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[創刊]特別企画 これが中判デジタルの世界だ!
Part2:中判デジタルとデジタル一眼の画質比較

さて、前置きが長くなりましたが、中判デジタルって実際のところ、どれだけ違うの? という観点で比較テストをしてみました。

最初に断っておかなければなりませんが、すべてを同じ条件で比較することはかなり難しいのです。特に違うカメラを比較するときに、撮影状況、使うレンズ、絞り、現像ソフト…これらを平等にするのはほとんどの場合、無理でしょう。今回のテスト機材をご紹介しましょう。

中判デジタル
カメラ Phase One645DF (屋外) ジナーP (スタジオ)
レンズ シュナイダーSK80mm/F2.8 LSD(屋外) 
ローデンシュトック アポ・シロナー・デジタル55mm/F4.5(スタジオ)
デジタルバック Phase One IQ180  Leaf Credo60 Phase One P45+

35タイプデジタルカメラ
カメラ ニコン D800
レンズ AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(屋外) PC-E Micro NIKKOR 45mm f/2.8D ED(スタジオ)

撮影はどちらもRAWデータで、現像ソフトはPhase OneのCaptureOne 6.4.3を使用しています。ニコンに関しては一部、純正現像ソフトであるCapture NX 2を使ってみました。

画像データはフルサイズのJPEGデータをFlickrからダウンロードできるようにしてますので、実際にご自身の目でご確認ください(なお、FlickrからフルサイズのデータをダウンロードするにはFlickrに入会しないとダウンロードできません。入会は無料で簡単ですのでこの機会にどうぞ。またFacebookのアカウント入力でも可能です)。


まずはできるだけ同じ撮影条件にしやすいスタジオ撮影テスト。

シャドーの出方も見るため、1灯ライティングであえてレフも使わずに撮影してました。
使用ライトはプロフォトD1Air


スタジオなのでPCと連結撮影をしています。使用ソフトはCapture One(以下C1)です。

ホワイトバランスはグレーカードから取り、カスタムホワイトバランスとしてそのまま。

バックタイプでは、カメラプロファイルが選択できるのですが、標準的と思われるものにしました。

Leaf Credo60 Phase One IQ180 Phase One P45+ ニコン D800


写真はオリジナルデータをダウンロードしてご自身の目で見てください。

左はそれぞれ同じ場所を100%拡大したものです。

IQ180の画素数は8,000万画素と、現時点では最も高精細な写真が撮れるカメラの1つです。このレベルが撮れてしまうと言うことを見ていただきたいです。


左はIQ180の「sensor+」という機能を使って撮影したものです。

「sensor+」とはセンサーの4個を合算して画像を取り込み、それを1つの画素として記録するというものです。画素数は1/4になるものの、ノイズレベルとダイナミックレンジが広がります。IQ180の画素数は8,000万画素なので、1/4になったと言っても2,000万画素です。プロカメラマンの仕事では必要以上の画素数はいらないと考えられますが、大は小を兼ねるの「sensor+」は便利な機能でしょう。


次に屋外でのテスト撮影です。

東京ゲートブリッジに行ってきました。

夕景の橋を狙ったので、刻々と日が落ちていき、カメラごとの条件が変わっています。厳密とは言えませんが、実際の撮影条件と近いという意味合いで参考にしてください。

三脚は固定で同じ位置から撮っています。

ホワイトバランスは橋の中央部分の空をスポイトしています。

Leaf Credo60 Phase One IQ180 Phase One P45+ ニコン D800


左の画像はPhase OneのP25+という2,200万画素のデジタルバックです。

見ていただきたいのは2,200万画素でも、このくらいの描写がされてしまうという点。もちろん、細かい部分の解像はできませんが、35タイプとは別次元だと思います。


D800に対して、純正現像ソフトを使わないのはフェアではないというご意見もあります。左の画像は純正現像ソフトである、Capture NX 2でデフォルトのまま現像したものです。上のC1現像と比較して、僕はC1の方が良いと感じましたので、そちらを比較対象にしました。


細部を比較していきましょう。

まず、遠景。


細部の描写の違いは空背景が分かりやすいでしょう。


 

