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▲Hシステムの最上位機種「H4D-60」(クリックで拡大)

▲6ショット切って2億画素の撮影が可能なマルチショット対応カメラ「H4D-200MS」(クリックで拡大)


●5,000万画素が売れ筋

−−先ほど6×6の正方形の画角は写真館では浸透しないというお話がありましたが、Hシステムになってそういった市場の開拓は進んでいるのでしょうか。


飯田:少しは進んでいるというところで、まだまだです。逆にデジタル時代になって、写真館自体の運営が厳しくなって来た面もあるようで、先ほども言いましたが、うちは後発ということで写真館がバックタイプをカメラに取り付ける時期にはまだハッセル製のバックはなかったんですね。

−−それなりの投資ですから一度システムを入れてしまうとなかなか替えられないですよね。ファッション写真やコマーシャル系でのHシステムの普及はいかがですか。


飯田:コマーシャル系はおかげさまで、中判システムの3割ぐらいはあると思っています。でもこれからですね。

−−中判デジタルカメラとしてのHシステムは、どういう点をアピールポイントとされているのでしょうか。

飯田:性能面では一番はウルトラフォーカス。全部一体で設計されているので、ピントなどの精度が優れています。それとレンズのディストーション、レンズ収差も現像ソフトの「Phocus」に入れました。特にHD28mmですね。もともと28mmは歪んでいるレンズですが、「Phocus」で見るとスコンと歪のない写真になります。レンズの性能も色収差もデータ化してソフトに反映させています。あとはマルチショット機能です。

−−マルチショットは4回シャッター切る4パスの撮影ですね。

飯田:はい。「H4D-200MS」というカメラでは、6ショット切って2億画素の撮影が可能です。

−−データ量が相当大きくなりそうですね(笑)。

安彦:そうですね。TIFFにして約600MBですね。

飯田:ハッセルにはもともと2,200万画素、3,900万画素からずっとマルチショットを持っています。このシステムはここ2年ぐらい、アーカイブの分野、特に文献、歴史博物館など、そういう需要にかなり納めさせていただいています。撮影データに演算をかけないものが求められています。どうしても確実に忠実に色再現させたい被写体がありますから、そういう場合は昔ながらの手法の4パスが最適です。今、5,000万画素のマルチショットはハッセルしかありません。

−−一方で3,100万画素のちょっとリーズナブルな価格帯のバックも販売されています。動きはどうですか。

飯田:3,100万画素のバックは昔からありますが、むしろその下の2,200万画素と上の3,900万画素がかなり売れています。3,100万画素のCCD自体がプロから見ると中途半端な面があるようです。他社さんも同じようですが3,000万画素クラスはなかなか定着しません。CCDサイズがひと回り小さいというのもあるんですけどね。


−−これは中途半端な位置づけになってしまったのでしょうか。

飯田:そうですね。3,100万画素のバックだけマイクロレンズも入っているんですよ。CCDの前にレンズがあって、それで光を集めることによって感度性能を上げ、モアレを低減する。ただマイクロレンズを付けることによって横からの光に弱い点もありますので、そこがウィークポイントになっているのかもしれません。

−−では一番売れているバックは何画素ですか。

飯田:今のところは5,000万画素です。昔、H3Dの3,900万画素が一番売れたので、3,900万画素のCCDを持っている方が多いんですよ。その方々のリプレースが5,000万画素となるようです。ピッチは6.8ミクロンから6ミクロンになっています。その上の6,000万画素は値段的にもデータ量的にも重いので、5,000万画素が一番売れ筋になっています。


▲H4D対応のレンズ群(クリックで拡大)

▲6,000万画素のバックやマルチショット対応、高画素に耐える光学設計が施された新開発のレンズ、50mmの「HC50mm-II」と120mmの「HC120mm-II」(クリックで拡大)



●Hシステムの今後の展開

−−ハッセルの今後の戦略などをうかがえますか。

飯田:今後の戦略はHシステムをいかに広げるか、ですね。今、日本市場は広告が止まっているところがありますよね。紙媒体が減ってきて、プロのカメラマンさんも困っている。そこでムービーに向かったりと、メインのユーザーであるプロカメラマンがなかなか新しい投資をしてくれない状況です。

したがって、現在はハイアマチュア市場を重視しています。具体的にはHシステムをいかにハイアマチュアの方々に使っていただくか。ペンタックス645Dが4,000万画素なので、ハッセルにはもう少しハイスペックでリーズナブルなカメラのリクエストはかなりいただいています。

−−ペンタックス645D対抗のハッセルの中判デジタルカメラ、魅力的ですね。

飯田:ハッセルブランドで、コンシューマーの方々にも手が届く製品を検討しています。

−−その投入はいつぐらいになりそうですか。

飯田:まだ分からないです。アマチュア市場向けに戦略を練っている段階です。

−−確かにプロ市場は冷えていますからね。

飯田:日本はカメラ大国ですよね。ようするにキヤノン、ニコンが強い。海外はキヤノンさんの1Dsなどもけっこう高いんですよね。そうすると「もう少し足したらハッセルが買える」という感覚で中判デジタルに目がいくようです。

−−日本のアマチュア層はキヤノン、ニコンがカメラの世界のトップだと思われている方が多く、中判の世界が見えていないですよね。その辺をもっと訴求されてもよいかと思います。

