●書籍『よみたい万葉集』の挿画イラスト
イラストと文(共著)を担当いたしました書籍『よみたい万葉集』(西日本出版社)の、
本文とカバーにも使用された挿画を使い、イラスト完成までの工程をご紹介いたします。
書籍『よみたい万葉集』カバー(クリックで拡大) |
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本文74~75ページ(クリックで拡大) |
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・下絵
万葉集の歌一首をテーマに、イラストにする。
題材にしたのは大伴坂上郎女の歌
「夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ」(巻8・1500)
(訳)夏の野の繁みに ひっそりと咲いている 姫百合のように あなたに知られない恋は 苦しいものです。
夏草が覆いかぶさるような息苦しさ、それでも燃えるような、ひたむきな恋心を表現しようと思いました。
描き込みすぎると勢いがなくなるので、ラフはいつもこのくらいアバウトに。
パソコン上にてラフに簡単な色付けをし、クライアントに確認する場合が多いです。
下絵(鉛筆ラフ)(クリックで拡大) |
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カラーラフ(パソコン着彩)(クリックで拡大) |
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道具は鉛筆やシャープペンシルなど、場合によって使い分けています。
下絵が完成したら、本描きする紙の下に置き、裏からライトを当て、薄く鉛筆で当たりを付けます。
下絵に使用する道具(クリックで拡大) |
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・水張り
紙を木製パネルに水張りします。
紙は、和紙や水彩紙など場合によって使い分けます。ホッチキスの芯を外す道具もあると便利です。
水張りに使用する道具(クリックで拡大) |
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紙は外しやすいのでホッチキスで止めています(クリックで拡大) |
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・本描き
水彩絵の具で描いていきます。色によっては顔彩を使うことも。
滲みをいかしながら色を重ねていきます。
絵の具(クリックで拡大) |
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筆などの道具(クリックで拡大) |
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・完成
描きあがったらホッチキスを外し、紙を切って完成です。
少女を姫百合に見立て、恋心と赤い花がリンクする絵になりました。
補色の緑や青、黒なども使い、悲しさやもどかしさも加えています。
本文ページではそのまま使用していますが、
表紙はレイアウトの関係で、反転して使用しました。
完成(クリックで拡大) |
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カバー(全体)(クリックで拡大) |
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次回はうめだともこさんの予定です。
(2018年11月20日更新) |