●「骨等屋ホネツギ」主人公のイラスト制作
「綺麗になりたい」「不老不死」「強い力」…そんな望みが叶うなら? 「骨等屋」はそんな望みの身体を取り揃えその店主は不思議な力があり、望みの身体を移植=”継ぐ”ことができるという。連載中の漫画「骨等屋ホネツギ」の主人公をモチーフにしたイラストのメイキングをご紹介いたします。普段はデジタルが多いのですが、今回はアナログ含めいろいろな方法を取り入れております。
連載中の漫画「骨等屋ホネツギ」
http://kansai.mag-garden.co.jp/
・コンセプトワークとスケッチ
この時点ではざっとラフと配色イメージだけ決めています。キャラクターのイメージから「木蓮」をモチーフに使用。今回の絵のメイン(顔)を中心に、花を三角に配置してレイアウトしています。主人公は「継ぐ」という、生き物の身体をくっつける不思議な能力があるのでそれを連想させるよう「接ぎ木」のような演出にしています。
・使用画材:Photoshop、Clipstudio
スケッチ。顔を中心に花を三角に配置。(クリックで拡大) |
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・線画
アナログの場合、水を含むと紙がでこぼこになるため、水張りをしたほうがいいのですが、今回は水張りが不要なブロックタイプ・ワトソン中性紙を使用します(図A)。ラフ画をトレースするため簡易カーボン紙を作ります。ラフを印刷し、裏面を鉛筆(HB~2B)で塗りつぶします。これを上からなぞることで、カーボン紙のように絵を転写することができます(図B)。カーボン紙と違って、色が薄いですが、後で消しゴムで消したり書き直すことができます。トレースできたら、少し線を描き込み、補強して下絵が完成。着彩前にマスキングテープで作画範囲を囲って張っておきます。
・使用画材:ワトソン中性紙、鉛筆、ボールペン、マスキングテープ
ワトソン中性紙に線画を描く。(クリックで拡大) |
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・下地
全体的に基本となる配色を置いていきます。後で水で色が調整しやすい「透明水彩」と水で溶けず、定着が良い「リキテックス」を混ぜた絵具を使用します。色をどの程度にじませたいか、にじませたくないかで絵具の比率を変えます。
色のトーンをまとめたい場合は水彩が多めのほうが調整しやすいです。今回は背景の赤と黄土色部分がリキテックスが多めになっています。
・使用画材:透明水彩、リキテックス、色鉛筆
リキテックスで配色していく。 |
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・絵を潰す⇔絵を描き込む
ある程度配色できたら一度絵を「潰す」工程を踏みます。絵のトーンとなる色味と墨を水で薄めて混ぜ、全体にハケで塗り潰します(図1)。
この時、墨の特徴で「白」の印象が変わります。用途に合わせて上の「下地」の工程での白色の塗り方が変わります。
A:下地の紙の白→やや黒ずむ。
立体的に描くときに効果的です。
(今回では花、指の骨が光る手②~③のような場合)
B:白い絵の具→墨とまじり鈍く淡い白になる。
凹凸を余りつけたくなく、明るく見せたい所につかいます。
(今回では顔・髪など)
「潰し」は1~2回程度行いますが、今回は影色を整えるため、さらに紫のインクで潰しています。潰しの後は線の強弱や描き込みを加えていきます。
・使用画材:透明水彩、リキテックス、色鉛筆、カラーインク
・デジタル仕上げ
最後に画像をスキャンし、加筆をします。今回は細かな影、光、テクスチャはデジタルで処理したほうが調整しやすいため、この段階で加筆しています。仕上げにフィルタを使っています。
・使用画材:Photoshop、Clipstudio
完成。(クリックで拡大) |
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・まとめ
全体の流れとして以下のようになります。
ラフ→線画→下地→絵潰し1→描込み→絵潰し2→線加筆・描込み仕上げ→デジタル加工仕上げ
アナログとデジタル、どちらも道具ですので好きな画材を組み合わせ、より楽しく、自分のやり方を試してみていただきたいと思います。
次回はヤシンさんの予定です。
(2020年1月18日更新) |