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このコラムでは、毎回1人のイラストレーター、絵師の皆様に旬の作品を見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

Illustrator FILE 07:高橋由季

雑誌「ケトル」連載レビューページのイラスト

高橋由季:広島市在住のイラストレーター。カヤヒロヤとデザインユニット「コニコ」としても活動。ザ・チョイス江口寿史さんの審査にて準入選。書籍、雑誌、広告、CDジャケットなどさまざまな媒体で活動中。現在、WebマガジンART&MOREにて漫画「MIIIIIRAI」連載中。
http://takahashiyuki.com/

●イラストの完成図とコンセプト

雑誌「ケトル」連載レビューページのイラストです。

・片ページの扉(1P)/4色印刷(イラスト上)
・2見開き(4P)/2色印刷(イラスト中、下)
計3点のイラストを描かせていただきました。

●「テレビ東京」特集がテーマ
開局50周年を迎えた「テレビ東京」の魅力を伝える内容。テレビをモチーフにイメージを膨らませていただければとのこと(過去のイラストからイメージに近いイラストを数点あげてくださいました)。

広島在住ですので、テレビ東京はあまり身近ではありませんでしたが、それを踏まえた上でのご依頼でした。お電話で打ち合わせをさせていただきました。

・高橋さんが以前描かれているニュアンスで、かなり自由に描いて頂いて大丈夫。
・3つのイラストに共通性やストーリー性などがあることだけ意識していただければ、これといった縛りはない。
などといった条件をご指示いただきました。

テレビ東京の斬新な切り口、魅力的なコンテンツ。というのを女の子とテレビでどのように表現しようか考えたときに、まず自分は古い家電やタワーなど、プラスチック的なものがとても好きなので、イメージはわりとすんなりでてきました。

女の子を主役に絵を描くことが多いのですが、だいたい背景を想像してから、女の子を考えるので、今回もテレビ東京から連想されるモノを、普通じゃない組み合わせからなる空間を意識して取り組みました。

●使用ツール
4色印刷→アクリル絵具。2色印刷→透明水彩。Photoshop





●ラフスケッチと制作手順



上は4色印刷イラストの下描き。下は彩色したカラーラフ。修正前(左)と修正後(右)

●制作手順
(1)ラフ

(2)カラーラフ(1回目のラフからさらに描き込む。Photoshopで色付け)

(3)仕上げ

●4色印刷のイラスト
(1)ラフ
頭にアンテナがささっている女の子。テレビの中や外など出入り自由な存在。常に受信している感じです。テレビをたくさん描いて賑やかな構成にしました。

(2)カラーラフ
最初、少なめの色数にすることで、女の子を引き立てる構成にしたラフを提出したのですが、色数が2色くらいに見えてしまうので、少しもったいないかなという印象が…というお返事をいただきました。

そこから電話で打ち合わせ後、色を再度考えました。 文字情報が入る場所は薄めの配色になるよう気をつけました。 本番前のラフでもあるので、この時点で、背景も描き込みました。 ブラウン管テレビにしたり、テレビに映る映像も描いて、ボリュームを出しました。

(3)仕上げ
下描きをトレースし、アクリル絵具で着色しました。女の子の足元を描くのがいつも楽しいので、靴や靴下は今回の洋服にはどんなのが合うか考えてトレース後に軽く描き込みました。

広い面(薄い色から順番に)から塗っていきます。不思議な世界観を出すためにムラはわざと残し、ざわざわさせました。 だいたい色が乗ってきたら、輪郭線を描いていきます。

今回は女の子と東京タワー、女の子が出てきてるテレビが手前にあるので、強めに。特に女の子を目立たせたいのですが、輪郭線を強い色にすると浮きすぎてしまうので、今回はブルーに。

色のトーンが全体的にパステルカラーでしたので、全てが同じ調子にならないよう気をつけながら所々に強めの色やラインを入れて、調整していきました。 描き込むところとあまり手を入れずに見せるところのバランスを大事に描いてます。

●2色印刷のイラスト
(1)ラフ
ストーリー性のある展開をとのことでしたので、4色印刷のイラストで登場するアンテナの女の子と、テレビを背負っている女の子をメインに、テレビや東京タワー、電波を発しているうさぎなどで構成しました。

(2)カラーラフ
こちらは2色印刷なので、カラー1色と、ブラックで展開したラフを送りました。

(3)仕上げ
すべて同じ色で仕上げるため、固形の水彩絵の具を使いました。筆に含ませる絵の具の量で濃淡をつけながら描きました。

2色ページは特色(カラー)+スミ(黒)となり、とてもきれいに仕上がっていて嬉しかったです。

次回は嶽まいこさんの予定です。

(2015年5月25日更新)

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