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Designデザイン

Interview

ブラウザだけがWebの世界ではない。
身の回りのモノ、すべてがデジタルのチャネルになる。

Senior Designer

川村健一/Isobar Japan

エンジニア的スタンスからWebの世界に入り、現在その強みを生かし、デザインからインターフェイスまで、Webの新しい世界にチャレンジしているIsobarの川村健一氏。目線は次なるWeb新時代を見据えているようだ。

Isobar Japan Senior Designer。
1976年埼玉県さいたま市生まれ。制作会社、フリーランス、広告代理店を経て、2014年にDentsu Aegis Networkのデジタルエージェンシー Isobar Japan にジョイン。インターフェイスデザイン、インタラクションデザインを得意としている。JAGDA正会員。メディアへの寄稿も多数。
http://isobar.co.jp/

10代の頃の興味や影響を受けたクリエイター
--川村さんは、10代の頃はどんなことに関心を持っていましたか?
川村 : ファッションが好きで、10代の頃はバイト代のほとんどを洋服とバイク代に費やしてました。当時の僕にとっては、バイクといえばベスパという認識でして、ベスパの雑誌を集めたり、MODSのファッションに身を包んだりしてました。ベスパに乗っている時はローマの休日を思い出し、とても幸せだったのを覚えてます。

特に影響を受けたアーティストなどはいないのですが、ただ、丁寧に作り込まれたモノが好きでした。べスパのように作り込まれたモノって、自分はもちろん、周りにいる人にも良い影響を与えると思うのです。
--その頃から将来は、Webデザインの仕事につきたいと考えていたのですか?
川村: それはまだ、まったくなかったですね。両親は埼玉で金属加工の工場を経営していまして、自分は長男だったので、そこを継ぐのだろうなとずっと思っていました。工場でバイトもしていました。高校も普通科でしたし、自分がWebデザイナーになるとは思ってもいませんでした。ちなみに工場は姉の旦那さんが継いでいます。
--絵は好きでしたか?
川村: 絵は好きでした。家族もみんな絵を描いていました。学校の写生会では良く金賞をもらっていましたが、美術部に入っていたわけでもないですし、トレーニングを受けていたわけでもありません。
--では、コンピュータは好きでしたか?
川村: 中学の頃にパソコンを買ってもらいました。NECのPC-9801ですね。BASICでプログラミングしたり、ゲームをしたり。「三国志」「大戦略」とか、5インチフロッピーディスクで売っていた時代です。テレビゲームも持っていましたが、パソコンのゲームの方が面白かったですね。
--大学では、情報処理を学ばれたのですね。
川村: 大学では法律、政治を学びました。といっても、特別その分野が好きだったわけではなく、「潰しが効くから」という安易な選択でした。大学入学までは、特定のモノに対してのめり込んだことがなく、学ぶ喜びを知らない状態でした。

大学の設備が新しかったので、インターネットに触れる機会が多かったのが幸いでした。でも当時は、まさか自分がクリエイティブ業界で働くことになるとは夢にも思っていませんでした。
--大学当時はまだ、Webデザインに進むとは考えていらっしゃらなかったわけですね。
川村: はい、ターニングポイントは情報処理の授業でした。その授業で、デジタルの可能性に触れ、初めて学ぶ楽しさを知りました。受験勉強では短時間しか集中力が持たなかったところ、デジタルに関しては時間を忘れて没頭できました。さらに突き詰めたいという思いで、デジタルハリウッドにダブルスクールし、企画と技術を学びました。

大学では情報処理でHTMLやITの概要を学び、同時に独学でJavaやPerlを学んだのですが、グラフィックもやりたくなったんですね。それで1999年にデジタルハリウッドに入学しました。当時の面接官の先生は、今はMITメディアラボ所長を務められている伊藤穣一さんでした。緊張しましたね(笑)。

デジタルハリウッドの卒業制作が思いのほか反響が良く、運良く2つの賞をいただき、その後、雑誌や新聞、TVでも紹介されました。その経験が自信になり、クリエイティブ業界に身を置くことに決めました。

