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若手デザイナーが仕事目線で語る、
特色印刷可能なインクジェットプリンタ
「エプソンSC-P5050」


今回から4回に渡ってお届けするスペシャルインタビュー。第1回は、20代から第一線で活躍している女性デザイナーお2人が、デザインにおける特色の必要性や価値について語ります。お2人の作品を「エプソンSC-P5050」とソフトウェアRIP「EFI Fiery eXpress」で出力した際の率直な感想もいただきました!

取材協力:エプソン販売株式会社

第1回
「えっ? 特色が出るインクジェットプリンタ!?」
色に敏感な女性デザイナーが語る
「エプソンSC-P5050」の魅力


加藤圭織(Kaori Kato):good design companyアートディレクター。1986年神奈川県生まれ。2009年東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科卒業。MAQ inc.勤務後、good design company入社。「JR東日本」「久原本家 茅乃舎」「中川政七商店」「薫玉堂」などのグラフィックを手掛ける。Tokyo Midtown Award 2017 デザインコンペにてグランプリ受賞。
http://gooddesigncompany.com/

浜田智子(Tomoko Hamada):株式会社ADKアートディレクター。1990年生まれ。東京芸術大学デザイン科卒業後、現職。NYF finalist、Tokyo Midtown Award design 審査員賞など。
https://www.adk.jp/

撮影:小長井ゆう子
進行:森屋義男/Japan Creators編集長

●エプソンSC-P5050 製品問い合わせ先
SC-P5050(エプソン)http://www.epson.jp/products/largeprinter/scp5050/
ソフトウェアRIP(株式会社ソフトウェア・トゥー)http://www.swtoo.com/efi/


▲エプソン「SC-P5050」。298,000円。(クリックで拡大)
 
▲本体前面の左右に11色の専用インクを収納。左側に特色用のインクが入る。(クリックで拡大)
 
▲RIPソフト「EFI Fiery eXpress」の操作画面。(クリックで拡大)
●デザインにおける特色の意味と価値

--まず自己紹介とお2人が最近手掛けたデザインの仕事からお話しください。

加藤:good design companyアートディレクターの加藤です。JR東日本の駅ビル共通ポイント「JRE POINT」のロゴやポスター、「Oisix」のパッケージデザイン、京都にある日本最古の御香調進所「薫玉堂」のパッケージデザインなど、ブランディングにまつわるデザインを幅広くやらせていただいています。

浜田:ADKでアートディレクターをしている浜田です。シチズンの「wicca」、明治安田生命の「ライトくん」というキャラクターを手掛けました。また動物福祉協会のポスターなどのデザインも担当しています。ブランディングや手触りのある表現が好きです。

--お2人とも20代ですでにメジャーなお仕事をされていますが、デザインしていく上で、色使いに関してCMYKだけでなく、特色を使いたくなる頻度は高いですか?

浜田:私は紙とWeb、両方デザインしていますが、現在は3対7くらいでWebが多いです。もちろん紙とWeb、共通のデザインも多いです。そういう点ではCMYK(RGB)で収まる仕事の方が多いです。

加藤:私はパッケージなど、紙モノがほとんどです。good design companyでは特色を使うという選択肢がごく当たり前にあるのですが、経験を重ねるうちに、その難しさと面白さを痛感しています。色の微差にまで、とにかく徹底的にこだわることが仕上がりのクオリティを上げるということを、最近改めて強く感じています。

--デザインにおける特色の必然性ってなんでしょう? CMYKでは表現が物足りないということですか?

