●粘土による立体イラストレーション制作
画像1:今回制作する立体イラスト(クリックで拡大) |
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・使用ツール
粘土制作:ハーティクレイ(樹脂粘土)、爪楊枝、綿棒、耐水ペーパー(紙やすり)、木工用ボンド、カッター
作品編集:PhotoShop CC
造形は基本的に手作業です。使う道具の用途としましては、爪楊枝やカッターは造形のサポートに、綿棒は小さなゴミ取りや表面処理に、耐水ペーパー(紙やすり)は粘土の乾燥後に表面を磨くために、そして木工用ボンドは粘土の接着に使います。
画像2:使用する道具(クリックで拡大) |
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・作品について
媒体は子供向け雑誌の物語のページで、3つのお話の挿絵となる粘土制作の依頼でした。
半立体というご要望があったのでその前提で考えていき、子供を飽きさせないように画面にメリハリをつけることや、同じ色合いが続かないことなどに気を配りました。
・ワークフロー
ラフ制作→粘土素材制作→撮影→編集の流れで進んでいきます。
・ラフ制作
まずはイラストラフを制作します。この時には鉛筆の手描きの線に、パソコンで着彩したイメージを作成して担当者の方に確認していただきます。
画像3:ラフ(クリックで拡大) |
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・粘土素材制作
ラフの確認が取れたら粘土で立体制作を行っていきます。粘土はハーティクレイという樹脂粘土を使用しています。こちらの粘土はいくつかのカラーバリエーションがあり、それらを混ぜ合わせることで必要な色の粘土を作成しています。
色ができたら造形作業に移ります。まずは各パーツを作ることから始めます。例えば、人物キャラクターや動物などは、頭、体、手足といったように細かくパーツを作り、そこから完成に近づけていきます。また、それぞれの工程では制作した部分の乾燥を待ってから次の工程に進みます。これは乾燥後のほうが細かい作業や調整がしやすいことと、粘土は乾燥後に収縮してしまうため、それに伴って形が崩れるのを防ぐためです。
画像4:粘土での立体制作(クリックで拡大) |
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また、クリアホルダーに印刷したラフを挟み込み、それを粘土板代わりにしています。
ラフは制作する大きさで出力されているので、大きさの目安にもなり、構成を考えながら進められるので便利です。
画像5:クリアホルダーを粘土板に(クリックで拡大) |
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・撮影
粘土素材が完成したら撮影を行っていきます。自宅兼作業場にセットを組み、ライティングして撮影を行います。この時には後から調整を行えるようにそれぞれの素材を個別に撮影しました。
粘土作品のような立体作品は撮影時の影が非常に重要な要素となるので、個別で撮影の際にも影をきちんと残せるように心掛けています。
画像6:撮影(クリックで拡大) |
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・編集
それぞれの写真素材をパソコン上で編集していきます。
まずは撮影した各要素を切り抜いていきます。
画像7:パソコンで編集作業(クリックで拡大) |
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切り抜き作業が終わったら、背景の上に切り抜いた素材を乗せていきます。個別で撮影したことでそれぞれの要素を拡大縮小したり色の調整も行えるので、後から修正が入っても対応できるようになっています。すべての要素を組み合わせ終わったら、担当の方々とやり取りを行い、修正と確認ができたら完成です。
画像8:切り抜き素材を配置(クリックで拡大) |
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完成した作品がこちらです。
画像9:とらとなめくじのかけっこ(クリックで拡大) |
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画像10:とらとなめくじのかけっこ(クリックで拡大) |
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画像11:とらとなめくじのかけっこ(クリックで拡大) |
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画像12:かっぱのすもう(クリックで拡大) |
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画像13:ありとはと(クリックで拡大) |
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・制作のポイント
私の粘土作品の着彩は上から着色はせず、粘土を混ぜ合わせることによって色を表現しています。虎の模様や目なども同様で、粘土だけで制作しています。そのおかげで粘土独特の風合いがそのまま残り、色合いも深みのあるものとなっています。
ただ、一方で、制作するパーツも増え、それらの粘土の乾燥待ちの時間がどうしても必要になってきます。小さいパーツでも数時間、物によっては1日以上かかるものもあります。その待ち時間に他の作業をどれだけ行えるかが作業時間を早める上でポイントになってきます。また、外出時や就寝時など、作業を行えない時間に乾燥時間をうまく割り当てられるようにしています。
次回はmarmelo*さんの予定です。
(2017年9月6日更新) |