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リレーコラム
カメラマンの独り言
-CG、生成AI時代の写真生活-


第7回:村田一朗/写真家


2000年代に入り「写真」はデジタルテクノロジーにより大きく変貌した。そして最近では生成AIやCGレンダリングといった写真によく似た「新ビジュアル表現」が台頭してきている。そんな時代にカメラマン、フォトグラファーはどう対応していけばよいのか? そんな思いを語っていただくリレーコラムです。




Photographer's Murmur 07

弥田一朗:1964年3月28日東京生まれ。東海大学海洋学部海洋工学科卒。卒業研究では東京大学生産技術研究所にて、気象衛星NOAAの熱画像処理を担当。1985年当時ですでにデジタル画像だった。卒業後、電機メーカーにてTV用画像処理エンジンの開発・設計に従事。しかし20年を経て飽きを感じ、フリーランスの山岳写真家に。フィルム時代には大判カメラとテント装備で北アルプスを主に撮影。1999年デジタル一眼の登場とともにいち早く導入し、比較明合成を用いた山岳星景写真が『デジタルフォト』2010年4月号の表紙およびギャラリーに掲載される。この頃写真雑誌掲載が多数。近年はコロナ禍を経て、地元・鎌倉の波をテーマにした撮影に没頭中。Photoshopなどにも生成AIが導入され、なくてはならないものとなっている。右脳タイプの理系で、理論と直感を大事にしている。
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●生成AIも私の作品

フィルム時代、私はシノゴのカメラとテント装備を背負って、北アルプスへ撮影に出かけていましたが、1999年末、友人の影響でニコンD1を購入しました。 初めてのデジタルカメラに胸を踊らせ、すぐに山へ持ち込んで撮影したことを覚えています。当時の感覚では「フィルムに加えて新しいメディアが増えた」というものでした。しかし、わずか1~2年で私は完全にデジタルへ移行しました。この流れは、最新のAI生成技術の進化とどこか似ています。

生成AIに実際に触れ始めたのは2年ほど前です。絵を描くことができなかった私にとって、AIが作り出す世界は新鮮で、憧れの領域でもありました。写真では表現できない、撮影できないことも、生成AIなら実現できたからです。例えば月面の風景を描かせるとか。

「生成AIは写真ではない」という考え方には私も同意します。写真は光学的・物理的なプロセスによって現実を切り取るもの。生成AIはアルゴリズムを用いて新たなビジュアルを創造するものです。根本的にプロセスに違いがあります。

それでも私の中ではフィルムもデジタルも、そして生成AIもすべてが「私の作品」です。「写真家」という肩書がふさわしくないのなら、「アーティスト」に変えれば良いだけです。


原画1。(クリックで拡大)
 


原画1の拡張。(クリックで拡大)

原画1の拡張の動画。(クリックで再生)

●写真は消えない

デジタル技術が写真業界を大きく変えたように、生成AIもまた、今後10年以内にビジネスシーンでの写真を大きく置き換えるでしょう。広告、メディア、プロダクト撮影といった分野では、効率やコスト面でAIが優位に立つのは避けられないと思うからです。

では、「写真は消えるのか?」と言うと、そうは思いません。写真が持つ「記憶」の力は、生成AIでは代替できないものですからです。例えば、「亡き祖父と一緒に撮った家族写真」があったとして、これをAIに描かせたとしても意味はないでしょう。写真が「現実の証拠」であり「瞬間の記録」であるという性質は、AIには真似できないものです。

現代でも「書道」が主に趣味として現代に残るように、「写真」もまた主に趣味として今後も残ることでしょう。


原画2。(クリックで拡大)
 


原画2の拡張。(クリックで拡大)

原画2の拡張の動画。(クリックで再生)

●新たな表現手段としてのツール

生成AIが主流になる未来は確実に訪れると思う。しかし、それは写真が完全に消えることを意味するわけではない。写真は、個人の記憶や感情と深く関係していて、人々の生活に根付いています。そして、生成AIもまた、新たな表現手段として写真家やアーティストの創造性を広げるツールになり得ると思います。

写真家にとって大切なのは、技術の変化を受け入れながら、自分らしい表現を追求し続けることだと思います。「写真」「生成AI」「フィルム」…どんなメディアであっても、私たちの作品が人々の心に届く限り、それが本質なのではないでしょうか。

追伸:私は文章を書くのは得意ではありません。が、AIに「こんなことを書きたい」と伝えればAIがそれなりの文章を作ってくれます。今回の原稿もそうやって書き上げました。自分で読み直して修正が必要ではありますが、こういうことも近いうちにAIが学習してくれることでしょう。


原画3。(クリックで拡大)
 


原画3の拡張。(クリックで拡大)

原画3の拡張の動画。(クリックで再生)

[原画]はSeaArt (https://www.seaart.ai/ja) でプロンプトを入力して生成。
[原画の拡張]はPhotoshopでキャンパスサイズを拡大し、余白を生成。
[原画の拡張の動画]はklingai(https://klingai.com/) でプロンプトを入れて生成。



次回のコラムは糸崎公朗さんの予定です。

(2025年3月10日更新)

 

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