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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第124

小田理世

小田理世(おだみちよ):1999年、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部映像学科出身。写真を撮ったりしています。

 


▲祖母が過去に住んでいた街。(以下の写真も同様)写真はすべてCanon 6Dで撮影。(クリックで拡大)
 
  

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●住宅街を散歩しながら

私は家にこもりがちな体質である。しかし、写真を撮る時と犬の散歩をする時は外に出る気になれる。自宅の周りを歩くと見えてくる景色は同じだが、時間とともに変化する街に気づくことができる。

以前、少し遠出をして祖母が過去に住んでいた場所を散歩してみたことがある。その時のことを少し思い出してみた。祖母は私に会うたびに私の近況をものすごく知りたがる。私が何をして過ごしているのか、何に興味があるのか、何が必要なのか、気になるようだ。離れて暮らしているからかもしれないが、たまに負担になる時もあった。

きっかけはコロナだ。自分は単純で最低なのかもしれないが、ないものねだりでいざ会えなくなると、ものすごく祖母が恋しくなった。そして今までより祖母を思い出す機会が増えた。考えてみると私は祖母について何も知らないことに気がついた。

そこで祖母が戦争で疎開する以前の幼少期に住んでいた場所に行ってみた。古地図を持ち汗をかきながら歩き回った。初めて行く街であるが、祖母が住んでいたという事実がその街への親近感を沸かせた。私とまったく関係のない街であったが、何度かその街に通うことでその街に愛着が湧いてきた。

久しぶりに祖母に会えた。自慢げにその時に撮った写真を見せた。私は勝手に祖母の反応を予想していた。祖母の反応は意外なものだった。祖母にはもうその街への愛着はなかったようだ。

我に帰った。夢中になって祖母の住んでいた街に通っていた私自身を不思議に思った。少し遠出の散歩は祖母を感じたいという私の自己満足であり言い訳だったのかもしれない。
高校から写真を学ぶようになり、写真という存在が生活の中にあるのが当たり前になってきている。しかし正直写真を撮る意義とか難しいことはよく分からない。ただ写真を撮っているときには無心になっていて家に帰って写真を整理してまた頭が混乱して、私以外の誰かの反応が返ってきた時、初めて我に帰るような刺激的な感覚がある。

これからも散歩を理由に外に出てみようと思う。



次回は福田未央さんです。
(2024年2月6日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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