを作って解析させた方がよりよい。それと、同一機種で複数台所有しているカメラでは、同一機種だからといって、違う個体のカメラのLCCは使えない。あくまでもそのカメラで撮影された画像からのみLCCは当てられる。また、LCCが使えるのはフルサイズのRAWデータのみだ。S-RAWやM-RAWではLCCは当てられないので、注意して欲しい。



◀このLCCを利用して、ゴミ除去もできるようになった。

モデル撮影など、同一カメラで多数のカットが存在する時に便利だ。

ここでもゴミを発見した時にビューワーで白の画像を撮っておいた。



◀分析、ネーミングは同じやり方。

その場限りの時はファイルネームのままで良い。


◀右の方にゴミがあるのが分かるだろうか?



◀ここで「ゴミ除去」をチェックすると、



◀LCCで消してくれる。



◀このパラメータを撮影画像に掛けるだけで、全カットゴミを消せる



◀ここまでのことは同じようなことはカメラメーカー純正の現像ソフトでもできることだ。

C1の面目躍如はここから。

建築写真、商品撮影ではシフトレンズを常用しているフォトグラファーも多いだろう。僕もその1人だが、ビューカメラのようにあおって撮影して形は修正されたはよいが、画面が均一な明るさではないので、後処理で周辺光量落ちなどを修正しているフォトグラファーは多いはず。純正現像ソフトでも周辺光量落ちは修正できると書いたが、シフトレンズは対象外だ。なぜならあおった量によって、落ちる部分と落ち方が変わるからだ。結局は、後処理でトーンカーブレイヤーにグラデーションマスクを作って、、とやっていると思う。



◀これからはそんな撮影にこのLCCを使いたい。

あおった状態でLCCデータを撮影して、それを使えばいい。

左の例は1Ds-mk3にTS-E17mmでシフトさせた画像だ。これを元にLCCデータを作る。



◀元画像(左)

上で作ったLCCを掛けたところ(右)。


◀左は館内撮影にも使ってみた。

どうだろう? かなり一発でうまく行っていると思う。

このLCCの元となる解析データだが、撮影現場で撮るのは現実的に困難だ。ただ、建築でのシフト量はおおむね決まっているので、事務所に戻ってからカメラにレンズを付けて、シフトを再現し、ビューワーに向かって撮ることで、十分に使えるLCC用の画像は得られるはずだ。ただし、厳密を記すのなら、撮影のその場で撮るに越したことはない。



◀建築写真などでLCCを使う時の注意点としては、カメラの向きを覚えておくことだ。

左の例はカメラを縦位置で上にシフトさせた時のLCC解析用データだが、この時、ペンタ部分が左なのか、右なのか?これを分けておかないとLCCがうまく行かない。つまり、あとで回転させた解析用データだとうまくいかないことがあるからだ。



◀縦位置用のLCCをいくつか作っておき、しっくりくるものを選ぶようにした。

左がLCCを掛けてた写真。右が補正前。



◀ピントを合わせるためにスイングした写真にもLCCは有効だ。

ピッタリとあおった時の落ち込みを直してくれる。



今回は予定を変更して新しくなったLCCの使いこなしを提案した。

今のところ、あおった状態での周辺光量落ちを自動で解消できるのはこのC1だけだろう。シフトレンズを多用しているフォトグラファーには強力な武器になる機能だと思う。

高品質な写真を手早く仕上げる、、、これからもC1を駆使していってほしい。


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