ちなみに賞の1つは、バンダイが開催していた「バンダイJCコンテスト」という、エンターテイメント性を求めるコンペです。FLASHベースで制作したアニメーションをJavaScriptで条件分岐する「占いサイト」を作って応募したところ優秀賞をいただきました。 当時、動物占いというのが流行っていたのですが、雑誌の占いランキングでは、それよりも上位に付けたのも嬉しい経験でした。
--その後、Webクリエイターの道を歩まれるわけですか?
川村: 卒業後、就職活動はせずに、しばらくインターンとしてエンジニアを目指しました。自分としては、エンジニア気質だと考えていたのですが、実際に働いてみると、バックエンドの開発には熱意が湧かず、興味があるのはフロントエンドのデザインとプログラムだと痛感し、1年後にはデザインの道を目指しました。

出だしは順調でしたが、正直なところ、仕事の現場は想像以上に厳しく、迷いの連続でした。
--バックエンドよりフロントエンドの方が自分に適していると判断されたわけですね。
川村: はい、そこでインターンの後、Web制作会社に入社し、約6年経験させていただきました。その会社はベンチャーでしたが、Webの世界はこれから伸びていくという空気に満ちていました。

はじめの3年間は、ひたすらHTMLとJavaScriptに明け暮れる日々でした。その期間は、いわば修行そのもの。たくさん悔しい思いをしました。 その後、チーフデザイナーとして、企画、デザイン、プログラムと、一通り経験させていただき、納得のいく仕事ができたことをきっかけに、1人で仕事をしてみたいと思いフリーランスになりました。
--フリーランスのWebデザイナーを経て、2014年にIsobarに入社されました。
川村: フリーで5年ほど経験を積んだ後、広告の上流の仕事に関わる機会を求め、広告代理店にジョイン。このように、制作会社、独立、代理店と、クリエイティブ業界を一通り渡り歩いてきました。

働き方が変わると、見る目や考え方も変わってきます。制作会社時代は、アウトプットの質へのこだわりを学び、独立してからは仕事が仕事を招く経験を体感し、代理店では結果への責任を学びました。

幸い、Isobarは、これらのすべてを活かせる環境にありますので、これからもより視点を広げられるよう、日々こだわりを持って仕事をしていきたいと考えています。
 
新人時代のトレーニング方法
--Webデザイナーとしては、どのような方法で勉強されましたか?
川村: とにかく、この仕事が大好きだったので、仕事以外でもひたすら自分のサイトを作ってました。なにしろ制作会社の新人時代は、仕事でなかなかデザインする機会に恵まれなかったので、家に帰ってからも寝るのを忘れて自分の好きなクリエイティブを作る、そうした日々が続いてました。

そんなある日、雑誌の編集部の方から連絡をいただき記事を書くようになりました。執筆に際して、さまざまなWebテクノロジーの背景などを調べていく内に、さらにこの分野が好きになり、仕事でも自分ならではの表現ができるようになった。
--「好き」ということは大きなモチベーションになりますね。
川村: 僕の場合、仕事が好きだったことと、ひたすら作り続けたこと、この2点が良いトレーニングになり、結果、よい仲間と仕事に恵まれてきたのだと思っています。

「会社の歯車にはなりたくない」そう思っているうちは、周囲に良い影響を与えられていない時です。努力を重ねていくうちに、あるタイミングで自分の理想通りに回り出します。

この感覚を知っているからこそ、厳しいときも頑張れますし、またやれるという自信になっています。
--Webデザインする上で、10代の頃のゲーム体験などは生きてますか。
川村: ゲームというより、映画から得られるものが多いですね。映画ってエフェクトがきれいだったりするじゃないですか。そういうシーンをWebで組んでみたいなとか思います。それと映画の最後に流れるエンドロールの見せ方、文字の組み方なども影響を受けています。
紙媒体とWebのデザインの違い
--川村さんはキャリアのはじめからWebスタートで、紙のデザインの経験はないとのことですね。
川村: そうなんです。せいぜい名刺やポストカードくらいで(笑)。紙は静的で、Webはインタラクティブといった、テクニカル的な部分ではある程度の差異はありますが、本質部分では変わらないと思っています。

