●企画展のための作品を描く
●使用ツール
アクリルガッシュ、筆、セラミックスタッコ(メディウム)、F4サイズの木製パネル、鉛筆、ボールペン、Photoshop。

完成イラスト。(クリックで拡大) |
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●アイデア、構想、描くきっかけ
今回描く作品は「Thanks Mimosa」というタイトルのミモザをモチーフにした企画展に出品するものです。いつもミモザの絵を描く時は暗い背景にしがちなので、今回は明るい色味にしようと決めました。ミモザの丸く見える花から全体的に丸を多く使うようにして、「降り注ぐ」や「舞い上がる」などのイメージからミモザの花が効果的に見えるような構図を考えました。
あと今回の企画展を企画&開催するギャラリーのイメージカラーが赤なので、どこかに赤を入れようと考えました。結果、ミモザは春の柔い青空の下で光っているイメージし、柔らかく輝くという意味の「glow」というタイトルに決め、青空に浮かぶ日中の月に舞い上がっていくようなイメージで描きました。

▲「Mimosa」。(クリックで拡大) |
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▲「fullmoon」。(クリックで拡大)
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●ワークフロー
(1)ラフ(構図)を考える
頭の中でだいたいのイメージや配色が固まったら、スケッチブックに手描きでいくつか案を描き出していきます。

スケッチブックにラフを描いていく。(クリックで拡大) |
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(2)パネルにメディウムを塗る
乾かすのに1日ほどかかるので先に下地を塗ります。セラミックスタッコという細かい砂が入ったメディウムをパレットナイフで、あえて流れが出るように塗ります。
(3)Photoshopで下絵を描く
下地を乾かしている間にラフの中からこれだというものを決めて、Photoshopで下絵を描いて配色もここで細かく決めます。

Photoshopで下描きを描く。(クリックで拡大) |
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(4)トレース
白黒でプリントした下絵の裏を鉛筆で塗りつぶし、ボールペンでなぞってトレースダウンします。下地が細かい砂でできたメディウムなのでガタガタしていて描きにくいです。

▲トレースしていく。(クリックで拡大) |
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▲ボールペンでトレース。(クリックで拡大)
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(5)色作り、着彩
デジタルで決めた配色をアクリルガッシュで再現していきます。トーンは少し落ちますが、だいたい同じような色になるように何度も試して色作りをします。主に大小さまざまな平筆を使って着彩します。輪郭線は細い面相筆で引いていきます。

▲色を用意していく。(クリックで拡大) |
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▲着彩1。(クリックで拡大) |
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▲着彩2。(クリックで拡大)
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▲着彩3。(クリックで拡大) |
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▲着彩4。(クリックで拡大)
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▲着彩5。(クリックで拡大) |
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▲着彩6。(クリックで拡大)
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(6)完成

▲完成イラスト。(クリックで拡大) |
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▲完成イラストの写真。(クリックで拡大)
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●こだわりポイント
いつも描く時にこだわっていることは色ムラや線の揺らぎを出さないように塗ることです。今回は下地がガタガタなので普通に塗ると砂に邪魔されてガタガタの線になってしまうので、1mmくらいの砂の隙間を地道に塗り正面で見た時に線が歪みなく真っ直ぐ見えるように調整しながら塗りました。
平らな紙に描く時もマスキングをして塗ると染みだしたりして線が逆にガタガタになるので、マスキングはせずフリーハンドで塗ったり線を引いたりしています。
もし実際に作品を見ていただける機会がありましたら、是非近づいて色ムラのなさや輪郭線の滑らかさを見ていただきたいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回はナカオハルカさんの予定です。
(2025年2月18日更新) |