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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 




Designer FILE 53


林響太朗
/Drawing and Manual inc.

林響太朗(はやしきょうたろう):映像作家/撮影監督/写真家/アーティスト。1989年、東京都生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコースを卒業後、DRAWING AND MANUALに参加。独自の色彩感覚で光を切り取る映像を生み出す。同時に3D CG、VFX、インタラクティブなどを駆使し、映像のみならずインスタレーションやパフォーミングアーツ、プロジェクションマッピングなどのクリエイションに数多く関わっている。クリエイターとしての活動と同時に大手グローバルブランドの広告から、メジャー/インディ問わずさまざまなミュージックビデオの演出・監督も行う。主な仕事に、星野源、Mr.Children、米津玄師、RADWIMPSなどのMV、またSHISEIDO、花王、ソニー、トヨタ、adidas、PUMA、ワコールなどのCMを手がける。展示映像ではヴェネツィア・ビエンナーレ2016 日本館や上海で行われたSWFC8周年記念プロモーションの監修も行う。受賞歴:2016年ヴェネツィアヴィエンナーレ特別賞。
http://www.kyotaro.org/



●短編映画「CAST:」とブランド「CAST:」の同時展開

主人公たちのファッションを楽しむブランド

初めまして、Drawing and Manual inc.の林響太朗と申します。先日、三陽商会の新規事業「CAST:」の公開に携わりました。このブランドの最大の魅力は、映画「CAST:」の中に登場する主人公たちの服をすべて着ることができるという、新しい試みにあると思っています。
映画やドラマでは、その世界観を象徴づけるファッションは、とても重要な役割を担っています。映画のキャクラターのような仕草や衣装を真似したいと思う心理は、映画が作られ始めた頃から常に存在する感情です。

そこに着目した今回のCAST:。短編映画の内容は、3股された女性がとても可愛らしく復讐する、そんなストーリー。その3人の彼女たちのキャラクター設定が衣装のラインナップと紐づいています。


LISA:化粧品会社で働くOL

顔が薄いのがコンプレックス。それを隠すためにいつも完璧に化粧をしている。美人で仕事もできる、職場では一目置かれる存在。彼女らしさをマニッシュでクールな存在に仕立て、衣装もそういったラインナップに仕上がっています。飯豊まりえさんはそのキャラクターの「できる女子感」をかなり意識してくださっていたような気がします。


LISA。(クリックで拡大)


ANNA:甘いものが食べられないパティシエ

フレンチレストランで働き、腕を磨くための研究を怠らない。ストレスの大きさに比例して巨大なケーキを作るクセがある。彼女は女の子らしく、フェミニンな仕立てに。キャラクター設定に甘いものが食べれないとある。それは衣装もただ、フェミニンで可愛らしいだけではなく、少し大人な要素をエッセンスとして入れているためです。


ANNA。(クリックで拡大)


CARA:なかなかホントの自分が出せないシンガーソングライター

自分らしくない楽曲を演奏しろと言われ悩んでいる。パートナーのマチ子と同棲中。彼女は内気な性格とは裏腹に、アーティストという設定も兼ねて少し外しの効いたラインナップになっています。映画の中では序盤は地味なように見えるコーデにしつつ、後半になるにつれて自然と目を引くポップな仕立てになっています。


CARA。(クリックで拡大)


物語、体験を着るプロジェクト

このように三者三様の個性を盛り込みつつ、現代を生きる女性たちの心情を体現し、「そのままでいいんだ」と、感じてもらえるような映像に仕上げました。人それぞれの価値観にそれぞれ寄り添いすぎることは難しい。

でも、映画を観てそこに共感した服はきっと少しだけその人の思う人生に近いんじゃないか。そんな思いに乗せて女性たちの物語が含まれたブランドになっています。このブランドはそれだけの体験ではなくて、映画を観ながら服を買うことができます。


映画の中の気に入った服をそのまま注文する。(クリックで拡大)


映像を見ながらタップすると、そのシーンの衣装がそのまま表示されるという仕組みです。こういった体験も含めて今回のプロジェクトはとても新鮮なものになったのではないかなと思っています。

今後、映像のあり方は多様化していきます。それは間違いなく変動してきていると思っています。ただ、それに合わせて変えなければいけないことは意外と少ないような気がしています。普遍的な映像という発射台の在り方は常に同じで「感動を与えること」だと。そこは変わらず持ち続けていきながら、今後も新しいことに取り組んでいきたいと思っています。

https://www.cast-colon.com/




次回は黒地秀行さんの予定です。
(2019年8月19日更新)

 

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