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このコラムでは、毎回1人のイラストレーター、絵師の皆様に旬の作品を見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

Illustrator FILE 18:松沢タカコ

金星灯百貨店ポスターの作成

松沢タカコ:東京都在住。中央美術学園卒業後、デザイン会社に入社。デザイナーとして、主にキャラクター商品などに携わる。2007年よりフリーのイラストレーター/デザイナーとして活動。イラストレーターズ通信会員。
http://enkado.jimdo.com

●アイデア出し~ラフ

●椎名町の雑貨屋さんを描く

池袋で毎年開催される「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」というイベントの企画で、イラストレー ターとデザイナーがタッグを組み、お店のポスターを描く、という初の試みが行われることになり、ひょんなことから参加させていただくことになりました。

私が担当することになったのは、金星灯百貨店という椎名町の素敵すぎる雑貨屋さん。 まずは担当デザイナーさんと一緒にお店を訪問。オーナーさんの紡ぐ、複雑に絡み合った物語の世界の中のお店というコンセプトを、まだ知らない方には「なんじゃこりゃ?」と、興味を持ってもらえるように、すでにご存知の方には「あ、ここにあれがいる!?」という通な見方が出来るものに、ということと、近くで見ても、遠くから見ても楽しいものにする、ということですぐに意見が一致しました。

まずはデザイナーさんが3点ほど方向性の違う大ラフを描いてくださり、少しずつ細部を詰めながら意見交換をしていきました。 私がお見せしたラフはこんな程度、落書きも混じってます(図A)。私は描いているうちにどんどん視野が狭くなってしまう傾向があったんですが、デザイナーさんが上手に方向修正してくださり、構図が決定(図B)。

●使用ツール
ケント紙、ミリペン、Photoshop

完成ポスター


図A:最初のラフスケッチ


図B:構図が決定


●イラスト作成の作業手順

図C:下絵が完成


図D:ペン入れ終了



図E:線画を一番上のレイヤーにして作業

図F:線画にガウスをかけ色調整を施す


図G:レイヤーに色を塗っていく


図H:レイヤーを重ねた状態


●下絵~ペン入れ

細部を描き込み、バランスを調整しながら下絵が完成(図C)。 ペン入れはライトテーブルでこれをトレースする、という感じです。点描という技法を活かして、グラデーションなども表現します。紙はケント紙。ペンは0.1mmのミリペンを使用。耐水性ということ以外、あまりこだわりはありません。 ポスターはB1になりますが、原寸ではさすがに描けないので、B3で作成。それでも私にとっては、久々に大きい絵です。ちまちまと描き込んで、ペン入れが完了(図D)。

●スキャン~着色~完成

着彩はPhotoshopです。 B3で描いたペン画を、4分割でスキャンし(解像度はまずは1200dpi。激重なので作業をしながら適当に落としていきます)、合成。

この線画が、一番上のレイヤーに乗算で乗せてある状態で作業していきます(図E)。 すぐ下に線画にガウスをかけ、色調整をしたレイヤーを挟みます(図F)。 ちょっと陶器に描いたような質感になります。

さらにその下のレイヤーに色を塗っていきます(図G)。重ねた状態はこんな感じ(図H)。

色はかなり悩みます。スモーキーだけどカラフル、というのが最近の傾向です。Photoshopは、実際に色を変えて見比べられるのがありがたいです。 1色ごとにレイヤーを分けて、作業をしやすくしておきます。最終的にはレイヤーが100くらいになったりします。 納得いく色になったら完成です。

大好きなお店のポスターを、好きに描かせていただくという、夢のような時間でした。描き込みに四苦八苦しましたが、これを描いたことで、少し自信がつきました。

思い出深いイラストです。

次回は工藤慈子さんの予定です。

(2016年4月20日更新)

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