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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 33

苗村さとみ(なえむらさとみ)

イラストレーター。アクリル絵の具を薄く溶き、色を重ねて水彩画風に描く手法で、細密なタッチのイラストを制作しています。主に人物と花をモチーフとして、書籍カバーや雑誌の挿絵などの制作を行っています。
イラストギャラリー
「幻爽惑星」https://genso-planet.jimdo.com/
twitterアカウント: s_naemura

●「夏の浴衣女子」イラストの制作

・販売用オリジナル作品(ポストカードサイズ)

クライアントの依頼によるものとは異なり、気軽にお部屋に飾っていただけるよう、原画を販売する目的で描いている小さなイラストの制作過程をご紹介します。
今回のモチーフは、これまでによく描いている「着物女性とお花」で、季節感を意識して構成しています。


完成したイラスト。(クリックで拡大)
 

・ラフ制作

A最初にコピー紙などの薄い用紙に、人物のポーズや花の位置など、どのような要素を入れるかアイデアをスケッチします。(画像1)
次に実寸大におおまかにラフを描きます。(画像2)
構図のあたりがついたら、人物や花を細かく描き込み、下書きが完成です。(画像3)


画像1:アイデアのスケッチ。(クリックで拡大)


画像2:実寸大のラフ。(クリックで拡大)


画像3:下書き完成。(クリックで拡大)

・本描き、ペン入れ

木製パネルに水張りしたアルシュ水彩紙に下書きをトレースし、転写された鉛筆の線に沿って、グレーのミリペンでペン入れを行います。(画像4)
この作業が終わると(画像5)のようになります。


画像4:グレーのミリペンでペン入れ。
 


画像5:ペン入れ完了。
 

・アクリル絵の具で彩色(下塗り)

必要な絵の具をウエットパレットに出します。混色しすぎて色が濁らないよう、心掛けています。(画像6)
彩色はブロック毎に薄い色から始め、徐々に濃い部分をはみ出さないよう注意しながら塗っていきます。(画像7)
水を多く含んだ筆で色をのせては、ティッシュペーパーで余分な色(水分)を拭うという作業を繰り返します。(画像8)
影の部分も少しずつ塗り進めていきますが、特に肌の影は濁らないよう気をつけます。(画像9)
これで下塗りが完成です。(画像10)


画像6:絵の具をウエットパレットに出す。(クリックで拡大)
 


画像7:薄い色から始めて徐々に濃い部分を彩色していく。(クリックで拡大)

画像8:水を含んだ筆で色をのせ、余分な水分は拭う。(クリックで拡大)


画像9:影の部分は濁らないように注意しながら彩色する。(クリックで拡大)

画像10:下塗りの完成。(クリックで拡大)

下塗りまでの動画。


・仕上げ作業

これから慎重に、色を塗り重ねて絵を仕上げていきます。
光が当たる向きや、生じる影などを考えて描くと、立体感がでます。
絵にメリハリをつけるため、必要に応じてミリペンで線を強調します。
ディテールをしっかり描き込んで、完成です。


画像4:完成。
 


次回は星野勝之さんの予定です。
(2017年7月10日更新)

 

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