・カメラマンにとっての3D CG基礎知識
・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える
・プロカメラマンのための撮影データ管理術
・3ds Maxを用いた新時代写真術
・Capture One 徹底使いこなし術
・PCJライティング講座
|
PCJのライティング講座では、実際の仕事の現場から、さまざまな事例を紹介していく。
今回はLEDライトを試用して、その使い勝手をレポートしていこう。
No.04
1024個の光を使いこなせ、
噂のLEDライトを徹底検証!
写真・文:奥富信吾
1959 年生まれ。主に広告、出版、Web サイトなどの商品撮影に携わる。企業と消費者、出版社と読者をつなぐ仲介者と位置づけ、浸透力のあるビジュアルコミュニケーションを目指す。
→メール
使用カメラ:ニコン D2X
ストロボ:フォトナ
パソコン:Mac Pro
ソフト:Photoshop CS3
|
|
▲作例の写真1(クリックで拡大)
|
●LEDライトの時代へ
家庭でも広く使われるようになってきたLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ライトが、このところ撮影用の照明機材としても利用されるようになってきています。今回は、今後の期待の高い新しい照明機材といわれるLEDライトを実際に使ってみて、撮影用照明としてどのような特性を持つライトなのかを以下レポートします。
今回は株式会社ケンコープロフェッショナルイメージングのご協力をいただきLEDライトのFLOLIGHT MICROBEAM LEDライトシリーズから、「LED512/V」(価格134,400円/本体128,000円)と「LED1024」(価格189,000円/本体180,000円)の2機種を試用しました。http://www.kenko-pi.co.jp/
●FLOLIGHTの主な特徴
まずFLOLIGHTの特徴を簡単にまとめます。以下が従来の光源にないLEDならではのメリットとなります。
・点光源(1cmにも満たない小さな発光ダイオード)の集合体で面光源を構成している。
・最大の特徴は調光してもあまり色温度が変わらないこと(Max~Minの幅で100K.程度の変化しかない)。
・25,000時間の長寿命を持ち、熱をあまり発しない。
・バッテリーが取り付けられる機種があるのでコンセントがないところでも撮影が可能。
・白熱灯や蛍光灯に比べ、紫外線や赤外線を含まない光が得られる。
・「LED512/V」は2段階(Bank1、2)、「LED1024」は4段階(Bank1〜4)の切り替えスイッチが付いている。
・フィルターホルダーが付いている。
→スペック表
▲LEDの点光源のアップ(クリックで拡大)
|
|
▲LED512/V(クリックで拡大)
|
|
▲LED512/Vの裏面の操作パネル(クリックで拡大)
|
▲フィルターホルダー(クリックで拡大))
|
|
▲LED1024(クリックで拡大)
|
|
▲LED1024の裏面操作パネル(クリックで拡大))
|
●FLOLIGHTの使い勝手
FLOLIGHTは、手軽に持ち運びでき、セッティングに時間を取られず、さらにあまり熱くならないので撮影後はすぐに撤収できるという優れものです。出張撮影をはじめ、自然光と組み合わせる補助光としても便利で、2、3灯用意すればスタジオでの小物撮影から人物撮影まで万能にこなせるライトといえるでしょう。
LEDライトは、スタジオの光が自然光になった! と言われるくらいの革新的なライトですが、バッテリーを用いることで電源のないところでも気軽に持ち込んで利用できるので、撮影の幅が広がり、写真の表現力も豊かになります。
FLOLIGHTのようなLEDライトの一番の特徴は、なんといっても出力を変えても色温度があまり変わらない点です。多灯し、出力値が違う場合でも色温度合わせをしなくて済むので、その分他のセッティングなどに時間が使えます。
また以下のミニチュアカーの作例のように、点光源をそのまま生かすなど、演色性にも優れているので、商品撮影には打ってつけです。今後は、もっと大きいサイズやスポットライトなどのバリエーションに期待したい。
●作例1:LEDライトでミニチュアカーを撮る
LEDライトの写り込みを利用した写真。何もディフューズせず、黒のミニチュアカーのボディにあえてLEDの点光源を写り込ませ、なおかつ車の存在感を出してみました(トップの写真1)。
この角度で撮影する場合もフロントガラスにライトが写り込むので、トップのライトを写り込まないところまで逃がして撮影。その後、フロントガラス部分を切り抜き合成したのが以下の写真となります(写真2、3)。
LEDライトは点の集合なので、写真においてはメリット、デメリットがあるのは言うまでもありません。このミニチュアカーのように、反射率の高い被写体に対しては特に注意が必要です。何もディフューズしていない直のライトを用いると、写り込ませ方によっては車の存在が薄くなってライトばかりが主張してしまいます(写真4)。
▲写真2:フロントガラスにLEDが写りこんでいる(クリックで拡大)
|
|
▲写真3:フロントガラスを切り抜き合成(クリックで拡大)
|
|
▲写真4:ライティングには細心の注意を(クリックで拡大)
|
●作例2:LEDライトをバックライトにして香水のイメージを撮る
次にLEDライトを背景に利用して、香水瓶のイメージを撮影しました(写真5)。まずLEDライトの前に香水を逆さに立たせて撮影します(写真6)。
仕上げとしては、Photoshop上で、香水瓶を支えている棒をスタンプツールを使って消します。次に香水瓶を切り抜き、瓶のコピーを2つ作ります。レイヤーパレットには背景があり、その上に切り抜いた瓶、またその上に切り抜いた瓶、合計3つのレイヤーを作ります。
次に真ん中のレイヤーをアクティブにしてメニューバーのフィルターからぼかし(移動)を選択します。上から落ちてくるように縦方向にぼかします(写真7)。続いてレイヤ―パレットを通常から乗算にして、出来上がり。通常から乗算にすることによって瓶の透明感や、背景がバックライトなのでなじんだ感じが得られます。
LEDライトならではの、フラットでクリーンな仕上がりになったのではないでしょうか。
▲写真5:完成写真(クリックで拡大)
|
|
▲写真6:香水瓶を逆さに固定して撮る(クリックで拡大)
|
|
▲写真7:Photoshopで縦方向にぼかす(クリックで拡大)
|
|
↑Page Top
|