▲「ボート、女性、」
Canon AE1 / FUJI COLOR SUPERIA X-TRA400 |
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▲「桃、ナイフ、」
iPhone6 |
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●実験のゆくえ
午前1時。
部屋の窓を開けていると、
遠くのどこかで鳴っているサイレンの音が風に運ばれて聞こえてくる。
スピード違反を取り締まるパトカーの音かもしれない。
そういえば昔から、遠くで微かに鳴るサイレンの音を聞きながら眠りにつくのが好きだった。
きっとそれは、私が眠っている間にもどこかで誰かが起きていて世界がちゃんと続いていることを感じることができるからだろう。
時の流れや記憶から切り離された
十分に意味の拾えない、
フラットで宙ぶらりんな写真を眺めるとき、
私はまだ知らない可能性を見る。
どこかできっと世界が続いているのだろう。
サイレンの音は次第に小さくなって、
やがて遠くに消えた。
次回は鈴木敦子さんです。
(2016年7月22日更新)
●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
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