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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のイラストレーターに旬のイラストを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 109

池田愛花里

池田愛花里(いけだあかり):1996年生まれ。岡山県出身。現在国画会会員。腐った食べ物をモチーフに死と生の楽園を描いています。最近はハムスターやうさぎなどの動物と腐敗を組み合わせたシリーズを制作しています。
https://ikedaakari.jimdofree.com/
Instagram:@kingyo_akr524
X(Twitter):@IKEDA_AKARI428

 

●ハムスターと腐った苺


完成イラスト。(クリックで拡大)

●使用ツール

木製パネル(F0号)、胡粉、膠、油絵具、筆、紙やすり、iPad、Clip Studio。


▲用いているさまざまな画材。(クリックで拡大)

●アイデア、構想、描くきっかけ

腐った食べ物や生き物、またそれらの関係を油絵で描いています。今回は最近制作しているハムスター×腐敗のシリーズで、ハムスターが腐った苺を食べてしまっている場面です。

●ワークフロー


(1)エスキース制作
Clip Studioでアイデアスケッチからエスキースをつくります。今回は実際に飼っているハムスターのスケッチからエスキースを描き、色合いや構図を決めていきます。ここで背景色とポイントになる色を1色必ず決めるようにしています。


▲デジタルでエスキースを描く。(クリックで拡大)

(2)下地作り
木製パネルに胡粉と膠を混ぜた塗料を塗り重ね、白亜地という下地を作ります。薄く15層程塗り重ね、紙やすりで表面を整えます。白亜地を作ることでぼかしや細かい表現が行いやすくなり、油絵具を塗り重ねた時に内から輝くような質感になります。

(3)下塗り
ブルーコンポーゼを基調にフレッシュピンクやレモンイエローを薄めに塗ります。テレピン多めで、ファン筆を使いながら散らしたり垂らしたりして進めます。


▲下地に下塗りした状態。(クリックで拡大)

(4)描画とグレーズ
エスキースをもとにパネルに描き、描画とグレーズを繰り返します。グレーズとは透明色の絵の具を薄く塗り重ねる技法です。今回は大まかに形をとる→オリーブグリーンやクリムソンレーキを塗る→乾燥→描写を進める→乾燥→薄く透明色をのせる、という流れで進めていきます。グレーズを行うことで全体がまとまり、油絵特有の艶が出てきます。

最初は固めのファン筆でふわふわとしたハムスターのマチエールを作ります。そこから平筆で陰影をだし、細筆で毛を描きながらハムスターのもっちりした感じを描きます。今回は作品の中でフレッシュピンク、ブルーコンポーゼ、オリーブグリーンを効果的に使うよう心がけています。


▲描画とグレーズを繰り返していく。(クリックで拡大)

▲(クリックで拡大)


▲(クリックで拡大)

(5)仕上げのハイライト
最後のグレーズは特に薄い色で塗り重ねます、その後シルバーホワイトで魅せたい場所に毛や艶を描き入れます。


▲ハイライトを入れていく。(クリックで拡大)

●絵のポイント

腐った苺を食べたハムスターは自分自信も腐り始めてしまう、というテーマで制作しました。ハムスターもとろけ始めていたり穴が開いたりしていますが、よく見るもほっぺについた種からは芽が生え始めています。腐っていく食べ物とまたそこから生まれ出る命が共存している世界です。

他にも虫が飛び出ていたり、苺からあたらしい命が育とうとしています。そういった細かいこだわりポイントも見つけて楽しんでもらえますと嬉しいです。


▲完成。(クリックで拡大)





次回は中山友莉菜さんの予定です。


(2023年11月6日更新)

 

 

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