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神が潜むデザイン


第11回:温度とデザイン/白本由佳


「神は細部に宿る」と言いますが、本コラムでは、デザイナーがこれまでに「神」を感じた作品を紹介していただくとともに、ご自身のこだわりを語っていただきます。リレーコラムですので、執筆者には次の方にバトンを渡していただきます。



Designer FILE 11

白本由佳(しらもとゆか):アートディレクター/グラフィックデザイナー。株式会社SHIRO代表。静岡県出身。大学卒業後、株式会社新村デザイン事務所、株式会社ドラフト、POSTALCOを経て、独立。2019年株式会社SHIRO設立。2020年~女子美術大学非常勤講師。受賞歴:2014年、2015年 東京ADC賞受賞、2015年 日本パッケージデザイン大賞食品部門 銀賞受賞、2015年 JAGDA新人賞受賞など。
https://yuka-shiramoto.com/

●ジャッキー・ニッカーソンの『FAITH』

私はデザインと向き合うとき、いつもそこから感じられる温度に興味を持ちます。

Jackie Nickerson(ジャッキー・ニッカーソン)の写真集を本屋で見つけたとき、数ページを見て、すぐに購入しようと思いました。『FAITH』というタイトルのその写真集はアイルランドのカトリック修道会のポートレート写真集で、肖像画のような構図のものが多くとてもシンプルなものです。

私が一番惹かれたのはその写真の色彩で、それは独特で、潔ぎよく、誠実、清潔で、でもどこかあたたかい。そして、透き通るような透明感があり、ビビッドな色が入っている写真でもその修道会の精神を崩すことなく表現がされているように感じました。色の感性はファッションフォトグラファーだった彼女の経験が影響しているのかもしれません。


Jackie Nickersonの写真集『FAITH』の表紙。
公式サイトはこちら

Jackie Nickersonの写真集『FAITH』より


『FAITH』より

『FAITH』より


『FAITH』より

『FAITH』より

●色から温度を感じ取る

私は、「どのように配色を考えていますか?」と聞かれることが多いのですが、なにかセオリーがあるわけではなく、配色によってどんな温度を感じてもらいたいのかをいつも考えています。色が発している温度によって人の感情が左右される部分は多いと感じます。

なのでそれらを複雑に、または時にシンプルに組み合わせることで、その時表現したい温度を調整しています。そしてそれがどのように人の心に伝わって、感じてもらえるのかを考えています。無限大にある色の中からそれを探していく作業は大変ではありますが、それが楽しい作業でもあります。

私は表現したいことを言葉にすることにやや苦手意識があり、デザインコンセプトなどを言葉や理屈で説明してもどこかしっくりこないことが多く、実際に目から感じとってもらいたいという思いが強くなってしまい、そこに重点を置いてしまうのかもしれません。

また人は見たものを一瞬で判断してしまうことが多いので、その一瞬感じ取れるものが重要なのかなと思っています。

ですが、仕事を離れると、自分の身の回りのものはごくシンプル配色のものが多く、無意識に透明なものを集めてしまいます。小物入れ、アクセサリー、グラス、花瓶など色も柄も入っていない透明なものが多くあります。

仕事以外は色から離れたいと思っているのか、自分の気持ちをクリアにしたいと思っているのか…自分でも少し不思議です。




次回は天宅 正さんの予定です。
(2021年6月14
日更新)

 

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