紙がインタラクティブでないのかというと決してそんなことはないでしょう。止まった時間の中にも、ビジュアルを見た後の心境の変化を考えたり、情報のコントラスト、色合いの変化や要素のジャンプ率など、素材と要素の組み合わせで伝わり方が変わるなど、さまざまな気持ちの変化がありますから、動きを検証するという意味では同じだと思っています。
--Webデザイナーはグラフィックデザイナーとはぜんぜん違う資質が必要なのでしょうか。
川村: そうですね、心地よさの作り方が違うのかな。ビジュアルの作り込みだけではなく、触った感、なんか楽しいとか。紙も用紙の種類の素材感によって全然印象変わってきますよね。ですから、突き詰めていけば、人の心に届くという意味では一緒だと思います。Webはゲームや映像のような要素があるということですね。プログラムもデザインだと思っています。

--カラーコーディネートや構図など、いわゆるデザインの基礎的なことはどのように習得されたのですか?
川村: それは社会人になってからですね。色彩検定も最近受けました(笑)。プログラミングが先でデザインの基礎は後から学びました。

クリエイティブワークは常にプロトタイプを先行させる
--川村さんは、他のWebデザイナーと違う、ご自身の持ち味はどの辺にあるとお考えですか?
川村: インタラクティブを絡めた企画と、デザイン、プログラミングだと思います。インタラクティブの場合、作っていく過程で初めて見えてくるものがあるんです。僕自身、代理店時代に、一時は技術から距離を置きましたが、技術なしの限界を痛感しました。デザインだけで表現するWebサイトには、僕が思う、心を動かすクリエイティブに限界を感じたのです。モメンタムの糧は、結局、試行錯誤しかない、それが僕の中での結論です。

頭の中では良い感じだったのに、アウトプットしてみたら何かイメージと違う場合があります。逆に、当初の想定と違う方向で組んでみたら、途端に見違えて良くなることが多い。インタラクティブのクリエイティブって、制作過程の予期せぬアウトプットの中から、インスピレーションを得たものが大半なんじゃないでしょうか。まず試してみること。そして、何度も試行錯誤することが重要だと思ってます。
--といっても時間などの制限の中での仕事になりますよね。
川村: 案件には時間やコストをはじめ、さまざまな制約があるかと思います。たとえ、そういった場合でも、事前にたくさんプロトタイプを作っておけば、最終的なクリエイティブのレベルが上がります。良い企画を出すために、予めプロトタイプを作っておく。プロトタイプが新たな種となり、次の企画を生んでいくと思います。

このパターンが僕の中での命綱でもありますし、強みにつながっていると思っています。
--デザインとプログラミング、両方分かっているところが強みですね。
川村: それは、そうかもしれません。Webの場合、グラフィックがきれいなだけでは、何か伝わってこないんです。一方で、デザインを知らない人が動きのあるWebサイトを作っても、どこか野暮ったくなってしまったり(笑)。

ですから僕の持ち味は、グラフィックデザインではなくて、インターフェイスデザインの領域かもしれません。触ったり、動かしたりという行為を含めてデザインしていきます。

それと現場では、デザイナーと実装担当のプログラマー、エンジニアは、1つのプロジェクトを動かしていると、時に対立することもあります。そんな時、両方の立場が分かっていると、調整も行いやすいですね。
 
ご自分の仕事ベスト3
--これまで印象に残っている仕事を3つ挙げてください。
川村: まず「Enjoy! Ecolife with ECOHEIM」です。これは制作会社の頃に手がけた仕事で、このプロジェクトに関われたことが、僕にとってのクリエイティブへの考え方を変えました。

このプロジェクトのもともとの発端は「HTML版の資料請求を使いやすくしてほしい」というお客様の声から始まりました。その頃、Webでリッチなことをやろうと思ったら、イコール Flashという状況でした。

Flashコンテンツを取り巻く流れでは、RIA(Rich Internet Application)が注目されていたこともあり、お題に対して、既存の資料請求コンテンツをRIAにより分かりやすく見せることに主眼を置いて考えました。

最初に作成したプロトタイプは、項目ごとにカタログの並び替えを行い、ドラッグ&ドロップで気に入ったカタログを資料請求できるといったアプリケーション的なコンテンツでした。

