このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。
鈴木シゲル:2002年よりエンライトメントに参加。多岐に渡る分野での創作活動を経て、2013年、鈴木メグとともにクリエイティブ・ユニット「THE ME」を立ち上げる。作家活動、アートディレクション、グラフィックデザイン、映像ディレクションをベースにし幅広い創作活動を行う。
http://the-me.jp/(THE ME)
・アイデアや世界観
まずはじめにMINMIさんから、「BAD」というタイトルに込めた思いをヒアリングしました。
「結婚や出産をしても、世間一般でこうあるべきという母・女性像にとらわれて守りに入るのではなく、一人の人間として、自分らしく攻めの姿勢でい続けるカッコイイ大人の女性でいること=『BAD』を表現したい」というテーマを伺ったので、その世界観を、力強い写真とともにデザインに落としこんでいくことをイメージしながら進めていきました。
また、ソロアーティストのジャケットとしては珍しいと思うのですが、本人以外にもMINMIさんの友人であるモデルの佐田真由美さんらにもブックレットの中ページで客演していただき、”BAD GIRLS”をキーワードに、クールでタフに現代を生きる、強くて”BAD"な女性像を表現してもらっています。
・使用ツール
Illustrator CC、Photoshop CC
写真は上が初回盤カバー、下が通常盤のカバー
・ラフスケッチ
写真はラフで提案したイメージの一部です。
・デザインのポイント
まずはレスリー・キーによる力強い写真をしっかりと見せ、MINMIさんの新しい魅力を引き出す事を心がけました。
カラーリング的には、リクエストがあった黒・赤・白の世界観を軸にデザインしていき、ソリッドなタイポグラフィをこころがけました。
写真の強さを最大限に活かすためにカバーにはタイトルを入れていません。
・使用したツールとテクニック
Illustrator CC、Photoshop CCともに基本的な使用方法で制作したので特筆する技法は特にないのですが、良い写真がたくさん撮れたので、写真のセレクトや見せ方のバリエーションには気を使いました。
ブックレットのバックカバーでは写真に色を載せ、カバーとは違う写真の見え方にしながら力強さをより強調しています。
・自分にしかできないアプローチを
最近ではネット上のみでデザインの仕事が成立するようなサービスも増えてきたりしていますし、デザインという仕事や、言葉のとらえ方も日々大きく変わり続けています。
Web検索やSNSをはじめ、ありとあらゆるイメージはネット上に無限にあふれていますし、多くの人が同じようにツールが使えて同じようにデザインができるようになった今、自分にしかできないアプローチの仕方や、セレクトをする視点・アイデアを持ち、それを自分の中で昇華させて表現していくことが大事だと思います。
そしてそれらを、現代的でフレッシュなコンテンツに昇華して発信していくことが大事だと思います。
次回は Ai Fukasawaさんの予定です。
(2015年2月2日更新)