加藤:特色には、CMYKでは再現できない“鮮やかさ”があります。それと印刷物のインクの乗りがぜんぜん違います。CMYKですとどうしても網点が出てしまいますので。実際にはCMYK+特色を2色以上で印刷する場合もありますし、特色のみの組み合わせで構成する場合もあります。

それと鮮やかさが欲しい時以外にも特色を使う場合もありまして、例えば中川政七商店のDMですが、本物の書簡らしさを追求するために、印鑑らしい色味を特色で選びました。書の部分も墨で書いた筆文字の濃淡を表現するために黒のインクだけではなくグレーの特色を重ねています。印鑑の赤を決める際もいろいろな赤系の特色を本機校正で試しました。

浜田:私自身は特色もCMYK(RGB)もあまり区別して使ってはいません。パッケージなど手で触るものに、インクの厚みや実物を目で見る時に特色のありがたみを感じます。色味の違いというよりは、特色特有の”物質としての存在感”を大切にしています。マテリアルの1つと思っています。

--なるほど。お2人にとっての特色のメリットは”鮮やかさ”と”マテリアル感”ですね。


▲good design companyの加藤圭織さん


●パソコン上の特色と印刷物になった時の差異

--コンピュータでデザインを組んでいるときのビジュアルイメージと、実際の印刷物になったときの差異は少なからずあると思います。その差異はやはり色校正を繰り返すことで埋めていくしかないのでしょうか?

加藤:色校正を繰り返します。ただ入稿前でも、私の場合、さまざまな候補から特色を決めた後、その特色に合わせてカンプの色味を変えることもあります。CMYK値をマトリクス上に3%とか5%刻みで変えた色ベタを出力して、最も近い色を選んで修正や検証をしていきます。色味を探っていく上で、色見本を忠実に再現できるプリンタがあると効率がよいと思います。

浜田:色校正の回数が多いと、気持ちも変わってきて、色見本より色校正の方がよくなってくるときもあります(笑)。

加藤:そうですね。色見本よりもずっと良い色味の校正が上がってくることはあります

浜田:新規のデザインでは、色校正の時に色を詰めていく作業を行うのですが、例えばコーポレートカラーがある場合などは、カンプの時点で色が違うと怒られたりします。

加藤:ブランドカラーがブレるとブランドイメージもブレてしまうので、そこは慎重に作業しますね。デザイナーは最後まで責任をもって印刷物を制作しなければいけないと思います。

浜田:ブランドカラーはメディアによって多少色味が異なってくるので、CMYK、RGBだけでなくDIC、PANTONEなどでも一通り指定します。


▲加藤さんの作品より。空の写真の特色違いをSC-P5050で出力したもの。発色が良くしっかり再現された。(クリックで拡大)

▲加藤さんのデザインより。Oisixヨーグルトのパッケージ。特色指定がほぼ再現された。(クリックで拡大)


▲加藤さんデザインによる中川政七商店の襲名式案内状。本物らしさを追求するために、印鑑や書の部分の印刷にこだわった。(クリックで拡大)
 


●特色が出せるプリンタをワークフローに取り込む


--これまでの色校の繰り返しで思い通りの色に近づけるワークフローに、今回のSC-P5050のような特色を出力できるプリンタを導入すると、どういったメリットを想定できますか?

加藤:good design companyでは色の微差にまで徹底的にこだわるので、通常は、色校正を紙違いや色違いで何パターンも出します。ただ、先日デザインしたあるブランドの場合、パッケージの製造は海外でした。紙やインクの種類が日本と違いますし、予算にも限りがあるので、いつものように紙違いや特色違いでたくさんの校正を出せません。そのときは、事前に理想の用紙を購入し「紙見本」として送ったのですが、SC-P5050があれば、その紙にさらに自分が目指す特色をプリントして簡単に色見本もつくれ、現地の印刷屋さんとのやりとりも一層スムーズだったかもしれないなと思いました。

--遠隔地での印刷の場合には、色見本の現物を送ることがなにより確実ということですね。現時点でそれが手早く簡単にできるのはSC-P5050の大きなメリットですね。

浜田:私はけっこうその場の印象、気持ち、気候などによって色に対する感情が変わってしまい、色に関してあまり自分を信用していないので(笑)、いつでも確かな色を出してくれるプリンタがあれば、自分の相棒として助かりますね。安心できます。自分の好きな色のモノをいろいろ集めたりしているのですが、このプリンタも自分の色のリファレンス的に使いたいです(笑)。