このFLASHをお客様に確認いただいたところ、「もっと面白くしてほしい」「初めていらっしゃるお客様が、カタログの表紙だけを見ても商品の詳細が分からないのではないか」とのご意見をいただきました。

そう、この段階では、あくまでHTML版のオペレーション面を強化したアプリケーションを作れればよい、との認識で制作していました。

この反省をもとに、考え方を180度改めました。ユーザー目線に立ち返り、資料請求にユーザーが求めているのは何かを考えるようになりました。

ちょうど、僕自身、このプロジェクトに関わっている当時、新居を探している最中で、週末のたびに展示場へ出向いていました。いろいろと見て回るので体力を使いますし、人見知りな僕からすると営業の方々の説明を聞いているだけでクタクタになります。ですが、住まい選びは総じて、とてもワクワクする楽しいものでした。こうした理由から、このプロジェクトで行ったブレインストーミングでは、住まい選びの楽しさや喜びを伝える手段として「人が歩く」、「展示場」という2つがキーワードとして挙がっていました。

この企画にあたり、資料請求したいユーザーには2つのタイプがあると定義しました。目的意識のはっきりしたユーザーと、セキスイハイムとはどんな会社なのか、何を作っているのかを知りたいと考えているユーザーです。

目的意識のはっきりとしたユーザーであれば、HTML版を使いやすくする、というアプローチもたしかに有効でしょう。ですが、もう一方のセキスイハイムがどんな会社なのかを知りたいと思っているユーザーには、この方法は通用しません。セキスイハイムの商品を分かりやすく見せるとともに、世界観を感じていただかないことには資料請求まで行ってくれないと考えたのです。

結果として生まれたクリエイティブのコアアイデアは、仮想の住宅展示場の中を楽しみながら探索していくという考え方です。大切なのは、住まい選びが持つ本来の楽しさを体験してもらうこと。その結果としての資料請求という企画です。この案件に関われたことにより、与件を紐解くプロセスを体験でき、同時に、クライアントとチームでのモノ作りの楽しさを実感することができました。僕の制作人生にとっても、大変貴重な経験でした。
 

「Enjoy! Ecolife with ECOHEIM」展示場への招待状という設定。

「Enjoy! Ecolife with ECOHEIM」家族で展示場を歩いているシーン。

 
--2つ目はいかがですか?
川村: 続いて「TOKYO SMART DRIVER」です。グラフィカルなロゴを活用し、インパクトある表現に振り切った仕事です。

まだフリーランスになって、それほど時間が経っていなかった頃、メディアでみていた有名な方々と仕事できたことが、大きな糧になりました。 Webサイトというと、あれもこれも詰め込みたがりがちですが、本案件では関係者みんなが同じところを向いており、結果として伝わるサイトになったと考えています。

「TOKYO SMART DRIVER」ロゴマークのデザインをインターフェイスに活用

「TOKYO SMART DRIVER」運転の時間をポジティブな言葉で埋め尽くすというコンテンツ

--3つ目はどうでしょう?
川村: 「Isobar Nowlab」です。これは2015年1月に、電通イージス・ジャパン(Carat/Isobar/iProspect/Vizeum)のオフィスが移転したのですが、その際に制作したNowlabコンテンツです。

Isobarでは、新たなテクノロジーを表現に落としこむ試みとして、Nowlabという取り組みを行っています。移転を機にKinectとプロジェクターを使ったInteractive WallとTwilioを活用した受付システムを新設し、さらに、照明にはAPI制御できるライト「Philips hue」を導入しました。グループの受付がNowlabのラボを兼ねてまして、今後の取り組みの基礎ができたと思っています。

今回は、グループ各社の特徴をストレートに表現するために、シンプルなカラーリングで先進的な表現に振り切りましたが、今後は子供でも楽しめるようなクリエイティブも仕掛けていきたいと考えております。

「Isobar Nowlab」

 

