●グランフロントで発表する作品制作
今回はグランフロントで発表する小作品を制作します。小さい支持体の中ですが謎めいた空間が繰り広げられている作品を目指して制作です。版画技法を使いますが一点物の絵画作品です。
完成イラスト。(クリックで拡大) |
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●使用ツール
(1)1版目背景:オペーク、筆、OHPフィルム、シルクスクリーン、水性インク、和紙
(2)転写、シルク2版目:色カーボン、シルクスクリーン、水性インク
(3)描画:アクリル絵の具、グロスメディウム、色鉛筆
●ワークフロー
(1)背景の刷り
オペークインクでOHPフィルムにポジ原稿を描画します。乾いた描画部分を削ったり、ベタ面要素が多い版ですが少しモチーフを書いてみたりと遊び心を忘れず!
オペークポジ原稿。(クリックで拡大) |
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刷りは多色のインクをあえて混ぜ切らず、水彩色鉛筆で版に直接描画したものと共にマーブル状に刷り落とします。コントロールできる部分とできない部分、どちらも楽しみます。
製版し、刷り終えた状態。(クリックで拡大) |
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(2)パネル貼り、カーボン紙で描画、2版目
ヤニ止めをしたパネルに先ほど刷った紙を水張りします。今回はその上から色カーボン紙を使用しドローイングを転写。日頃から描き溜めているドローイングから抜選。
この辺りから背景の色味や動きに合う構図をイメージし、コラージュ感覚で計画を立てていきます。
ドローイングを重ねて位置を調整。(クリックで拡大) |
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2版目は背景よりも濃い色でクッキリさせます。作品によってはあえて淡い色にし、曖昧にさせることもあります。今回は小作品ということもあり、存在感を出したいので濃いめで!
2版目を刷った状態。(クリックで拡大) |
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(3)アクリル絵の具で描画
画面を調整するように絵の具で描画していきます。
色味や刷った場所を尊重しつつよりいい絵になるよう描画。(クリックで拡大) |
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この後はコントラスト、構図を調整しながら色鉛筆でも描画を追加して完成です!
仕上がり! (クリックで拡大) |
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●絵のポイント
版画技法ならではの複数性の魅力を他の作品にも同じ版を利用することでイメージの統一性を作り出しています。
●使用した技法、テクニック
一点ものの版画作品をモノタイプといいます。版画家も素敵なのですが現代美術作品として絵画を制作したいと思うようになりミクストメディア技法で制作するようになりました。
版にできるものは無限大の版画、空気以外ならなんでも刷れると言われているシルクスクリーンの魅力をもっと伝えていきたいです。
次回は井出佳美さんの予定です。
(2024年10月8日更新)
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