加藤:SC-P5050がワークフローに入ってくれば、もしかすると色校正の回数を減らすことができるかもしれませんね。

--クライアントに色校正やカンプの前の段階、プレゼンボードの段階でも正確な色味で伝えられるのはよいと思います。DICのチップをカンプに貼って「このロゴはこの色になります」と言われても、クライアントにはなかなか伝わりません。

浜田:以前、タレントの写真とプルーフを持っていきつつ、カンプでデザインを説明して、色はこのチップの色でご確認くださいとか、バラバラのリファレンスを持って行ってプレゼンをした経験もありました(笑)。不親切ですけれど、タイミング的に他にやりようがなく、印刷物が上がってようやく全体像をご理解いただくことが多いです。

別の仕事では、本機校正でなければ特色を確認できないので、カンプに特色に近い絵の具を塗ってクライアントに確認していただいたこともあります。


▲ADKの浜田智子さん




▲浜田さんの作品をP5050で出力。動物愛護団体ポスター、各紙袋の発色がキレイに出た。(クリックで拡大)

▲同じく浜田さんのイラスト作品、写真集「南三陸から」第5弾の表紙カバーをP-5050で2回出力。カギとなる水彩の再現性も十分。(クリックで拡大)


▲同じく浜田さんのデザイン。かまぼこのパッケージ、特色指定がきちんと再現された。上は印刷物。(クリックで拡大)
 


●SC-P5050を試用してみて

--実際に現場でSC-P5050を試用していただきましたが、率直な感想をお聞かせいただければと思います。

加藤:特色の再現性が高く、プリントアウトのスピードも速いです。実務に取り入れたら便利だなと思いました。

浜田:ロゴマニュアルは半年に1回くらい改定することもあります。場合によって本機校正(清刷り)とデータで納品するのですが、SC-P5050があれば、コストややり取りを考えると楽だろうなと思います。作業の流れが途切れるのがイヤなので、制作→印刷まで時間をかけずに作業したいのですが、外注にお願いすると、納品は来週、とかになって、モチベーションが途切れたりします(笑)。

加藤:SC-P5050は専用のロール紙もコート系やマット系など数種類あるので、目的に合わせて用紙を使い分けられるのもいいです。今回は試せなかったのですが、インクジェット対応であればパッケージ用紙により近い紙でも手差しでプリントできますね。

社内の他のスタッフが、キャラクターの仕事で使いました。特色によってキャラの見え方を検証していました。

浜田:SC-P5050はインクの乗りがいいです。印刷解像度にもよるのでしょうけれど、特色の再現性、均質性もムラがないですし、滲まずパキっとしている。色紙を貼ったように見えるんですよね。密度が高い感じです。これで特色のチップを作れるレベルですよね(笑)。

加藤:特色が出せるという点で、目的が他のプリンタとは違います。もちろんCMYKの発色も優れていると思います。


●SC-P5050への期待

--SC-P5050はA2対応ですが、出力サイズにご希望はありますか?

加藤、浜田:B1くらい(笑)。

加藤:特色の再現度が高いので、B1が出ればポスターとしてそのまま十分使えると思います。

浜田:幅728mm(B1の短辺)あれば印刷会社不要ですね(笑)。

--印刷会社などでは、幅1,118mmのエプソンの大判プリンタを利用していますが、デザインオフィスではB1が便利ということですね。本体の大きさはいかがでしょうか?

加藤:設置スペースは確かに確保する必要がありますね。

--ワークフロー的にはいかがですか?

浜田:現状のワークフローにはそれなりに納得していますが、SC-P5050を一度経験すると、確かにワークフローを見直したくはなります。うまくいけば仕事の精度も上がります。

加藤:設置スペースとも関係するかもしれませんが、逆にもっと小さいサイズがあってもいいですね。特色が出せるA4プリンタみたいな。ロゴとかちょっと出力してみたいとかいうときにいいですね。いずれにしても、SC-P5050は、これまでのワークフローが変わるきっかけを秘めたプリンタだと思います。

浜田:クライアントが喜んでくれて、仕事が以前より円滑に進むという体験ができれば、必需品になってくると思います。

--本日はありがとうございました。



 

2017年10月、東京・新宿にてインタビュー。
(2017年11月1日更新)

 

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