▲◯月◯日。写真はすべてRICOH WG-6で撮影。(クリックで拡大) |
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☆月☆日。(クリックで拡大) |
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@月@日。(クリックで拡大) |
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◯月◯日
政治家にそそのかされて、私は△君と別れた。
その政治家と腕を組んで散歩していると、よく△君とすれ違う。私はその度に視界の端に△君を認めながら、少しいちゃいちゃした感じをわざとらしく振る舞う。見せつけるように。
しかし内心私は、猛烈に△君に、もう一度付き合ってくれないかと言いたくてたまらない。でもそんなことしても、わたしがひどいことをしたことには変わりない。よりを戻したって、前のようにはもう戻れない。
覆水盆に返らず、と思う。取り返しがつかないことをした、そう思って足がすくむ。心臓がバクバクする。目を覚まして携帯を見る。3:20。まだそんな時間かと思う。朝が来るまであと4時間近くやり過ごさないといけない。夢の中でさえ私は、他人の視線の中でしか生きられなくて、それが故に見栄っ張りで小さいところがある。
☆月☆日
写真というメディアに対して、すっかり希望を失ってしまっている。あ、と思う瞬間があっても、シャッターを押すまでに至らない。世界はすでに写真で溢れていて、誰もがカメラを携帯していて、ちょっといいものが撮れても、その写真はすでに存在しているし、今から撮ろうとしている写真もすでに存在していると思ってしまう。
世界のどこかにいる「もうひとりの自分」に対して手紙を書くような気持ちで、写真を撮ればいいのだろうか? どうせみんな似たり寄ったりなのだから、分かる分かると、誰かが言ってくれればそれも嬉しいのかもしれない。でもわたしはそれが本当にしたいのだろうか。
@月@日
目を覚ますとまだ8時で、母が掃除機をかけている音が聞こえた。昨日はたっぷりと遊んだので、もう少し寝ようと目を瞑る。
次に目を覚ましたのは10時を過ぎた頃だった。すっきりしたくてお風呂に入っていると、父親が自分の浴槽を持参して部屋に入ってくる。わたしは怯えて体を隠した。父親は持参した浴槽に張った湯に浸かりながらこちらを見る。わたしの悩みを聞きたそうにしている。わたしの心を救いたいのではなくて、自分のエゴで、わたしから無理にでも悩みを引き出したいのだと額に書いてある。
わたしはそれでも口を開かない。父親という存在に対しての恐怖と、その気の弱い(だからすぐ暴力に訴える)目をうっとうしいと感じるあまり、顔がこわばる。
次回はZeng Weijingさんです。
(2024年3月6日更新)
●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
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