・カメラマンにとっての3D CG基礎知識
・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える
・プロカメラマンのための撮影データ管理術
・3ds Maxを用いた新時代写真術
・Capture One 徹底使いこなし術
・PCJライティング講座
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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。
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Capture One 徹底使いこなし術 、今回はモノクロ写真について解説しよう。
デジタルカメラが普及してより身近になったのがモノクロ写真ではないかと思う。ここで改めて写真の歴史を語るまでもないが、写真はモノクロからカラーへ、そしてデジタルという変遷をたどっている。デジタル化される以前は「写真=カラー」だった。当時、モノクロ写真のために白黒フィルムをカメラに詰め、モノクロプリントをしていたが、主流のカラーから外れるため、時間も掛かったし、金額もカラーより高く付いたものだった。特にこだわりのあるフォトグラファーは暗室でオリジナルプリントの制作をしていたものだ。デジタルカメラはそのモノクロ写真も一変させてしまった。撮影時にモノクロ写真のためにフィルムを用意する必要がなくなり、RAWで撮影しておけば、後でカラーにもモノクロにもできる便利さは、モノクロ写真にとっては革命ともいえるものだ。
今回はC1でモノクロ写真へ変換する流れを追いながら解説する。
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◀C1でモノクロ変換する時に便利な機能がある。モノクロ写真に特化したワークスペースに切り替えよう。
ウィンドウ>ワークスペース>ブラック&ホワイト。
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◀左がブラック&ホワイトのワークスペースだ。
なお、今回に限らず、ワークスペースは作業によって積極的に切り替えていった方がトータル的には効率が上がる。
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◀ブラック&ホワイトの調整タブが出る。ここにモノクロ写真に必要な調整が集まっている。
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◀ブラック&ホワイトツールタブがモノクロ変換への第一歩だ。
ここで「ブラック&ホワイトを有効」にチェックを入れるだけでモノクロ写真に変換される。
その下にあるRYGCBMのスライダーは写真の中でその色の濃淡を調整するスライダーだ。「ブラック&ホワイトを有効」にチェックを入れるだけだとすべてが中間のトーンのままのモノクロ写真になる。
ビューアを見ながらそれぞれの各チャンネルのスライダーを動かしてモノクロ変換した時の濃淡の調整を行う。
(注意!B/W変換時RGBCMY別に編集 はプロバージョンのみ)
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◀このモノクロ変換にはたくさんのプリセットが用意されている。先に書いたように自分で各チャンネルを動かすのも楽しい作業だが、簡単に手早くモノクロ変換するにはこちらを選んだ方が便利だ。
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◀プリセットの一番上にあるデフォルトを選択してみよう。
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◀RYGCBMのスライダーはこのように変化した。
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◀上の花の写真をモノクロ変換するとこうなる。
これでは上の方にある紫の花が真っ黒につぶれてしまい、何が写っているのかも分からない。
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◀そこで青のスライダーを動かして青い花が明るくなるように調整する。
また、下にある明るい紫色の花もメインのオレンジの花と同じ明るさになっているので、これもマゼンタのスライダーを動かして明るくする。
このようにしてそれぞれの花の分離感を出したのが上の写真だ。上下を比べてみるとその違いがよく分かるだろう。
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◀下のカラー写真をモノクロ変換して上の写真になった。
ここまでの流れがモノクロ変換への基本的なやり方だ。
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◀ヌードフォトではモノクロ変換はよく使われる手法だ。カラーではあまりに生っぽくなってしまうので、それを避けるためにモノクロ写真にする。
上のやり方と同じに「ブラック&ホワイトを有効」にチェックを入れる。
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◀肌色のトーンを重視してスライダーを調整する。
肌色を明るくするには赤と黄を明るくする方向へ。
それと、背景を落とすためにシアンと青を暗くする方向へ。
これでモデルだけが浮き上がってくる。
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◀シャープネスを落とす。
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◀さらに透明度をマイナスへ。この透明度は中間調をクッキリさせたい時に使うツールだが、マイナス方向にも動かせるようになったので、今回のようなモデル撮影でも使えるツールになった。マイナス方向に動かすと、フィルターのソフターが掛かったような効果が出る。
さらにモデルを印象強くするためにビネットで周囲を落とした。
これで完成。
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◀次は風景写真をモノクロ変換してみよう。。
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◀風景に特化したプリセットがある。「Landscape」がそれだ。1から3まであるが、1から順番にコントラストが上がるようなプリセットになっている。
今回は「Landscape3」をセレクトした。
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◀「Landscape3」でも十分だが、この写真は強い印象を出したかった。そこでトーンカーブツールのプリセットを使う。「Mid tones - darker」をセレクト。これで中間調をっさらに落とす。
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◀中央にある岸壁を真っ黒につぶしたいので黒の出力レベルを上げた。これで黒がつぶれる。
透明度を上げて全体的にクッキリ感を増す。
さらに印象強くするためにビネットで周囲を落とした。
これで完成。
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◀部屋の壁に飾ろうと思いプリントすることにした。
C1はバージョン6からダイレクトにプリントができるようになった。プリントについては追々書くつもりなのでここでは簡単にする。
プリントに際して、トリミングを正方形にしたいと思った。
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◀ビネットは「楕円-クロップ有効」にしておく。
これはトリミングなので画面を切られても、その切られた状態で周辺を落としてくれる機能だ。
これで完成。後はプリントするだけ。
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◀さて、上のままだとプリント後のイメージがつかみにくい
こういうときには写真の周りに余白を付けて確認したい。
環境設定から外観を選択。
色を白にして、プルーフの余白を大きくする。
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◀ビューアでプルーフ表示を選択すれば余白に白が付いた状態で確認できる。
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◀プリントはファイル>プリント...
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◀プリントの設定をしてプリントボタンを押せばこのままプリントができる。
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◀もう1つ、面白いモノクロ変換をご紹介しよう。ブラック&ホワイトツールタブの中に「スプリットトーン」というツールがある。
「スプリットトーン」とは単なるモノクロ写真ではなく、2色で表現するモノクロ写真というものだ。
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◀感色性をスプリットトーンに切り替える。「ブラック&ホワイトを有効」にチェックして、下のスライダーを動かすだけだ。上部のスライダーが明部の色で、下のスライダーが暗部の色になる。
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◀スライダーを動かしてもよく分からない時はプリセットを使おう。
スプリットトーンだけでいくつもあるので、そこから好みのものを使う。
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◀プリセット「Split Toning-BlueBrown3」を使って、そこからスライダーを動かして自分好みにした。
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◀自分の気に入ったスプリットトーンが出来たらそれをスタイルとして保存しておこう。
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今回も長くなってしまった。
モノクロ写真は写真のバリエーションとして完全に定着した。C1ではプリセットを使うことで簡単に早くイメージを具現化できる。そして、プリントも C1からできるようになったので、明るい暗室として非常に使いやすいものになったと思う。これを機会にモノクロ写真を是非楽しんで欲しい。
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