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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第94回

千葉愛子

1990年宮城県仙台市生まれ。津田塾大学卒業後、企業に勤めながらNPOのプロボノとして写真を撮るようになる。2019年よりフリーのフォトグラファーとして人物写真を中心に活動中。気候危機をはじめとする環境問題に関心がある。
https://www.instagram.com/chaiko2328/
https://www.aikochiba.com



 


▲SONY α7 Ⅲにて撮影。自粛期間中、家でよく野菜を撮影していた。(クリックで拡大)
 
 

▲(クリックで拡大)

 

●生きることに近づきたい

世界的なコロナウイルスの流行以降、豊かなくらしってなんだろうと考えている。

これまで外出が多く、家でほとんど食事をしていなかった夫が、2020年3月以降、3食ご飯を共にできるようになった。

料理をする機会と時間が増えたので、いろんな野菜を買うようになった。これまでいかに自分が「調理するのに慣れている」または「調理がしやすい」野菜ばかりを買っていたかに気づいた。

農家さんから直接野菜を購入するようになり、初めて見るような野菜にたくさん出会った。綺麗な曲線を描いていたり、とても鮮やかな色をしていたり。太陽と土のパワーをしっかり吸収していることが分かり、味の濃さと豊かさに驚く。山菜は下処理に時間がかかるけど、独特の苦味がとても美味しい。そして造形が美しい。

食べた野菜のタネをとって植えてみたり、植物を買ってきて育て始めた。毎日少しずつ変化があり、朝起きてベランダを見ることが楽しみになった。ああこんな形で芽が出るんだ、葉っぱが伸びていくんだ。この野菜の葉っぱってこんな形だったんだ。こんなに虫がついちゃうんだ。虫は思ったよりもつくんだな。農家さんの苦労が分かり、農薬を使いたくなる気持ちも想像ができた。改めて感謝もわく。

これまで切り離されていた消費することと作ることに、ほんのほんのわずかだけど近づけたような気持ちになり、そしてそれはとても充足感のあることだった。
もっともっと生きることに近づきたい、そう思うようになっている。

これまでの私は、「生産性」を第一に考えなければならないと思い込んでいた。
急がなきゃ、何かを生み出さなきゃ、時間を有効に使わなきゃ。
自分や周りとの時間を大切にすること、社会へ目を向けること、動植物とのつながりに思いを馳せること、そういったことを犠牲にしていたと思う。

これからの生き方を考えながら、写真で表現を続けていきたい。
 


次回は汰木志保さんです。
(2021年8月10日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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