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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

Designer FILE 13:町田美紀

SoulSoilsのクリエイティブディレクション

町田美紀(and.): クリエイティブディレクター/デザインディレクター。1975年、高知市生まれ。制作会社数社を経て2001年フリーランスデザイナーとして活動開始。2007年、夫と一級建築士事務所and.設立。デザインを軸に、広告、飲食、様々な業界で企画立案、商品開発など制作に携わっている。2011年、18年住んだ東京から高知にUターン。2012年、高知でワインバル『BAR VALERIAN』をオープンし3年間運営。2013年、人と土地の力を掛け合わすことをコンセプトにしたオリジナルブランド『SoulSoils』をスタート。生き方のバランスを全力で模索中。2016年春、コンセプトショップ『VALERIAN』をオープン予定。
http://www.and-all.jp/

●SoulSoilsの世界観について

●大切にしていること

SoulSoils(ソウルソイルズ)はもらって嬉しい! と思える地元の手みやげをつくりたいというところからはじまったオリジナルブランドです。現在はメインとなる有機原材料(生姜or柚子)を中心にオーガニックスパイス・ハーブをブレンドした6種類ですが、少しずつ商品ラインナップを増やしていきたいと考えています。
大事にしていることは、素敵だなと思う人に贈りたくなること。何が入ってるのか気になる魅力的な装いであること。ワクワクする素材のパワーが溢れていることです。

●失敗した経験から生まれたコンセプト

”より心地よいライフバランスを築いていくために”
SoulSoilsは、心地よい生き方を4つの軸のトータルバランスで考えます。
WORK/仕事=価値を生み出す時間
BODY/身体=自己管理の時間
SKILL/知識=スキルアップの時間
MIND/気力=心地良い時間
このバランスは人生のさまざまなタイミングによって、有機的に変化していくのですが、このバランスに意識を働かせ「自らの力」で調整していくことができたら、より心地よくなるのではないかと、自分が何度も失敗した経験から生まれたコンセプトです。

そしてそのコンセプトの自らの力でバランスを自然と調整している人々に高知でたくさん出会い、感動し、このパワーを伝えたいと思うようになりました。

SoulSoilsは、そうした生き方を自ら実践する作り手の方々と恊働し、食品や加工品、ライフスタイルを支える商品などの、環境に配慮した丁寧なモノ作りを通して、より心地よいライフバランスを「自らの力」で築くきっかけ作りができたらと考えています。

商品に携わる人や土地に興味を持っていただき、ほんの少しでもそのリアルな生き方や考え方に触れていただけたら……また、そこから何かを感じ取っていただけたら……そんな想いのもと、継続的に、人と人、土地と土地をつなぎ、広げていくことができたらと考えています。

●さまざまな人たちとのコラボ

このブランドを考えた時に直感でイメージがつながる方々にご相談をしていきました。

ロゴデザインや植物の写真提供含むアートディレクション・デザインをBotanico 井上さん(http://www.botanico.jp/)、無骨で丁寧さを100%表現してくださった竹内紙器の堀木淳一さん(http://www.takeuchi-box.co.jp/)、手作業でしかできないドライジンジャーを作ってくださっている刈谷農園さん(http://kariya716.com/)、さまざまな試みを暖かく広い心でいつでも受け止めてくださる有機柚子フレークを提供くださっている大地と自然の恵みさん(http://www.yuukinougyou.com/)、何度も何度もブレンドの味を根気強く付き合ってくださったハーブとスパイスのブレンドはNハーベストの鈴木さん(http://www.nharvestorganic.com/)、小分け作業やラベル貼りをお手伝いいただいている、いの町にあるNPO法人ら・ら・ら会さん、ビジュアル撮影は竹田写真館の竹田さん(http://takedaphoto.jp/)、撮影場所としてもご本人もモデルでご協力くださったDJANGO(http://www.django-cafe.com/)のJACKさん……。他にもいらっしゃるのですが、制作の行程だけでもこんなにたくさんの方に携わってひとつのモノができています。


SoulSoilsのパッケージ


撮影でご協力いただいた "DJANGO" のJACKさん


"DJANGO"オリジナルのベーグルサラダとSoulSoils


SoulSoilsを待つ時間


●デザイン作業

ロゴデザインのラフスケッチ


木目にも見えてくる、同じ柄がひとつもない表情


地層のイラストを空押ししています


無骨で丁寧。この箱と中身全てに詰まっています

● ラフスケッチ

ロゴデザインのラフスケッチです。最終的には左上あたりのものを詰めていったのですが、右側のなみなみ線はデザイナーさんが地層をイメージしてくれていて、この線も活かしたいと思い、商品が入る箱に空押しして触るとボコボコと手触りがあります。

●できあがるまで

ブランドコンセプトの企画

デザイナーさんに全体のイメージをご相談

ロゴ、パッケージの仕様を詰める

デザイナーさんと一緒に「竹内紙器」さんへ工場見学

パッケージや箱、備品をそれぞれ発注

原材料の調達

Nハーベストさんへ原材料を送りブレンド

Tパック形成後高知に納品

ららら作業所さんへ小分けの作業とラベル貼りの依頼

商品完成

使用ソフト:
Illustrator、Photoshop。

●使用した技法、テクニック

ロゴは手描きしたものをデータにして仕上げています。箱は竹内紙器さんで手加工に近い古い機械を使って平留めで1つひとつ製作していただいています。上蓋はロー引きで仕上げた厚紙にロゴを空押し。中蓋にも地層のイラストを空押しして目立たないですが、コンセプトを表現しています。

●デザインのポイント

無骨な丁寧さを常に意識していました。迷ったらこのキーワードに合っているか? と考え、その都度皆で検討しました。箱の表面はロー引きをして、まるで木目のようにも見え、1つひとつが違った表情をみせます。

●ますます必要になる人間力

情報も溢れ、無料で使えるさまざまなサービスも溢れ、今や簡単に誰でも「それなり」なものがささっと形になってしまう時代。

そんな便利な時代になったからこそ、アナログな感覚、すなわち人間力や経験値から生まれる個性が問われてくるんじゃないかと。機械には勝てない人間の五感と記憶をミックスしたアナログな表現力を磨くために現場の生の感覚をいつも持っていたいと思っています。

何をピックアップして何をつなげるか。どうミックスするか。答えのない無限な組み合わせの中から自分らしい提案ができる=その人の生き方に結局は戻ってきてしまうのではないかと。

土くさいけど、SoulSoilsは無骨で丁寧でかっこいい人たちとずっと何かを作り続けていきたいと思っています。

 



次回は塚田綾さんの予定です。

(2015年10月27日更新)

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