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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第55回

南 阿沙美

札幌市生まれ、東京都在住。2014年キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。代表作は「MATSUOKA!」「親子写真入門」「sheHerHers」等。2016年写真と短歌の個展「オートマチック乙女ちゃん」開催。2017年は札幌国際芸術祭に参加、写真のインスタレーション「ハトに餌をやらないでください」を発表。
http://minamiasami.com/

 


▲使用機材:CONTAX T2。2014年撮影。 (クリックで拡大)
 


▲2015年撮影。(クリックで拡大)
 

●おばあちゃんのこと

この写真は私の母と祖母で、2014年と2015年のどちらも8月に家族でお盆のお寺参りの帰りに、
ラーメン屋さんでラーメンを食べたときの写真です。

ある日、札幌に住むおばあちゃんから東京の私に、
「おばあちゃんね、生前葬がやりたいの。」
という電話がかかってきた。
「おばあちゃん死んだら、みんながお通夜でご飯食べてるとこ見れないもの。みんながご飯食べてるとこを見たいからねえ、生前葬がやりたいの。」

そのときは88歳で足腰は弱くなってはいたけど、グロンサンを50年飲み続け大きな病気もせず身体そのものは健康だったので、おばあちゃんは100歳まで生きると思っていた我々孫たちは、ちょっと早いしどうしよう? という感じで具体的な話は進まず、そうこうしているうちに、その他のファミリーアクシデントなどもあり、すっかり生前葬の話はなくなっていた。

昨年の夏、家の中で転倒が増えたのをきっかけに入院。それからおばあちゃんは急激に身体が弱ってしまった。 その冬にはもう長くはないとお医者さんに言われる。
年を越し、食事もなかなか難しいときもあったのだが、3ヵ月ぶりに固形物を食べて、さらに突然揚げ物(メンチカツ)を食べて、孫一同「さすがおばあちゃん!」となっていたのだが、それから1週間ほどしておばあちゃんは天国へいってしまった。

お通夜では、悲しいけれどたくさんの孫とひ孫もいてにぎやかに過ごし、皆でご飯を食べ、大人はおいしくお酒を飲んだ。
果たして、おばあちゃんは見ているのだろうか。生きている私たちには、死ぬまで謎である。

翌日の告別式を終えたあと、仕事もあり私は飛行機で東京に戻った。
一人暮らしの冷蔵庫のタッパーに、おばあちゃんが漬けた梅干しが入っていた。2個残っていたうちの1つを食べる。すっぱくておいしい。
最後の1個はまだ食べないでいる。

おばあちゃんはもうここにはいないのに、おばあちゃんが作った梅干しが冷蔵庫にあるなんて、
ファンタジーだと思いませんか!!

 


次回はクロダミサトさんです。
(2018年5月18日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー

 

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