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「Capture One 5 Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.04


現像編その1:ICCプロファイルを使いこなそう




文:湯浅立志
1961 年生まれ。主に広告、出版、Web サイトなどの商品撮影に携わる。企業と消費者、出版社と読者をつなぐ仲介者と位置づけ、浸透力のあるビジュアルコミュニケーションを目指す。


「Capture One 5 Pro」 49,800円
「Capture One 5」   12,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/captureone/index.html
Phase One
http://www.phaseone.com/









連結撮影で3回連続という、過去に例を見ないほどの充実した解説と、一部では話題のこの企画だが、いよいよ本丸の現像の話に入ろうと思う。

C1ProはバックタイプであるPhase Oneの現像ではもちろんのこと、Phase One以外のデジタルカメラのRAW現像でも非常に評価が高いアプリケーションだ。追々その特徴を解説していくつもりだが、今回はICCプロファイルについて書いてみたい。

C1ProでRAW現像をする時、見過ごすことも多いこのICCプロファイルだが、そもそもなんなのか?

昨今の35mmタイプのデジタル一眼ではほとんどのカメラで色の傾向(色相、彩度)、コントラストを変化させるプリセットが装備されている。キヤノンでは「ピクチャースタイル」、ニコンでは「ピクチャーコントロール」という名前になっているが、C1ProでのICCプロファイルは、それとほとんど同じと考えてよい。

ただし、C1ProでPhase One以外のカメラを使う場合、それほど多くの選択肢がないのだが。

今回はこのICCプロファイルの使いこなしを考えてみよう。




◀ICCプロファイルと聞いて、すぐ分からない人も多いと思うので、まずその場所から。

デフォルト状態ではツールパレットのQ(クィックタブ)の中に入っている。「基本特性」がICCプロファイルの設定ツールになる。

基本的にはRAWデータに記録されている撮影カメラの情報を読み込んで、自動的にそのカメラのプロファイルを当てるようになっている。

左の例だとキヤノン1Ds-mark3のデフォルト状態ということだ。



◀ICCプロファイルの下に「カーブ」があるが、トーンカーブのようなものと思ってよい。デフォルトでは「Film Standard」になる。

普通に使う分には使用カメラのプロファイルで「Film Standard」のままで問題ない。

ここの設定を変えてみると以下のように変化する。


Film Extra Shadow

Film High Contrast

Film Standard

Linear Response

▲先に書いたようにトーンカーブのように調子を変化させるので、デフォルトのままで後はトーンカーブで調整するという方法もあるが、ご覧のようにここでおおよその写真の方向性を選択して、その後、トーンカーブなどで修正を加える方が簡単でコントローラブルだろう。



◀ICCプロファイルの項目では、バックタイプでのデータでは左のようにプリセットが装備されている。

左はPhase OneのP45+の例。



◀左はPhase OneのP65+の例。

機種によって装備されているプリセットが違う。


◀「Flash」はスタジオでの撮影では平均的に使われるプロファイルだが、Phase OneのP65+では2種類用意されている。

V1とV2で色の傾向が違う事を把握しておきたい。
Flash

Flash V2



◀僕がPhase Oneを使っていて、最も便利な部分はここだ。

モノトーンの機械ものの撮影ではライトの微妙な差異で色の変化が出てしまうことが多い。そういった際に「Flash-Easy Gray」を選択するだけで、きれいなグレートーンの写真になる。

左の例では同じホワイトバランスでICCプロファイルを「Flash-Easy Gray」にしたのが上の写真だ。下との違いを見れば歴然。

単に彩度を落としただけと思われがちで、実際に、それに近いが、すべての彩度を落としているわけではないところが、絶妙だと思う。



◀バックタイプでは多種類のICCプロファイルが用意されているが、デジタル一眼タイプではそれほど多くは入っていない。これは機種にもよるが、キヤノン1Ds-mk3では「Generic」の1種類だけだ。

カメラ内のピクチャースタイルやメーカー純正ソフトの「Digital Photo Professional」ではいくつかの設定があるのに、C1Proでは1種類というのは物寂しい。

先に書いたようにICCプロファイルは色相、彩度、コントラストなどのプリセットなので、それぞれのパラメータを調整していけば、ピクチャースタイルなどと同じような設定に持っていくことも可能だ。

ただ、使い勝手を考えると、いくつかのICCプロファイルが用意されていると便利なのに、と思うが。

さて、裏技として、撮影されたカメラ以外のICCプロファイルを当てると言うこともできるので、ここで紹介しよう。

まず、「すべてを表示」を選択する。



◀すると、このカメラ以外のメーカーが一覧となって表示される。

C1ProでRAW現像できるすべてのメーカーが出てくるので、ここで適当に撮影したカメラ以外のプロファイルを選択してみるという方法だ。


肌色の出方、背景の色の変化を見るとその特性が分かると思う。

この撮影カメラと違うプロファイルを当てることをここで奨めるわけではない。色の変化は、どこかで破綻を来すこともあり得ることなので、他機種のプロファイルを使う際には十分気をつけたい。

ただ、この方法を知っておくと、何かと便利だと思う。

僕の仕事では機械ものの撮影が多いと書いたが、Phase Oneではなくキヤノンで撮影しても、ICCプロファイルで「Flash-Easy Gray」で現像するというケースが多い。非常にきれいなグレートーンが出る。無彩色での色の転びに苦労している人に、是非お試しいただきたい方法だ。
キヤノン1Ds-mk3で
デフォルトの
「Generic」で現像

Phase One P25+の
「Flash」で現像


今回はC1ProでのRAW現像の最初の一歩、ICCプロファイルについて書いたが、今後はそのほかの機能について書いていくので、お楽しみに。



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