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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のイラストレーターに旬のイラストを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 115

天坊早希

天坊早希(てんぼうさき):大阪府高槻市出身。2004年京都市立芸術大学美術学部日本画専攻卒業。2006年同大学美術修士課程絵画専攻修了。
https://sakitemboflatwork.wixsite.com/sakitembo


 

●茶碗は割れるし メシは飛ぶ


完成イラスト。(クリックで拡大)

●使用ツール
パネル、麻紙、膠、胡粉、棒絵具、泥絵具、岩絵具など。

●アイデア、構想、描くきっかけ
「食器が落ちて割れる」という日常の中で起こる事件から着想を得て描いた。アイデアスケッチを通して「茶碗は割れるし メシは飛ぶ」という諺めいた言葉が浮かび、割れた茶碗に飛び散るご飯を加えて描くことにした。

●ラフスケッチ


大まかに構図を考える。(クリックで拡大)

徐々に構図を固めていく。(クリックで拡大)

次に、絵具の使い方や線の入れ方などを検討しながら、大下絵(原寸大の下絵)を制作。大下絵で形をしっかり決める。


原寸大の下絵を作る。(クリックで拡大)

着色方法や色合いを検討する。(クリックで拡大)


原寸大で線のみの下絵も作る。(クリックで拡大)

●制作手順

パネルに麻紙を水貼りし、胡粉と水晶末10番を混ぜたもので下地に塗る。大下絵の裏を鉛筆で塗り、下絵を本画に転写。具墨(墨に胡粉を混ぜたもの)で骨書きする。


下地の上から具墨で線を入れる。(クリックで拡大)

藤黄、本藍(棒絵具)に胡粉を混ぜたものや田原白土で下地を薄く着色。


棒絵具や泥絵具で下塗り。(クリックで拡大)


下地の上から、岩絵具などで着色していく。細かい番手の岩絵具から塗り始めて次第に荒い番手を使用した。今回は青磁色白~8番、紅藤色13番~6番、赤口岩黄12番~8番、岩黒7番、田原白土、胡粉で着色。


細かい粒子の岩絵具で着色。(クリックで拡大)

上から荒い絵具をのせていく。(クリックで拡大)

飛切胡粉で米の白を立ち上げる。途中、茶碗の平明な表現に対して「メシ」の部分に何らかのリアリティが欲しくなり、ご飯を写生して画面に反映させることを試みた。

藍墨色10番と墨を用いて即興的に線をいれ、全体の調整して完成。


米などの細部を描きこむ。(クリックで拡大)

墨などで即興的に線を入れる。(クリックで拡大)

●絵のポイント
通常、茶碗が割れたことで中の「メシ」が飛び散るが、「メシ」が自ら飛び出した可能性も想像しながら描いた。日常の出来事を描写しながら自分の空想も同居させようと制作した。

●使用した技法、テクニック
胡粉で下地を作り墨で骨描きし、泥絵具や岩絵具で着色した。今回は初め引いた墨線を塗りつぶさないように線を避けて彩色する、彫り塗りという方法を用いた。




次回は堀としかずさんの予定です。


(2024年5月9日更新)

 

 

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