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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第43回

宇井眞紀子

1960年千葉県生まれ。1983年武蔵野美術大学卒業。1985年日本写真芸術専門学校卒業。写真家・樋口健二氏に師事。同時に写真家としてフリーランスで活動を開始。1992年子連れでアイヌ民族の取材をはじめる。1999年東京の廃線跡の取材をはじめる。2009年全国に暮らすアイヌ民族100組を撮影する写真集出版プロジェクト My portrait Myself開始。写真集に「アイヌときどき日本人」(社会評論社)、「アイヌ、風の肖像」(新泉社)、「アイヌ、100人のいま」(冬青社)、「眠る線路」(ワイズ出版)など。ロンドンのナショナルジオグラフィックストアギャラリーなど国内外で数多くの個展を開催。第4回さがみはら写真新人奨励賞受賞。第28回東川賞特別作家賞受賞。公益社団法日本写真家協会会員、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員。日本写真芸術専門学校講師。武蔵野美術大学非常勤講師。
http://www.makikoui.com/
https://www.facebook.com/uiouen

 


▲活字好きな父は、白内障になっても雑誌をパラパラ。iPhoneで撮影
 


▲少し熱がある。iPhoneで撮影
 


▲施設の自室。競馬会に勤めていた父は昔から馬が好き。iPhoneで撮影
 


●父を撮る

人を撮るのが好きです。5月15日刊行の新しい写真集「アイヌ、100人のいま」(冬青社)も全国に暮らすアイヌの方々100人のポートレート集です。北は北海度網走郡から南は奄美大島まで、お一人お一人を訪ねて「本人が撮られたい場所。撮られたい服装」で撮影しました。100人には100の物語があり、出会いから多くを考えさせられました。

2009年、なんの前触れもなく突然母が亡くなりました。遺影に使える写真がありませんでした。それまでたくさんの人の写真を撮り、それが何度も遺影として使われたことがあったにもかかわらずです…我が娘が小さいころに一緒に撮ったくらいで、全然母を撮っていませんでした。それが辛かった…。

父は10年以上前から認知症で、施設で暮らしています。母が亡くなる前からですが、母の死後、父の写真を撮るようになりました。だんだん、いろいろなことができなくなっていく父を見るのは辛いけれど、「ここの人は良く働くよ」「あのおばさんは、うるさいこと言うけど、それでみんながまとまっているんだよ」と、自分が置かれている状況を分かっていなくてトンチンカンな内容を言いつつも、褒める言葉を言う父が好きです。

iPhoneで撮っていると不思議そうな顔をします。撮れた写真を見せると「カメラなのか」と驚いた様子。曰く「今はカメラが良いから良く撮れるね~」と感心します。私、一応写真家なんですけど…会いに行く度にiPhoneでパチリ。写真は記録です。大切な「今」を残しておきたい。

昔のことはよく覚えていて、饒舌に話し続ける父。戦争中の話が多いです。その話も好きなので、ときどき録音しています。今、肺炎で入院中ですが、元気になって面白い話を聞かせてほしいと思います。元気になったら大好きなきんつばを買っていくからね。

写真を撮ることは、被写体との関係性を問い直すこと。父の写真には、私も写っていると最近益々感じるようになりました。



次回は林 道子さんです。
(2017年5月12日更新)


●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー

 

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