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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第133

大西日和

大西日和(OHNISHI HIYORI):1994年京都市生まれ。2017年京都市立芸術大学ビジュアルデザイン専攻卒業。2017年アマナグループ入社、2020年フォトグラファーとして独立。色彩にこだわり、鮮やかで優しさを感じる色づかいが得意。現在は広告や雑誌で活動中。
https://www.hiyoriohnishi.com/
Instagram:@hiyori.ohnishi

 


▲「経過1」2024年9月5日昼過ぎに撮影。(クリックで拡大)
 

▲「経過2」2024年9月5日夕方に撮影。(クリックで拡大)


▲「経過3」2024年9月5日朝に撮影。(クリックで拡大)
 

▲「経過4」2024年9月5日夕方に撮影。(クリックで拡大)

写真はすべてCanon 5D MarkⅣで撮影したものをEPSON SC-PX1Vでプリントし、それをまた5D MarkⅣで撮影。

●経過


この4枚の写真は、2024年9月5日昼過ぎ~9月6日の夕方にかけて定点で撮影したものです。

作品として食べ物を撮影することの多い私は、お店に並ぶ青果の顔ぶれで季節の移り変わりを味わっています。まだ暑い夏の終わりに、スイカやすももに混ざって紫色のぶどうが並んでいると、たまらなく秋を感じます。

季節の移り変わりの象徴のように思える食べ物に、時間の経過のグラデーションを重ねてみたくなり、定点で撮影することにしました。

作品を撮る、ということは私にとっては特別なものではなく、生活の延長といってもいいほど何気ない行為です。

手に入れた青果を自宅のスタジオに持ち帰り、皮を剥いたり、カットしたり、面白く美しい絵になるよう微調整を繰り返してセットを作っていきます。

青果の変化を引き立てるために、旬のない加工食品や、アンティークの杯も組み合わせたら、あとは思いついた時にシャッターを切るだけです。

おやつを食べながら1枚、歯を磨く時間に1枚、晩御飯の食材を煮込んでいる間に1枚…。生活の動作の中で流れるように作品を撮るというのは、私のものづくりの姿勢をそのまま表しているようだなんて考えながら、この日の撮影を終えました。

翌日、スタジオの扉を開けると、濃密で妖しい果物の香りと加工肉の匂いが充満し、雰囲気からして異様でした。

当然食べ物もピークを過ぎた姿をしており、薄く剥いたリンゴの皮は色が変わって縮んで、ソーセージから出た油でグレープフルーツのお尻が汚れていました。

水分を吸ってべちゃべちゃになった餃子の皮の上で、いちじくがブドウの重さを支えきれず転がってしまっている姿がなんだかおかしくて、笑ってしまいました。

切ったばかりの青果から溢れていた果汁が茶色く変色し、糖分が固まってできたシミを見ながら「昨日はあんなに生き生きとしていたのに」と少し寂しい気持ちでいましたが、同時に「こんな食べ物の姿も悪くないな」という喜びも確かに感じました。

静かに1枚シャッターを切り、撮影は終了しました。

もう少ししたら梨や柿がお店に並びはじめるでしょう。秋のど真ん中にいる私は、やがて来る寒い冬のことを思って憂鬱な気分になっているはずです。




次回は三浦庸古さんです。
(2024年11月11日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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