飯田:それをやってくれたのがペンタックスさんなんですよね。

−−あとは日本のアマチュアの場合、体力的にやはり中判だと大きくて重い。そこもあるんじゃないでしょうか。

飯田:そうですね、アマチュアにVシステムが売れたというのは、両手で胸元にボディを持って上からファインダーを覗く感覚が好まれたんですよね。多少重くてもこれなら負担にならないですし、CFVもその流れでアマチュア層に受けたと思っています。Hシステムにおけるアマチュア層は、まだ市場の10%程度です。

安彦:ただハイアマチュアの中でHシステムを所有されている方は、5,000万画素や6,000万画素を選ばれるんですよね。ハッセルで一番いいものをと。

−−アマチュアの方は投資対効果は関係ないですから(笑)。一方でプロ市場は今後どうされますか。

飯田:プロ市場で一時「H3D」「2D」の3,900万画素がドンと売れたとき、プロカメラマンさんの皆さんは「実際はデジタル一眼で撮影しても、クライアント向けに中判デジタルがないと仕事にならない」と言っていました。

−−見せカメラみたいな。

飯田:クライアントさんから「中判ないの?」と言われてちょっと焦るというので皆さんリースされたり、若手のカメラマンもけっこう購入いただいた経緯はあるんじゃないかなと思います。

−−今、2,000万画素クラスのデジタル一眼も、今後は解像度をもっと上げてくるかもしれません。

飯田:ただ、どうなんでしょう。我々も不思議に思うんですけど、レンズの解像性がなかなかついてこないんじゃないかなと。

−−レンズを含めたトータルシステムでは中判デジタルの画像には及ばないですよね。

飯田:そうですね。取り込みも14ビットか16ビットかでダイナミックレンジは全然違います。キヤノンさんの2,160万画素カメラと、ハッセルの2,200万画素のバックタイプのセンサーを比べても再現性は全然違います。

−−なるほど。単に画素数だけでは比較できないわけですね。レンズはいかがですか。

飯田:最近、マクロ120mm、また50mmの2型と呼ばれるレンズを発売しました。1型も好評いただいていたんですが、6,000万画素のバックやマルチショット対応として、高画素に耐えられるよう、光学設計を改良したモデルで、120mmと50mmを新たに出しました。

−−RAW現像ソフトの「Phocus」についての情報はありますか。

飯田:Phocus(フォーカス)バージョン2.6.4が最新バージョンですが、バージョン2.5から他社のRAWにも対応するようになりまして、それはMac OSのエンジンを利用しているので、アップルが対応しているRAWということでだいたい150種類以上のRAWに対応しています。

−−それをフリーで使えるということですね。

飯田:かなり今使われてるお客さんはいらっしゃいます。

−−タダで使えるというのはユーザーには非常にメリットがありますよね。

安彦:はい。それから、これは「Phocus Quick」という簡易的なソフトも好評です。CFカードリーダーをコンピュータに差して、それだけで自動的に中の画像をインポートして、設定し、TIFFなりなんなりのフォーマットに自動で現像するソフトです。

飯田:アマチュアはCFカードで撮られますけど、いちいちファイルを転送するのは面倒だという方に対しては、そのままダイレクトにCFカードリーダーを差すと、Phocus Quickの画面が立ち上がって、あとはDNGかJPEGか何にしますかと聞いてきます。これだけでコピーをしながら現像してくれるんですね。

安彦:最近アマチュアに力を入れてきている中で、CFVのバックとこのソフトのセットでの提案はすごく反応がいいんです。

飯田:皆さんPhocusとか専用ソフトを見るとハッとなるんですよね。持たれているのがJPEGで撮れたりするカメラですので、難しく思われる。もともとプロ向けはRAWデータだからそれをどう処理するかが先にくるのですが、最初にPhocusを説明すると、「オレ覚えられるかな」と引いてしまうアマチュアも多かったんです。でも、「Phocus Quick」によってかなり負担の軽減になっていくのかなと考えています。




▲自動で手軽に使える現像ソフト「Phocus Quick」(クリックで拡大)

▲現像ソフト「Phocus」の編集画面(クリックで拡大)


▲iPadやiPhoneなどで撮影画像を確認できる「Phocus Mobile」




−−ハイアマチュアはパソコン世代より前の、年配の方が多いですよね。

飯田:多いですね。でも年配の方でも本当にちゃんと勉強されている方もいらっしゃいます。隣の人が使いこなしているから自分も使ってみたいという方は多いんですよね。要はユーザー同士で撮影会などの場で「オレにも使えるのかな」みたいな話から発展しますね。

それとiPhone/iPod touchやiPadなどからコントロールできる「Phocus Mobile」というソフトを出しました。

−−他社も連結撮影時のビューアーとしてiPadなどとの連動は意識されていますね。ハッセルのデジタルは本体、レンズ、バック、そしてソフトまで一体システムとして使いこなせるのが魅力ですね。

飯田:ソフト、カメラ、レンズすべてがハッセルです。ちなみに現在本社はデンマークにありますが、ボディはスウェーデンで作っています。なので、Hシステムはメイド・イン・ジャパン、メイド・イン・スウェーデン、メイド・イン・デンマークが合体してハッセルブランドになっています。

−−ありがとうございました。



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