次に夜景撮影での比較です。

ホワイトバランスはデイライト(太陽光)を指定して、その他の現状条件はデフォルト設定です。

Leaf Credo60 Phase One IQ180 Phase One P45+ ニコン D800



ジャギーの出方、欄干のライトの1つひとつの分離感をご確認ください。


コンクリートの模様に対して、遠景になると、その模様とセンサーのピクセルがちょうど合ってしまうと、モアレが発生します。

ここではIQ180の高精細さが、モアレさえも起こしにくくなっている点を見てください。つまりコンクリートの模様よりもIQ180のセンサーの細かさが勝っているためです。

以上のように、中判デジタルと35タイプのデジタルカメラを比較してみました。

画質は良いけど、取り扱いが面倒なのでは? と思うフォトグラファーも多いでしょう。

最新のデジタルバックはその取り扱いも洗練されてきています。35ボディと同じとは言いませんが、近い操作感で撮影できるようになってきました。


左の動画はLeaf Credo60をジナーPに付けてライブビューから撮影までをした動画です。ノーカットでお見せしてますので、その使い心地を見てください。


左の動画はLeaf Credo60でモデル撮影をしたとき、その画像チェックを背面液晶で行った様子です。これもノーカットでお見せしています。


同じくIQ180の画像チェックです。

このくらいでピントチェックは出来てしまいます。これが8,000万画素だって、信じられますか?

それでは簡単に各バックタイプをご紹介しましょう。


Phase One IQ180

Phase Oneは1年ほど前に新世代のデジタルバックとしてIQシリーズを発売しました。今までの4つのボタンを継承しながら、タッチパネルも併用して使いやすさを向上させました。

IQシリーズにはsensor+という4つの画素をひとまとめにする機能も付いています。これにより、1台で2つの使い勝手を得られるようになっています。

物理的なボタンがあるので、寒冷地など、手袋をしていての操作もそのまま可能です。


Leaf Credo60

Phase One社の傘下に入ったLeafから、新世代のデジタルバックとして発売されたのがCredoシリーズです。

Leafは以前より、ペンタッチによるタッチセンサーを採用してきました。その後継として、タッチパネルを全面に配置した操作系を持っています。

メニュー構造も簡単で、誰もが説明書を読むことなく、扱えるほどと思います。


Phase One P45+

すでに世代としては1つ前の型になりますが、左がなじみ深いPhase Oneのインターフェイスでした。この4のボタンですべての操作をするという画期的なデザインでしたが、ある程度の慣れを要したのも事実です。

コダック製のCCDを使用している稀少的な存在のデジタルバックです。なぜなら長時間露光が1時間まで可能なのです。型としては1つ前ですが、稀少な存在として今後も残ってくれるとうれしいですね。

現像ソフト CaptureOneについて

中判デジタルを語る上でデジタルバックと同じくらい重要なのは現像ソフトです。

Phase One社のデジタルバックにはCapture One(C1)というソフトが標準で付属しています。多くの場合はCapture One DBと言って、デジタルバック専用のソフトになりますが、Proバージョン、expressバージョンに移行することで、ニコン、キヤノンをはじめとした多くのデジタルカメラのRAW現像が可能になります。

また、Proバージョンではテザー撮影(連結撮影)と言って、PCとカメラを接続して使うことも可能になります。Phase Oneデジタルバックはもちろんのこと、ニコンとキヤノンの主要なデジタルカメラでも可能です。

35タイプのデジタルカメラユーザーからPhase Oneへステップアップしやすい要因の1つは、このオールマイティな現像ソフト、C1があるからです。使うカメラはシーンによりいろいろですが、現像ソフトはC1、1つだけでOKです。慣れないメーカー純正の現像ソフトを使う必要もありません。

C1の現像では現在ある他社の現像ソフトと同様、いえ、それ以上の品質、操作感で現像することが可能です。

レンズについて

高精細な写真を撮る上で、デジタル部分以上に重要なポイントはレンズです。

どんなに高精細なデジタルカメラを持っていても、ダメなレンズではそれなりの解像感でしか写真は撮れません。

Phase One645DFではマミヤ製のレンズと、シュナイダー製のレンズの2つのラインナップから選択できます。特にシュナイダー製のレンズではレンズシャッターを搭載しているので、日中シンクロではこのレンズでしか得られない表現が可能になります。

さて、長くなりましたが、初回はこのくらいにしておきましょう。

今後、随時、中判デジタル関係のご紹介をしていくつもりです。

今後の展開にご期待ください。


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