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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のイラストレーターに旬のイラストを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Illustrator FILE 105

はまださなえ

工作家件グラフィックデザイナーです。ガラス、糸、木材、布、革、木などいろんな素材を使って工作します。料理をします。2017年からチョークアートを、2018年から器の修理を、2022年から企画展キューレーションをはじめました。ブラザーズを育てる母なので楽しくつくる生活を発信します。
Instagram:@hamada_sanae

 


●木版画の技法で遊ぶ

今回は我が子の突拍子もない行動を記録するために新作を工作しました。モデルはサングラスに銀紙を貼り付けてドヤ顔をしているところです。


わが子をモデルに。(クリックで拡大)

●使用ツール

(1)下絵段階:鉛筆、クロッキー帳、版木、トレーシングペーパー
(2)版下段階:下絵で作成したトレーシングペーパー、赤ボールペン、カーボン紙、彫刻刀
(3)刷り段階:版画用絵の具、ガラス板、ローラー、新聞紙、和紙、スポンジはけ
(4)遊び段階:採取した草(今回はセリ、カタバミ)、鉛筆についている消しゴム、アルミホイル


●ワークフロー

(1)下絵


▲板木と写真。(クリックで拡大)


・下描き
クロッキー帳に使用する版木の大きさを書き写します。
今回2版作成するのでバランスをみながら枠に中に下書きをしていきます。

・下絵の書き出し
版ごとにトレーシングペーパーで下絵を写します。

▲下絵。(クリックで拡大)

▲下絵とトレペ。(クリックで拡大)


(2)版下
・版木への写し
トレーシングペーパーを裏返し、版木とトレーシングペーパーの間にカーボン紙を挟み、下絵の線をわかりやすいよう赤い線でなぞります。


▲下絵を写す。(クリックで拡大)


・彫り
下絵に沿って彫刻刀で掘っていきます。切り出し刀やデザインナイフで線に沿って切れ目を入れた後に丸刀で面を彫っていくと作業しやすいです。

▲彫り。(クリックで拡大)


(3)刷り

版画絵の具やポスターカラー、アクリル絵の具を使って刷っていきます。絵の具を伸ばしたり色を混ぜるのにガラス板とヘラとローラーを使います。周辺は汚さないように新聞紙を敷きましょう。

スポンジハケを使って和紙を湿らせます。湿らせた和紙は新聞紙に挟んで乾燥を防ぎます。


▲刷りに必要な道具。(クリックで拡大)

▲和紙にスポンジブラシで覆水。(クリックで拡大)


色を乗せます。
ローラーでムラなく絵の具を乗せます。色が薄いものから擦ります。


▲1版目の色乗せ。(クリックで拡大)

▲こちらは2版目、1版目が刷れたら色を乗せます。(クリックで拡大)

バレンとオーブンシートを用意します。オーブンシートはバレンで擦るときに滑りを滑らかにします。
親指の付け根に力を入れて円を描くように擦ります。


▲バレンとオーブンシート。(クリックで拡大)

▲2版目バレン。(クリックで拡大)


▲2版目。「ペロリ」めくる瞬間が版画の醍醐味です。(クリックで拡大)


(4) 遊び

モデルをイメージして装飾をしていきます。摘んできたカタバミとセリに絵の具をのせ刷ります。
鉛筆についた消しゴムに絵の具をのせて、ほっぺたに色を入れます。


▲バレンとオーブンシート。(クリックで拡大)

▲ほっぺ。(クリックで拡大)

最後にサングラスの部分にアルミホイルを貼り付けて完成です。
今回はパネルに貼りました。


▲仕上がり。(クリックで拡大)

絵のポイント

写真を元にしていますが、デフォルメの楽しさと遊んだ際の変化をとにかく楽しみましょう。

使用した技法、テクニック

絵でありながら版木を作成する際は木彫の技法が必要になります。怪我をしないように取り組みましょう。とくに添える方の利き手ではない方が怪我をしやすいので慣れない手は軍手をしましょう。複製ができる版画の技法ですが、遊びを加えることで画面に変化が生まれます。画面一杯素材を変えて楽しみましょう。



次回はmippiさんの予定です。


(2023年7月7日更新)

 

 

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