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リレーコラム
カメラマンの独り言
-CG、生成AI時代の写真生活-


第12回:五味 彬/写真家


2000年代に入り「写真」はデジタルテクノロジーにより大きく変貌した。そして最近では生成AIやCGレンダリングといった写真によく似た「新ビジュアル表現」が台頭してきている。そんな時代にカメラマン、フォトグラファーはどう対応していけばよいのか? そんな思いを語っていただくリレーコラムです。




Photographer's Murmur 12

五味 彬(ごみ あきら):1953年東京神田生まれ。1974年日本大学芸術学部写真学科入学。在学中に写真家吉村則人のアシスタント。1977年大学卒業後に渡仏し、写真家のローレンス・サックマンのアシスタントを1年務め、1978年写真家ミッシェル・ベルトンに師事する。1983年帰国後、ファッション誌『流行通信』『エル・ジャポン』などを中心に活躍。1989年 写真誌『Sh・I・N・C』を創刊。1993年風雅書房より写真集『YELLOWS2.0』刊行。日本初のCD-ROM写真集『YELLOWS』を発表。その後『YELLOWS2.0』に続いて『AMERICANS』『YELLOWS3.0』など2000年までに14タイトルを発表。2012年3月『ShINC.MAGAZINE』創刊号を発行。写真家土田ヒロミの「俗神」を特集。2022年「Stable Diffusion」を用いることでAIによる作品の制作をはじめる。

●体型の記録、YELLOWS

正直に言えば、写真について語ることも、撮るという行為そのものも、それほど好んでいるわけではない。写真をアートと捉えておらず、あくまで生計を立てるための職業として続けてきた。

1983年に帰国後、ファッション関連の撮影を中心に活動を開始。1989年に第一子が生まれたことを機に、彼女に残すものはないかと考えた。

当時、実家は原宿にあり、母親が小さな居酒屋を営んでいた。店の客層にはファッション業界や広告代理店関係者が多く、撮影した雑誌の新刊を毎号置かせてもらっていた。ある日、母から「どうして外人しか撮らないんだい? 竹下通りの女の子たちは足も長くて背も高いじゃないか」と言われた。

日本人の体型の記録として彼女たちを撮ることにした。タイトルは、日本人が黄色人種であることから『YELLOWS』とした。写真集として出版するにあたり、複数の出版社をあたった結果、刊行に応じるところが見つかった。


『YELLOWS』より。(クリックで再生)

同じく『YELLOWS』より。(クリックで拡大)

同書は予想を超える反響を得た。その後、被写体をアメリカ人に広げた『AMERICANS』、さらに中国人女性を対象とした『YELLOWS 3.0』を発表し、日本から他国へと視覚的アプローチを広げていった。


『AMERICANS』より。(クリックで再生)

『YELLOWS 3.0』より。(クリックで拡大)

●何を、何故扱うのか?

2022年、ディープラーニング(深層学習)を用いたtext-to-imageモデル「Stable Diffusion」が公開された。写真でもっとも重要なのはモデルである。『YELLOWS』は日本人の体型を記録することが主目的であり、モデルの選別を行わず、できる限り多くのサンプルを集めたことで、100人の撮影が実現した。

一方で、刺青を入れた妊婦の黒人女性を100人集めることは現実的に不可能だが、AIならそれが可能になる。ロケーションも、世界中どこでも設定でき、宇宙空間での撮影すら成立する。物理的な制約を受けずに視覚構成を展開できる点で、AIは新たな撮影手法として有効である。

「どのように撮るか」ではなく、「何を、なぜ扱うのか」が重要だと考えている。カメラであれAIであれ、技術はあくまで手段に過ぎない。何を見て、どこに焦点を当てるのか。その視点と構想こそが、あらゆる表現の起点であり、すべての根幹となると考えている


AIによる作例。(クリックで拡大)

AIによる作例。(クリックで拡大


AIによる作例。(クリックで拡大)

AIによる作例。(クリックで拡大

AIによる作例。(クリックで拡大)

AIによる作例。(クリックで拡大



(2025年7月28日更新)

 

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