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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 58

安藤巨樹

あんどうなおき:イラストレーション青山塾18-20期修了。東京都在住。第206回ザ・チョイス入選。ペーターズギャラリーコンペ2018次点入賞。主な仕事は、『プロフェッサー』ロバートベイリー著(小学館) 装画、『山の便利帳2019(山と渓谷社)表紙イラストレーションなど。
https://www.behance.net/ndhnaoki395a

 


●個展に向けた作品の制作行程

年内に都内のギャラリーで個展を予定しています。ここではその個展に出展する作品の制作行程をご紹介します。


完成した個展用のイラスト作品。(クリックで拡大)

・資料収集
制作はまず、資料集めから始めます。頭の中にぼんやりと描きたい絵のイメージがあって、それを具現化するための資料です。インターネット上の画像や撮り溜めてある写真の中から、イメージに近いものをひたすら集めます。この時に、描く対象の構造が分かるように、実際に絵にする角度だけではなく、いろいろな角度から対象を捉えた写真を集めるようにします。ぼんやりとしていたイメージの輪郭が少し具体的に見えてきたら、ラフ制作に移行します。

・ラフ制作
ラフはコピー用紙に、資料写真を見ながら描いていきます。資料写真に引きずられて写真のままに描いてしまわないように、最初に思い描いた絵のイメージを常に意識するようにします。薄い色鉛筆から描き始め、徐々に濃い色にして形や位置を確定させていきます。


資料写真を見ながら、コピー用紙にラフスケッチを描いていく。(クリックで拡大)


・明度設計
ラフが完成したら、次は明度設計を行います。ラフをコピーし、その上からモノクロのアクリルガッシュで塗っていきます。この行程で線画だけではイメージしづらい空間の奥行き感や、描く対象と背景で形成される“図と地”の形を確認します。必要に応じて、線画のラフでは分からなかった欠点を修正します。


モノクロのアクリルガッシュで明度設計を行う。(クリックで拡大)


・本制作の準備
完成した下絵を鉛筆カーボン用紙と鉄筆を使って水彩紙に転写します。あまり細部までは転写せず、大まかな輪郭と位置が分かる程度にします。

使用する絵の具はリキテックスのローシェンナとウルトラマリンブルーの2色+ホワイトです。モノトーン系の色が好きなので、近補色関係にある2色だけでよく描きます。小さな紙に混色のシミュレーションをして2色+ホワイトで作り出せる色のパターンを確認します。


絵の具はリキテックスのローシェンナとウルトラマリンブルーの2色+ホワイト。(クリックで拡大)

2色+ホワイトで作り出せる色のパターンをシミュレーション 。(クリックで拡大)

・パレットづくり
色使いのイメージが固まったらパレットづくりに移行します。主要となる色を予めパレット上にミックスしておきます。こうしておくと制作途中で迷うことがなく効率的です。


主要となる色を予めパレット上にミックス。(クリックで拡大)


・彩色
階段→背景の木々→空→人物・ツバメと塗り進めます。グレイッシュな色使いをする場合、明度が中間域に集中すると、重々しくなってしまうので、明暗にメリハリがつくように気を配ります。ここで前行程の明度設計が活きてきます。また、同じ明度のグレーでも寒色系/暖色系を使い分け、単調にならないよう気をつけます。さらに塗り方も、フラットな塗り、ムラのある塗りを使い分けて画面に変化をつけるようにします。

全体に色が載ったら、明度や彩度のバランスを確認して調整します。ここでは、ツバメの頭部と人物の衣服の所に赤い色を、左端の植物に黄色を微量混ぜてアクセントをつけました。最後に階段の手すりを上から描き、細部を調整して完成させます。



次回は紙谷俊平さんの予定です。
(2019年8月9日更新)

 

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