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リレーコラム
カメラマンの独り言
-CG、生成AI時代の写真生活-


第5回:Cute is Full of Bug/Photographer


2000年代に入り「写真」はデジタルテクノロジーにより大きく変貌した。そして最近では生成AIやCGレンダリングといった写真によく似た「新ビジュアル表現」が台頭してきている。そんな時代にカメラマン、フォトグラファーはどう対応していけばよいのか? そんな思いを語っていただくリレーコラムです。




Photographer's Murmur 05

Cute is Full of Bug:広告代理店に就職後、その後コマーシャルスタジオにて勤務。2020年独立。サブカル的なポートレートを中心に写真、映像を撮影しています。2024年「Cute is full of bug写真集 sentimental girl's」(玄光社)出版。
X(Twitter):@cuteisfullofbug

●かわいい女の子は2次元だけですか?

2015年、Twitterに流れてきた、コミックマーケットでのコスプレイヤーの写真を見て「これだ!」となりカメラを始めた。当時私は、イラストでかわいい女の子を描きたいと思い練習していたのだが、絵を描くことがあまりに不向きで絶望していた。

さっそく家にあったコンパクトデジタルカメラを片手にイベントに行き写真を撮影すると、絵で描くとヘンテコだった横顔が、実際にかわいい女の子の横顔を撮影すれば、かわいい写真になった感動は今でも忘れられない。

イメージを具現化する手法として、自分にとって絵よりも写真のほうがあっていたのだ。そうしてカメラをはじめ、今では仕事として写真や映像を続けている。

●それでも私たちはリアルな人間が好き

2016年頃から多くのVTuberが登場し、2D CGや3D CGの身体を持つ新しいタレントが登場した。2D CG、3D CGによるキャラクターが配信や音楽のLIVEなどを行うコンテンツだが、中身はリアルの人間である。

現在も絶賛流行中で、筆者自身とても楽しんでいる。私たちは肉体を3D CGに変えたタレントも好きになれるし、ハマれるのだ。

そんな中、2022年に魔法のように登場したのが画像生成AIである。当時はその不完全性を笑いの種にしていたが、急速に進化し、2023年にはマッチングアプリの広告などをはじめとして、画像生成AI(以下生成AI)の写真が使用されはじめた。

この頃から、カメラマンという職業に、今後生成AIが影響をもたらすか、もたらさないかが、言われ始めたように思える。

参考画像1:オタ恋による生成AIのビジュアル作例。(クリックで拡大)。
 

そして当時、私は生成AIの影響をもろに受けると思っていた。今後3D CGや生成AIの肉体を持つタレントが増え、アー写やMVなどもリアルの撮影が不要になると思ったからだ。しかし現状、いや当分先の未来でさえそうならないように感じている。

そう、世界は意外とリアルな肉体を持つ人間が好きだったのだ。上記ではいわゆるアニメオタク的な自分の話をしていたが、ふと世の中を見るとアーティストが好き、アイドルが好き…などリアルなタレントを好きな人ばかりだった。

上記にあげたようなマッチングアプリの広告など、タレントを必要としない媒体で今後モデルを利用した過去の写真は生成AIに置き換わるかもしれない。だが、世間がタレントが求められる限り、その人の写真を撮影するカメラマンもまた求め続けられるだろうと感じている。

●AIは可愛い女の子が好きな私たちに微笑むのか

では商業写真を除いて、作品撮影としてかわいい女の子を撮影する私みたいなカメラマンはどうだろうか。

作例1:普段Xに投稿している写真。(クリックで拡大)。

作例2:普段Xに投稿している写真。(クリックで拡大)。


作例3:普段Xに投稿している写真。(クリックで拡大)。

作例4:普段Xに投稿している写真。(クリックで拡大)。


作例5『季刊エス』68号掲載。(クリックで拡大)。
 

作品撮りでは、SNSで写真を上げるアマチュアカメラマンと同じように撮影している。SNSで作風に合う人を探し、メッセージを送り、日程を組み撮影を行う。基本的に相互無償だ。作品では自分が見たいイラストのような光景の写真を目指している。

この活動が商業写真と大きく違うのは、タレントが必ずしも必要でない点だ。つまり被写体選びについて、写真を見る受け手の視線よりも、作り手の視線が重要になる。しかし理想的な被写体を探す作業はかなり手間と時間がかかる。

では、生成AIなら?
https://x.com/mizuki_dra/status/1850119775269351480


参考画像2:生成AIを利用した写真。(クリックでリンク)。
 

上記のアカウントを見ていただきたい。どこまでが生成AIが入っているか憶測にしか過ぎないが、おそらく顔周りだろうとは想像がつく。また、生成AIを利用したタレント的なアプローチでもあり大変興味深いと感じている。

生成AIにおけるポートレートは今まで、背景を含めて生成していた作品が多かったが、この方法なら現実の風景に理想の顔つきの被写体を置くことができる。

現状は違和感などを感じたり、身体役をしてもらう被写体は必要になるにせよ、この方向性で技術がより進化していけば、今後理想的な被写体を撮影のたびに探さなくても、生成AIで理想的な被写体を作れそうではないだろうか。

●最後に

生成AIはまだリアルの人間を代替するまでには至らないが、今後の進化によって完成度が上がり、技術的な手間が減れば、被写体探しのハードルをなくすことができるかもしれない。

性別を超えた生成AIを利用した置き換えができるなら、男性が男性を撮影した写真が、女性ポートレートになることもあるだろう。そうしたら自分も含め多くのカメラマンや、それ以外の人でもより多くの作品を作れるだろうと思うと個人的には楽しみである。まぁもともと自分はAIっぽい写真と言われているし...。


参考画像3:Xに掲載したAI写真。(クリックで拡大)。
 



次回のコラムは弥永拳太さんの予定です。

(2025年1月15日更新)

 

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