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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第91回

木坂美生

1980年 東京都中野区出身。2003年 東京国際大学国際関係学部国際関係学科養護学校教員課程 卒業(障害児教育)。2019年 第30回五島記念文化賞美術新人賞受賞。日常の事物が、作為的ではないにも関わらず、あたかも演出されたかのようにそれ以上いっさい手を加える余地のない空間としてあるとき、シャッターを切っている。2021年4月27日~5月9日、銀座奥野ビル5階 Gallery Camellia、Gallery Nayutaにて「木坂美生展」開催。
https://miokisaca.net/

 


▲「トイレのタイル」。撮影はすべてCANON EOS-1Ds Mark III (クリックで拡大) 



▲「階段のニッチ」。(クリックで拡大)

 


「階段の踊り場」。(クリックで拡大)

 

●奥野ビル

銀座一丁目にそのビルはある。

旧名「銀座アパートメント」だった奥野ビルは2つの建物が連結しており、向かって左側の本館は1932年(昭和7年)に竣工し、新館と呼ばれる右側は1934年に完成したのだそうだ。

設計を担当したのは、同潤会アパートで知られる川元良一氏とのこと。当時はまだ珍しかった鉄筋コンクリートに住宅用エレベーターまで備え付けられている。

本館と新館とを交差する階段はエッシャーを彷彿とさせる。地下を含め、7階までギャラリーなどがひしめき合う。

まずシャッターを切ることがない、そもそもカメラすら持ち歩くこともない、写真家と言うのもはばかるわたしも、奥野ビルには勇んでいく。

なぜこんなにも惹かれるのか。

一度押せば他の階には止まらないエレベーター。膝を押し付けて座る個室トイレ。現代人に忖度ない建造物は魅力的だ。
 
当時の面影をいまに残す306号室。壁紙が年輪のように分厚く重なっていた。ハードボイルドな鉄筋コンクリートの裏は花柄の壁紙に覆われていたりするのだ。

511号室Gallery Nayutaのオーナー佐藤香織さんの寄稿されたものに「以前なにかで読みましたが、携帯、GPSが網羅された現在、真の秘境は地図上になくなってしまったが、唯一それが残っているのが 家の中だ、と」とあった。そこには、時空さえも凌駕する真の秘境がある。




次回は沼山かおりさんです。
(2021年5月14日更新)


●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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