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第5回:アンコールワットをPhase One IQ160で撮る part2-1

●シェムリアップという町

アンコールワットへ行って、当然撮るのは遺跡の写真ばかりになりますが、着いた当初、1、2日は興奮して撮影しまくりますが、遺跡巡りも2、3日経つと、どこへ行っても同じに見えてきてしまいます。よほどの遺跡マニア、歴史好きならいざ知らず、普通の人だとそうなると思います。

アンコールワットのあるシェムリアップは、観光で成り立っている町です。どこへ行ってもたいていは片言の英語で何とかなることと、比較的安全な町であることは、写真を撮る上でも非常に助かります。ただ、遺跡のあるところでは、物売りの子供たちに取り囲まれて、「買って」「1ドル!」と食い下がってきますが、置き引きをするとか、スリとかの犯罪をするようなことはないと思います。高価なカメラを提げていることは、海外では決してよいことではありませんが、ニコン、キヤノンと中判デジタルを見分けられる人はほとんどいないでしょう。持っている本人が一番それを気にしているだけで、多くの人は「大きいカメラ」程度の認識しかありません。だからといって、気を抜いてよいわけではありませんが。神経質なくらいに気にすることなく、日本と同じように、町中を歩いて、そして写真を撮っていても、危険を感じることはまったくありませんでした。

注意!
以下の写真はすべて100%画像をFlickrからダウンロードできます。ただし、写真の著作権は湯浅立志に属します。無断使用、不正使用はお断りいたします。写真は画質の判断のためにお使い下さい。

●アンコールワットを撮り歩く

アンコールワットの遺跡の中で。たぶん、遺跡の中で商売している人のご家族だと思います。たいていはこのように一家揃って遺跡の中に来て、そこで物を売ったりしています。女の子がかわいかったので、写真を撮らせていただきました。このように、お願いしての撮影でも、お金を要求されることも少なかったです。ヨーロッパあたりだと、結構厳しく要求された経験があるのですが…。

中判デジタルでこの手のスナップをするのはかなり難しいことです。ほんの数枚しか撮るチャンスがない中、きちんとピントを合わせてシャッターを切る…。今時のデジタル一眼ではそれほど失敗もないのですが、中判デジタルではピントの浅さ、これがなんと言っても最大の失敗の要因になります。

今回使った645DFは以前の645と比べて、はるかに速いAF機能を持っています。僕はPhase One 645の初期型を持っているのですが、今回の旅行で645DFを使って、あまりの使いやすさに買い換えを決意したほどです。

また、デジタルバックのIQ160も、撮影後の確認のしやすさ、これも便利でした。こんな状況で、何枚も撮れるわけないですからね。さっと数枚シャッターを切って、ささっと確認。デジタル一眼と同じとは言いませんが、近いレベルくらいになったと思います。

photo

Schneider AF55mmF2.8 LS
ISO400 1/125 f5.6

ベイヨンから象の鼻テラスの前の直線道路です。

地元の人の足はもっぱらこういうカブみたいなバイクです。

この120ミリMacroはオークションで購入したレンズです。マクロなのでAFでなくてもよいかと思って買ったのですが、商品撮影以外では厳しいと言わざるを得ません。ただ、645DFのファインダーはピントの山が見やすいので、ちゃんと合わせれば、それなりに撮影はできます。

 

photo

Mamiya 120mmF4 Macro
ISO200 1/1000 f5.6

ベイヨンの奥でトイレ休憩をした時に寄ったお土産物屋さん。

びっしりと服が陳列されていて、それが面白かった。100%画像をダウンロードして見ると面白いですよ。さすがに中判デジタル、細部までよく描写されています。

 

photo

Schneider AF80mmF2.8 LS 
ISO200 1/180 f7.1

2日目、遺跡以外の場所に行きました。ここはトンレサップ湖といって、シェムリアップからクルマで40分程度の場所です。アンコールワット旅行で組み込まれる観光地でもあります。

Google Earthで見てもかなり大きな湖なのですが、乾期のせいか、このように泥水状態です。湖の中に大型の桟橋があり、そこまでボートで行くのが観光コースになっています。ボートからは湖上生活者の様子とかが見えるのですが、それが面白いかどうかは個人によるでしょう。僕はカメラを向ける気にはならなかった。カンボジアに限らず、水上生活者はたいていはどこでも貧しい人たちですから。

アンコールワットの観光サイトでトンレサップの写真を見ると、よく出てくるのが、タライに乗った子供の写真です。「現地の子供たちはタライに乗って遊んでいます」とキャプションが書かれていますが、これは勘違いで、タライに乗って写真を撮らせて、それでお金を稼いでいるという見方が正しいでしょう。

 

photo

Mamiya AF 35mm F3.5
ISO200 1/250 f12

トンレサップ湖からの帰り、チャーターしたタクシーのドライバーに夕日のきれいなところへ案内されました。山の上に寺院があって、その裏から沈んでいく夕日が見られます。

ここはまだ観光化されていなく、訪れる人も少ない場所です。ただ、それだけに整備されている場所ではなく、単に裏山に登って、その斜面にへばりつくように見る、といった感じです。

持っていった三脚がやっと役に立ちました。海外へ三脚を持っていくのは、かなり難しいことです。小型では役に立たず、大型では行動を制約される…僕が海外用として使っているのは ジッツォ「マウンテニアカーボン6X三脚GT1530」にスリックの自由雲台を付けたものです。35のシステムでは何とかなるのですが、中判デジタルでは役不足でした。この時もいかにブレずに撮るか? その戦いでした。中途半端なシャッタースピードではシャッターの開いた時の振動が収まりきらないうちに露光されるので、ブレてしまい、鮮明さが落ちた写真になります。現地でいろいろ試した結果、感度を下げて、数秒の長時間露光にするとブレずに撮れるという結論に至りました。

100%画像を見ていただくと、田んぼの1枚1枚が精緻に写し取られていることに感動することと思います。

地平線まで続く田園地帯に感動しました。

 

Photo

Schneider AF80mm F2.8 LS
ISO50 2.5sec f8.0

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