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リレーコラム
女子フォトグラファーの眼差し

本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!

 

第100

和多田アヤ

東京都出身。幼少期をバンコクで過ごす。慶応義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業後渡仏、アルルの L'Ecole Nationale Supérieure de la Photographieレジデンスプログラム修了。2009年~2012年ベルリンにて活動。2017年Mastered HQ参加。コミュニケーションスキルを活かした人物撮影を得意とする一方、「LILIES-白い百合の連作」などスティルライフシリーズや版画·絵画作品の制作も精力的に行っている。2022年3月31日~4月17日、青森のイタコを主題とした書籍『Talking to the Dead』のための撮りおろし作品をTrue Romance Art Projects(東京都渋谷区神南1-20-7川原ビル4階)にて展示する。
https://www.ayawatada.com/



 


▲「無題」。眠る父を撮った。Leica M Monochromはその名のとおりモノクロしか撮ることができないのがよい。マニュアルフォーカスで焦点を合わせる行為は瞑想的だと思う。(クリックで拡大)
 
 

▲「無題」。Leica M Monochromで撮影。炎も好きなモチーフの1つ。(クリックで拡大)
 

▲陸奥湾の波とイタコ・中村タケさんのポートレート。イタコを主題とした書籍『Talking to the Dead』に掲載予定。青森には今後も通いたいと思う。使用機はCanon 5D MarkⅢ。(クリックで拡大)
 

●喪の旅人たち

「喪(悲しみ)を消し去ろうとするのではなく(時間によって消滅するというのは愚かな考えだから)、変えること、変換すること。停滞した状態(鬱滞、閉塞、おなじものの反復)から、流れる状態に移行させること。」ロラン·バルト『喪の日記』より。

葬式を出すことの多い、いつも誰かの死が日常に影を落としている、そんな家に生まれ育ったせいか、「喪」ということが私の作品制作の心臓だ。

母の遺品を父が身につけたポートレートシリーズ「やもめ」。「ママのクローゼット」では従姉妹たちをモデルに祖母や叔母の衣類で遊んだ。「白い百合の連作」は葬儀や法事から持ち帰った百合の花が居間に活けてあった思い出を反映している。

平成から令和をまたぐ6ヶ月のあいだ、私は父の最期の日々を撮った。「もうすぐお別れかもしれないのだから、写真を撮りたい」と伝えるのは愛の表現であると同時に死の宣告のようでもあるが、私は父が喜ぶだろうと知っていた。「是非」との答えで、私はいちばん素直な自分になって、ただまっすぐ撮ろうと決めた。死に向かっていく父の姿は体積を失って、精神と骨だけで成り立っているようだった。時々幼児のような顔を見せた。とても美しかった。

昨年9月、青森に赴きイタコを取材した。寺下観音、恐山、むつの街、川倉賽の河原地蔵尊。そこを歩いた無数の喪の旅人たちと心を重ねるように写真を撮った。



次回は関口美意さんです。
(2022年3月15日更新)



●連載「女子フォトグラファーの眼差し」のバックナンバー
第33回~
第1回~第32回

 

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