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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のイラストレーターに旬のイラストを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 98

山口珠瑛

京都生まれ。イラストレーター、絵本作家。京都教育大学 特修美術科 西洋画専攻を卒業して店舗設計、イベント企画会社を経てフリーに。レトロ好き。レトロなイラストをガラス絵などで描きつつ、京都の文化を発信しています。「町家えほん」(PHP研究所)、「なるほど京暮らし」(京都新聞出版センター)を出版。
http://tam-y.com/
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●ガラス絵による俳句カレンダーのお仕事作品

17年間お仕事させていただいている「俳句カレンダー」のガラス絵の制作過程をご紹介いたします。

毎年、来年の俳句をご依頼主様ご本人がつくられた俳句から選んでいただき、絵は自分の感性で好きに描かせてもらっています。俳句からいろいろなインスピレーションを受けることができる、大変楽しいお仕事です。

2023年 5月の俳句「ジャズライブ 余韻の甘き 夏の宵」をテーマに描いたガラス絵で制作過程を説明させていただきます。


完成したイラスト。(クリックで拡大)

完成したイラストと俳句。(クリックで拡大)

●使用した画材

ガラス板(額に入っているガラス)、アクリル絵の具、筆、ニードル、背景に使う布、芯の紙、トレーシングペーパー、ペン、パソコンなど。


●ラフスケッチを描く

いただいた俳句からイメージをコラージュ的に組み合わせます。いろいろ描いた中から気に入ったものをパソコンに取り込み、ガラス板の大きさにコラージュします。出力するものは「反転」させてプリントします(ガラス絵は裏から描くので反転で描き進めます)。


ラフスケッチ。(クリックで拡大)

●手前から着色していく

ラフスケッチにガラス板を乗せて、ライティングテーブルの上でトレースした際、一番手前になるところの色から色づけしていきます。例えば、ほっぺの一番光っているところの白色など、後から塗れないので慎重に進めていきます。

光っているところ→細かい陰などの陰影→輪郭線→全体的な色の順番に描いていきます。たまにガラスをひっくり返して、表からどう見えるかを注意しながら描き進めます。間違ったらニードルで削って消します。


線画。(クリックで拡大)

面塗り。(クリックで拡大)


表から見ると。(クリックで拡大)

使っているニードル(画材屋さんで売っています)。(クリックで拡大)

●ガラス絵が完成したら、背景を作ります

ガラス絵は透明なので、背景に何を描くのか、何を持ってくるのかで印象がガラリと変わります。

私は昔の着物布などを使うことが多いのですが、この絵はハイカラな感じの夜の絵なので、コーデュロイの紺色の布を使いました。実際に見ると、見る角度で光沢があるので面白い効果になります。

額の中に入っている芯の紙を使い、そこに布をボンドで貼り付けます。


背景の布を貼る。(クリックで拡大)

背景の布をボンド付け。(クリックで拡大)


背景と併せて表から見る。(クリックで拡大)


●ガラス絵と背景を合わせて完成


額に入れてガラス絵が完成。

絵が完成したら、カレンダーのデータ用にパソコンに取り込みます。スキャナーでガラス絵と背景がずれないようにスキャンします。カレンダーの絵のサイズに合わせて画像の大きさを決めます。

俳句とイラストをデータにして、カレンダーを作り、仕事は完成です。


額に入れたところ。(クリックで拡大)

カレンダーとして完成。(クリックで拡大)



次回は青井ケイコさんの予定です。
(2022年12月12日更新)

 

 

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