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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のイラストレーターに旬のイラストを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 119

岡本健作

岡本健作:1993年生まれ。愛知県出身、大阪府在住。関西学院大学総合政策学部卒業。関西学院大学大学院社会学研究科博士課程前期課程修了。鉄や機械に感じる近代性を美と捉え、美しいと感じた感情を再生産する手段として、紙と絵の具を用いて作品を制作している。大阪のギャラリーを中心に、グループ展や個展などを開催して、活動中。
X(Twitter):@tokoshita_
Instagram:@okamoto.artworks




 

●作品を作るようになったきっかけ

私がよく作品のモチーフとしているものとして、「縞鋼板(しまこうはん)」があります。街中でもよくある、滑り止めの凹凸のある鉄板のことです。


紙で制作された作品の一例。(クリックで拡大)

こうした鉄をモチーフとした作品を作るようになったきっかけは、最初に就いた仕事が産業機械のメーカーの設計開発で、工場に頻繁に通うようになったことでした。そこで、工場の鉄の縞鋼板の階段が持つ、使い古された独特の風合いに惹かれ、仕事の合間に写真を何となく撮り貯めるようになりました。

それがあるとき「これは模型のようにつくることができるのでは?」と思い、なんとなく手を動かしました。そうしてでき上がったのがこの作品です。この作品以降、縞鋼板を作り続けています。最初にてがけた作品から、支持体がキャンバスになったり、紙になったりしていますが、基本的な手順は変わっていません。

●使用する画材

画材としては、アクリル絵の具を使用しています。剥げてめくれあがった塗装の肉厚な感じが出るように、モデリングペーストというメディウムも併せて使用しています。また、経年劣化による塗装の剥げの表現をするために、マスキング液を使用します。

●制作の手順
まず、あらかじめ縞鋼板の特徴でもある、滑り止めの部品を大量に作っておきます。材料は薄めのボール紙です。ボール紙を笹のような形に切り出していきます。当初は手で切り出していましたが、作品の制作量が増えてきたので、最近ではレーザー加工機を使用しています。


ボール紙で滑り止めの部品を作成。(クリックで拡大)

次に切り出したこの笹の形をした紙を、縦方向に山折りします。こうすることで、画面に張り付けたときに、立体感が生まれます。

支持体には、モデリングペーストを何層か塗り重ねます。キャンバスに制作する場合は、キャンバスの目が見えなくなるまで、塗り重ねます。そして、凹凸となる紙のパーツを貼っていきます。凹凸の位置を決めるための下描きの線を引いておき、その線を目安にパーツを貼っていきます。ここまでが下準備です。


支持体にパーツを貼っていく。(クリックで拡大)

ここでもう一度、モデリングペーストを塗り重ねてから、下塗りに入ります。下塗りをしてから、まず鉄の色をつけます。


鉄の色を塗って完成。(クリックで拡大)


鉄の色をつけてから、マスキング液で鉄が露出している部分を塗り、描いていきます。マスキング液が乾いたら、ペンキの色となる絵具を何度か塗り重ね、マスキング液をはがしていきます。

すべてのマスキングをはがし終えたら、アクリルガッシュを用いて、汚れや錆を描き込んでいきます。汚れや錆があることで、ペンキの剥げが一層際立ちます。このペンキの剥げ具合、錆の出方が最も味わい深いところであり、うまく表現できるとうれしいところです。



次回は山田HOWさんの予定です。


(2024年9月5日更新)

 

 

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