●大事なレンズの話
私は学生の時に親友から、CanonのAE-1とNEW FD 50mm F1.4のレンズを借りパクしており、上京してスタジオに入ってからはSONYのαシリーズにマウント変換してずっとこのレンズを使って写真を撮ってきた。
最近はいろんなカメラ、レンズを使って撮影しているが、独立した時はほぼこのレンズしか使っていなかった。
仕事だけでなく、家族や友達の大事な行事も必ずこのレンズで撮影してきた。
私が死ぬときは棺桶に入れてくれとお願いしているくらい大事なレンズだ。
そのレンズが先日タイに撮影で行った際、海での撮影が終わり、夕景を撮影しているときにおそらく砂が入りこんでしまい、フォーカスが回らなくなってしまった。

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すかさず同業の旦那さんに電話してことの経緯を伝え、疲れすぎて寝落ちしてしまった次の日の朝起きると、バンコクのカメラ屋さんとネット上で在庫が上がっている店舗を調べ上げて送ってくれていた(感謝しかない!)。
タイは2~3年前からフィルムカメラブームで、タイの写真好きは日本にカメラを買いに行くらしい(そういう流れもあり、バンコクにはフィルムのカメラ屋さんが割とある)。
撮影のコーディネーターさんにホテルに一番近いカメラ屋さんに行きたいと相談したところ、車だと間に合わないけどバイクタクシーだったら早く行けるからいこう! と、バイクタクシーに3人乗りでカメラ屋さんに向かってくれた。
道中ではコーディネーターさんにカメラマンって楽しそうでいいなという話をされた。明るい方に導いてくれるようなくしゃっとした笑顔がすごく素敵な人で、絶対に人を撮るのが向いてると思う! という話をしていた。
バイクタクシーは初めてと話したら、自撮りで写真を撮ってくれた。

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在庫が上がっていたカメラ屋さんに到着し、聞いてみると古すぎて在庫はないと言われてしまったが、ここまできたら見つけてあげたい! と、コーディネーターさんはその建物内にあるカメラ屋さん、カメラの修理屋さんにも掛け合ってくれ、知人のカメラマンやレンタル機材屋、思いつく人みんなに当たってくれたが人気のレンズとはいえ、やはりピンポイントでは見つけられなかった(本当にここまでしていただいて感謝しかない)。
ここまでしていただけて悔いはないです。このレンズなしで撮影を進行した。
大好きな50mmのレンズだと寄りの絵が好きで寄り癖がある私。このレンズがなかったのでフォクトレンダーの35mmのレンズを軸に撮影を進行した。
終わってみると風景込みの引き絵の撮影ができてて、今回の撮影はこれでよかったのかなと思えた。
日本に帰国すると、旦那さんが俺が治す! と張り切っており棚から見たこともないカメラ修理セットが出てきた(どうやら旦那さんはジャンク品のカメラを分解して修理するのが好きで昔はよくそういうことをしていたらしい)。4~5年一緒にいるが知らない一面。
分解すると、こんな汚いレンズ初めて!! と グリスに砂が入り込んで真っ黒になっていた。

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おそらく内部まで砂が入り込んでしまい、フォーカスの内側がもう回らなくなってしまっていた。

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諦めて新しい同じレンズを新宿に買いに行く。前玉と後ろ玉は生きているので、壊れているフィーカスの部分だけ取って合体してもらっているが、個体差があるのかうまくいかない。

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2日かかって無事にレンズを直してくれた。レンズも綺麗に拭いてくれてて、几帳面な性格を感じる。

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試し撮りで大切な我が子を。

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ここまでたくさんの人を巻き込んで、より愛着が湧いたレンズ。これからはもっと大事にするから死ぬまで仲良く生きていこうね。
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