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▲使用機材:CONTAX G1 Carl Zeiss Planar T 45mm F2、フイルムkodak PORTRA400 (クリックで拡大) |
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▲(クリックで拡大) |
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●子やら恋人やら平和の象徴とやらまでなんていかつい
2014年5月7日生まれ。男。
名前は明かさない。
2015年1月
私は撮影のため和歌山から東京へ夜行バスで向かった。
早朝に新宿に着いて約束の時間になるまでVIPラウンジの待合室でテレビを眺めていたら、
その場の全員がテレビを注視する恐ろしいテロのニュースが流れ始めた。
だからといってこれからすぐに和歌山で何か起きるわけではないけれども、
阿呆なので、犬に何かあったらどうしようってすぐに犬のことを想った。
犬が心身と安心でいることが自分自身の精神や生活を健やかに保つことにも強くつながっていて、
自分のためにも、自分が安心でいること以上に大切なことなのかもしれない。
守らなければいけないとは思っていたけれども、
私にとって犬が平和を象徴する存在であることを自覚した時間だった。
限りもなく膨れ上がる私の中の犬の存在のでかさ。
けれども「どうかあの人だけは無事でいてくれ」なんて願ったりすることありませんか。
「何なよ、遊んでほしいんか?」
そう言って父が遊んでほしそうに犬に笑いかけている。
「写真送って」
「それinubotで見た」
「会いたい」
一人暮らしをしている妹から送られてくるLINE。
無口な兄は夜遅くに仕事から帰ってきて、静かにひたすら犬の全身を撫でてから晩ごはんを食べる。
「なんでこんないい子がうちに来てくれたんやろうなあ」
4年前、犬を抱えて帰ってきた母親の口癖だ。
「ずっと一緒にいようね」と毎日言う、時間は有限だと分かっていてもずっとって本気で言う。
2018年5月7日、4歳の誕生日をむかえます。
今日も北田家の中心には犬がいます。
次回は南 阿沙美さんです。
(2018年4月11日更新)
●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
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