▲2人乗りのところに、3人で乗り付け、狭い後部座席に一番背の高い息子君が小さくなって乗っていた(笑)。撮影:iPhone 6s(以下同じ) |
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▲内部は色々とオーガナイズされていて、こだわりのハンドルもまた美しい。 |
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▲丸いミラーに古き良き時代の美しさが凝縮。スカイツリーを眺めつつドライブ。 |
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▲日差しを浴びると鮮やかなボディに。ドライバーは日本版ディカプリオ?? |
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●TRIUMPH
「美しい…!」初めて目にしたTRIUMPHの車体は、冬の日差しを浴びて、まわりを圧倒する輝きを放っていた。イギリスに長年住んでいた友人が、大切にしていた車を手放すのでと、ふいに見せに来てくれたのだ。TRIUMPH=大勝利。この単語を習った学生の頃、なんでBIG WINじゃないのだろう、と不思議に思ったのを覚えている。何か、特別に誇らしいことばのような気がして、お気に入りの単語であった。車に疎かったので、TRIUMPHという車があることをこれまで知らなかったのだが、正にこの美しさにふさわしい響きだ。
TR4A(1967)。ピカピカに磨かれた深いグリーンの車体にしばし見とれていると、「どう、乗ってみない?」と友人。興味津々で助手席に乗り込んだ。ブルブルとゴーカートのような振動に驚き、慌ててシートベルトを探していると、「この車はベルト必要ないから。国で免除されてるんだ」という驚きの言葉。要するに、シートベルトの意味がない、ということか。ぶつかったら一巻の終わり、という1967年生まれのこの車だが、気高く完璧なフォルムからは、そんな危うさは微塵も感じられない。車を恋人のように愛おしく感じる、という人の気持ちが、少し分かった気がした。
ドライブを終え、改めて車体を眺めながら、カメラを持っていなかったことを心から悔いた。あぁ、なんでこんな時に限って!「いいよ、携帯で撮っておいてくれる?」ということばに、泣きたい気持ちでパチリ。私にとっては苦い「大勝利」となったが、TRIUMPHはそんなことを物ともしない美しさで、夕日の中を走り去っていった。
次回は鵜川真由子さんです。
(2018年1月26日更新)
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