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神が潜むデザイン


第9回:「わからない」ものを探す/田部井美奈


「神は細部に宿る」と言いますが、本コラムでは、デザイナーがこれまでに「神」を感じた作品を紹介していただくとともに、ご自身のこだわりを語っていただきます。リレーコラムですので、執筆者には次の方にバトンを渡していただきます。




Designer FILE 09

田部井美奈(たべいみな):2003年より有限会社服部一成に勤務。2014年に独立、田部井美奈デザインを設立。広告、CI、パッケージ、書籍、雑誌などの仕事を中心に活躍。主な仕事に「PARCO CHRISTMAS 2020」「武蔵野美術大学 イメージビジュアル」「結婚の奴/能町みね子」「Ginza Sony Park『#009 WALKMAN IN THE PARK』」、展示「光と図形」「極北へ/石川直樹」など。2019年ADC賞受賞。
https://minatabei.com/


自分にとって良いデザインとは一体なんだろう。もし、それがはっきりとわかっていたら、きっと毎回制作時に苦しむことはないでしょう。

なぜ「わからない」のか考えてみるために、まずは自分が惹かれるものについて整理してみました。

●丸、三角、四角

ありふれた形を使っている(丸、三角、四角)。
物体の影や、立体感など、現象の要素が含まれている。


「Bauhaus Exhibitions Two Posters」(1968年) Herbert Bayer
 


●説明

構造の説明自体が、絵として成立しているもの。菅井 汲の「GUESTⅡ」(1980年)。 作品は以下のGallery TOKI NO WASUREMONO公式サイトで閲覧できます。
http://www.tokinowasuremono.com/e/artist-b13-sugai/sugaiGUEST2.html


●ルール

ルールに乗って自動的に生まれる、線や、形を含むもの。


「Intervention 15」(1975年) Edward Krasinski Tate Images公式サイトより引用
 


●何かのしわざ


これらのことを少し引いた目で見ると、作り手の意思や作為、ねらいとは少し異なる、「何かのしわざ」が画面の中に存在する、ということが共通点として見えてきました。

「何かのしわざ」=自分の力ではない何かの造形。

つまりこれが「わからない」部分の1つではないかと考えます。

自分の想像を超えた「わからない」何かが現れる瞬間まで試行錯誤繰り返し、それを見つけた瞬間に、デザインが固まる。とても大変ですが、この実験のようなプロセスで制作してみたいという欲求があります。

下記の、「光と図形」というポスターシリーズは、まさにこの「わからない」ものを大いに取り入れて制作した作品です。

「光と図形」(2018年) 田部井美奈(クリックで拡大)

(クリックで拡大)


(クリックで拡大)

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(クリックで拡大)
 

光の前に物を置いて、その時に現れる影や反射光に呼応するように、画面の構成を進めていきました。設計図もなく、目の前で起こる現象を1つひとつに驚きながら制作したこのシリーズは、仕上がった際には、自分自身の力でできたものとは思えない不思議な感覚がありました。

わたしにとって、デザインという世界はまだまだとても広く、ほんの一部分にやっと触れられたような感覚しかないですが、この先もこの「わからない」ものを探すことが、デザインとの関わり方の楽しみの1つになっていくと思います。



次回は髙田 唯さんの予定です。


(2021年4
月9日更新)

 

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