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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第121

楊 喩雯

楊喩雯(Yang Yuwen):1992年、中国湖南省生まれ。2020年東京ビジュアルアーツ写真学科作家コース卒業。2020年からTOTEM POLE PHOTO GALLERYに参加。
http://yangyuwen.pupu.jp/
Instagram:@yangyvis



▲湖南省衡陽市(2019年)。従姉妹家の隣、取り壊した古い建物と植物。(クリックで拡大)。使用カメラ:Contax T2(以下同)
 


▲子供の頃によく遊んでいた公園(2019年)。(クリックで拡大)
 


▲公園にあるゾウの滑り台(2019年)。(クリックで拡大)

 


▲周辺が整備された公園(2023年)。(クリックで拡大)

 


▲公園にある池(2023年)。(クリックで拡大)

 


●記憶の断片

故郷についてのもっとも鮮明な記憶は、小学1年生までです。その後寄宿学校に転校し、週末や長期休暇に帰ってくるだけでした。両親は忙しく、ほとんどの時間を祖父母と一緒に過ごしました。

中学校2年生の時、祖父が病気で亡くなり、祖母は古い家を出て、両親の家に引っ越しました。私は
高校に入ると学業がますます忙しくなり、帰るのはお正月や特別な休日のみになりました。高校の頃、実家を建て替えると聞き、古い家は取り壊されました。具体的にいつ取り壊されたかは覚えていませんが、以前の家の場所にはビルが建ち、実家に帰る道は変わり、知らない場所を通りました。

2018年に専門学校に入学し、写真を学び始めましたが、最初は写真のことがよく分かりませんでした。図書室で有元伸也さんのチベットの写真集を見て、その風景に深く引かれました。どうしても見に行きたくて、夏休みの期間を利用してチベットに行きました。帰ってきて、有元さんに写真を見せようと張り切っていましたが、写真を見た有元さんは「君にしか撮れない写真を撮ってください」と言いました。正直、その時は頭が真っ白で、自分にしか撮れない写真というものが何なのか本当に理解できず、かなり混乱したのですが…。その後、ネットで中国の作家、木格さんの写真集「回家」を見て、故郷の記憶が呼び起こされたようで、故郷を撮影する衝動が芽生えました。最終的には「二月雪」を撮影し、それが写真作家ゼミの卒業制作となりました。

「二月雪」を撮影する時、故郷の実家はまだ建設中でした。本来は再び戻って撮影する予定でしたが、コロナで国に戻ることができず、計画は一時停止せざるを得ませんでした。幸いなことに、2023年にコロナ禍は落ち着き、 4年ぶりに故郷に戻ることができました。

戻った時、子供の頃よく遊んだ公園に行きました。ゾウの滑り台はまだありましたが、周りの道路はすでに整備されていました。やはり、かつての記憶の場所を探しに行ってしまうことがありますが、時間が経ちすぎて、記憶が曖昧になってきています。

以前はよく知っていた道が今では非常に見知らぬものになっています。このような矛盾が私にはどう向き合うべきか分かりませんが、すぐに気付きました。環境も私も変わってしまったのだから、なぜ過去の記憶の場所に固執するのか。変化の中には未知のことばかりで、矛盾や衝突があるかもしれませんが、それこそが成長の過程ではないでしょうか。母国を離れて異国に行くと、異なる地域文化が私に影響を与え、気づかないうちに私自身もすでに変わっていた。

11月末にはトーテムポールフォトギャラリーで、今回の故郷での撮影作品が展示されます。同時に日本で撮影した写真も展示します。まるで異なる時期の記憶の断片が同じ空間で集まり、再構築されているようです。私はこれが私にしか撮れない写真かどうかは確信していませんが、確信しているのはどれもが私だということです。



次回は丁淮人さんです。
(2023年11月2日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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