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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 47

寺田マユミ

兵庫県生まれ、大阪府在住。ものがたりを思い描きながら作品を作る。書籍、雑誌、広告、CDジャケット、グッズ、展示など幅広く活動中。digmeout所属。
https://digmeout.net/artists/mayumiterada/
https://www.instagram.com/teradamayumi_works/

 


●「世界の昔ばなし」をテーマにしたイラスト作品作り



完成イラスト。(クリックで拡大)


・高松で開催した個展用メインビジュアルの作成

高松のTHE SHOWER GALLERYで開催した個展(2018年7月21日~8月10日)に用いたメインビジュアル作品を作成しました(フライヤーや告知などに使用)。 今回の展示は、「世界の昔ばなし」をテーマとした東京での展示の姉妹展と位置づけており、香川での展示ということもあり「香川の昔ばなし」をテーマとしました。

幼い頃に親しんだ昔ばなしを今読み返した時に、気持ちの動きや相手の気持ちを思い描けることに気がつきました。物語をより豊かに味わえることが面白く、教訓に富んだ深いお話も多いので新しい発見に満ちており、とても興味深いと思っています。今の自分が読んでみて印象深かったシーン、幼い頃は気がつかず想像もできなかった「表情」などを切り取って、作品にしたいと思いました。

東京展での作品は、よく知られている世界のお話から選び、その作品だけ見ても何の話か分からないような1シーンを抜き出しましたが、香川の昔ばなしは、あまり知られていないものが多かったので、逆に紹介するようなつもりで分かりやすくイメージを伝えるような作品にしようと考えました。
また、昔ばなしを元にオリジナルに絵物語を創作し、ギャャラリーとのコラボレーションのZINEに仕上げました。

メインビジュアルは、そういった今回の展示を象徴するものなので、香川の昔ばなしに登場するものたちや、ZINEに登場するものたちをいろいろと描きこみ、なにか「お話」の存在を感じてもらえるような作品にしたいと思いました。

・イラスト制作の手順

制作の手順としては、まず描き込みたいものを個々に描きやすい大きさでラフに描いていきます。納得いくものが描けたらそれに印をつけ、次のモチーフを描いていくということをどんどん繰り返し、一通り描ければ全体のイメージを考えてざっくりとした全体のラフを作ります。

それぞれ描いたラフスケッチ(印をつけておいたもの)をコピーで拡大縮小してイメージ通りの大きさにし、それをトレースして描きこんでいき、画面を構成していきます。


下絵を描き画面を構成していく。(クリックで拡大)



完成した下絵をスキャナーでパソコンにとりこみ、Photoshopでざっくりと色を塗って仕上がりイメージを作り、プリントアウトしておきます。


スキャナで取り込みPhotoshopでざっくりと彩色。(クリックで拡大)

下絵を元に、色ごとのステンシルの版 (下絵にあててマスキングシートをデザインカッターでカット)を作ります。下準備ができたら、用紙(ブレダン紙)の裏に下絵を仮止めし、トレース台にのせて下絵を表に映しながらそれに沿ってカットしておいたマスキングシートを貼ります。

プリントアウトした着彩イメージを参考にして絵の具(アクリルガッシュ)を混ぜて色を作り、スポンジにつけて、用紙に色を乗せていきます。それを繰り返し、作業が完了したら細筆で修正したり必要な線を引いて完成です。


マスキングテープを貼り、色ごとのステンシルの版を作る。(クリックで拡大)



次回は北村晴子さんの予定です。
(2018年9月18日更新)

 

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