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●人のつくり方
2017年12月16日、自宅が火災にあった。
原因は私のストーブの消し忘れだった。
消したつもりで家を出たが、毎日のルーティーンになってしまっていたその行動に私は絶対の自信を持てずに、家を出て3時間後に思い出のつまった自宅は真っ黒になってしまった。
それでも不幸中の幸いで発見が早かったため、アパートの隣や下に住む家族は被害が出なかった。
大切にしていたものがすべてなくなると、今手の中に残っているものの大事さに気付く。私には焼けてしまった家を目の前に「新しい家、どんなのにしよっか?」「今一番欲しい家電、ベスト3発表しあおう!」と笑顔で言ってくれる超がつくほどポジティブな旦那と、火事のことなど何も知らず保育園で楽しく遊び、親戚や友達の家を渡り歩くことを、ただただ喜ぶ娘がいた。
優しい夫は私のことを責めなかったが、娘の大切にしていたオモチャや絵本が真っ黒になった光景を目にするとショックが大きく、娘には火事のことは何が何でも隠し通そうと心に誓った。
いろいろ宿泊先を転々とする毎日に娘もストレスが溜まり「まえのおうちにかえりたい」と言い出すことも増え、オムツが取れ始めている時期だったのに補助便座もない生活に娘は便秘が酷くなってしまった。
それでも変わらず私に笑顔を向けてくれる娘に、火災にあって初めて涙がこぼれた。娘に対して申し訳なさでいっぱいになる毎日だった。
そんな私をたくさんの人が助けてくれた。
子供のために絵本やおもちゃ、衣服を送ってくれたり、宿泊先を転々とする私たちにホテルを用意してくれたり、ネガの洗浄をしてくれた方、思い出や作品のつまったハードディスクやパソコンを復旧してくれた方もいた。
よく「人は支え合って生きていく」と聞くが、支えられているというよりかは、何人もの何人もの優しさが重なって重なって、そして私ができていく。支えられているのではない。私自身が作られているのだ。
みなさん、ありがとうございます。私は楽しく生きています。
火災が起こったあの日から半年経った今でも、元通りの生活は送れていないし問題は山積みだけど、娘は相変わらず前髪が短く、夫は今日もポジティブです。
次回は伊澤絵里奈さんです。
(2018年6月22日更新)
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