現在の充実度、これからの目標
--現状、ご自身の満足度はいかがですか?
川村: 今の状況を点数でいえば、60点くらいでしょうか。2015年後半には80点くらいになると思います。
デジタルの表現は、スマホアプリを除き、しばらく停滞していた感があります。パララックスという、縦長でグリグリ動くデザインが多くなったと思いきや、次はレスポンシブデザインというように、考える前に形から入る、そんな、右へ倣えの傾向が顕著にみられました。

ビジネス面では、特に企業サイトのデザインはCMS化が進んだり、低価格のテンプレートが出てきているように、このままでいくとWebデザイナーはどんどん淘汰されていくと思います。

一方で、サイト以外のところでは急速な動きがあります。そのコアにあるのが、IoTです。IoTとは、モノのインターネット(Internet of Things)のことですが、センサーやコンピュータの進化により、今までデジタルとは関係のなかった領域に、デジタルがやってきています。

先日制作した、Nowlab作品のInteractive Wallも、通常の壁がメディアになってしまったように、これからはあらゆる場所がメディアになる可能性があります。眼鏡や洋服、時計はもちろん、床や上空。技術や発想次第で何でもできるはずです。これからは、技術の進化でクリエイティブの概念が大きく変わる。楽しみです。
--Webの表示デバイスは、PCから始まり、iモードなど携帯ブラウザ、そしてスマホ、タブレット、今はスマートウォッチなども出てきていますが、対応する方は大変ですよね。
川村: そうですね、飽きないですね(笑)。技術的にはFLASH以降は少し停滞していたのですが、今はまたセンサーを使ったクリエイティブがどんどん出てきてダイナミックになってきています。
--ネットにつながるデバイスの形は、今後もどんどん多様化してくるでしょう。
川村: ブラウザだけがWebの世界ではないので。時計、電球、眼鏡、身の回りのさまざまなものがデジタル化していく今、もはやPC、スマホは1つのチャネルに過ぎないですね。

ですから、ブラウザを出るクリエイティブ全般をやっていきたいです。まず2015年はセンサー周りをどんどんやっていこうかと思っています。

例えば直近の話ですが受付システムに人が立ったら、電話で会話しやすいようにBGMなど周囲の音を下げるように、技術をさりげなく、おもてなしに使う。少し先の話では、どこかの施設でインタラクティブな映像を投影したり、Isobarは海外ネットワークがあるのでそういった先端のノウハウも生かしていきたい。Webデザインを超えていきたいですね。
 
若い世代へのメッセージ
--最後にWebクリエイティブを目指す次の世代の人にメッセージをお願いします。
川村: 人には早く成長する人と、時間をかけて成長する人がいると思います。人生は長いので、自分を信じて、焦らず、楽しみながら仕事してほしいです。

若いうちに大切なのは、まず、没頭できることを探すこと。それは、仕事でも趣味でも何でも良い。そういうモノを持ってる人って、生き方に芯があるというか、周りを引きつけるパワーがあると思うんです。 どんな分野でも、凄い結果を残している人って、ほぼ間違いなく、今やってる事が好きな人が多い。好きな事をしている時って、時間を忘れて、自ずとこだわってしまうでしょ。この感覚があるかないかは、生み出すもののレベルに大きく左右していきますし、この気持ちがある人は最初下手でも、どんどん頭角を現していきます。
--なるほど。
川村: 最後に、一番大切なことを1つ。それは、仕事相手をリスペクトすること。チームの底力を発揮させるのは、実は、技術でもなければ、経験でもない。何より、個々のメンバーのリスペクトだと思っています。

クライアントをリスペクトすれば、自ずと消費者を考える。消費者を考えれば、クリエイティブのコアからこだわりを持てる。クリエイティブにこだわれば、自分にはないスキルを持つ仕事仲間を尊敬できる。この連鎖が、高いクオリティへと引き上げます。

若いうちは目先の事に必死になるあまり、自分を過信したり、志を見失いがちになることもあると思います。そんな時こそ、ひと呼吸置いて、周りを頼った方がよいです。僕自身、それに気付いたのは、子供ができた30歳くらいでしたが(笑)。

悩み多い時期かと思いますが、自分と周りをリスペクトし、ひたすら手を動かしてほしいですね。
--ありがとうございました。
 
 

(2015年3月2日更新)

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